資産形成というと、「どの株を買えばいいのか」「何%で運用すればいいのか」といった投資の話が中心になりがちです。
私自身も長く株式投資を続けてきましたが、40代になった今、振り返ってみると、資産形成で本当に大切だったのは銘柄選びだけではありませんでした。
健康を保つこと。働いて収入を得ること。無理のない範囲で貯蓄を続けること。そして、将来のためにお金を貯めながら、今の何気ない暮らしも楽しむこと。
どれか一つが欠けていたら、ここまで投資を続けることはできなかったと思います。
資産形成の目的は、資産額を競うことではありません。
自分や家族が安心して暮らし、日々を少し豊かにするために、お金を育てていくことだと今は感じています。
40代になって強く感じる「健康」という資産
若い頃は、健康でいることを当たり前のように感じていました。
多少無理をしても翌日には回復し、食事や睡眠についても深く考えていなかったように思います。しかし、40代になると、健康は決して当たり前ではないと感じる場面が増えてきました。
いくら金融資産が増えても、体調が悪ければ外出や旅行を楽しめません。好きなものを食べることも、働いて安定した収入を得ることも難しくなります。
投資では「時間を味方につけることが大切」とよく言われます。しかし、その長い時間を元気に過ごすためには、自分の体を大切にしなければなりません。
株価や配当金を確認することも大切ですが、それ以上に、十分な睡眠を取り、適度に体を動かし、必要な検診を受けることが大切です。
健康は株のように数字で毎日確認できません。それでも、人生全体で考えれば、金融資産以上に価値のある資産なのだと思います。
投資前半の約10年間は、株式投資より貯蓄が中心だった
私の資産形成は、最初から株式投資で大きく増やしたわけではありません。
投資を始めてから前半の約10年間は、株式投資よりも貯蓄が中心でした。給料を受け取り、生活費を使い、残ったお金を少しずつ貯めていく。非常に地味ですが、その積み重ねが資産形成の土台になりました。
投資を始めたばかりの頃は、元本がまだ少ないため、運用によって得られる利益もそれほど大きくありません。
例えば、100万円を年5%で運用できても、1年間の利益は税引前で5万円です。一方で、毎月3万円を貯めれば、1年間で36万円になります。
資産が少ない時期ほど、投資の成績よりも、働いて収入を得て、その中から一定額を残すことの方が資産形成への影響は大きくなります。
投資初心者の頃は、どうしても短期間で大きく増やせる銘柄を探したくなります。しかし、今振り返ると、最初に必要だったのは特別な投資の才能ではなく、元本を作るための貯蓄習慣でした。
貯蓄は地味でも、投資を続けるための安心感になった
貯蓄には、株式投資のような値上がり益や配当金はありません。
インフレが進めば、現金の実質的な価値が下がることもあります。それでも、ある程度の現金を持っていることは、投資を長く続けるうえで大きな安心感になりました。
株式市場が大きく下落したとき、生活費まで投資に回していると、冷静でいることが難しくなります。急にお金が必要になれば、含み損を抱えた株を売らなければならないかもしれません。
生活に必要な現金を確保したうえで投資するからこそ、株価が下がっても慌てずに保有を続けられます。
貯蓄と投資は対立するものではありません。貯蓄が守りの土台となり、その上で投資によって資産の成長を目指す。この二つのバランスが大切だったと感じています。
優良な投資本が、その後の資産形成を変えてくれた
複利や増配の力について、本当の意味で理解できるようになったのは、優良な投資本を読むようになってからです。
それまでも配当金を受け取ることはうれしかったのですが、受け取った配当を再投資し、それがさらに新しい配当を生み出す仕組みまでは十分に意識できていませんでした。
また、単に配当利回りが高い企業を買うのではなく、利益を伸ばしながら、無理のない範囲で配当を増やしている企業を長く保有することの重要性も、本から学びました。
- 短期的な株価だけで判断しない
- 企業の利益成長や財務内容を確認する
- 配当利回りだけでなく、増配の継続性を見る
- 受け取った配当金を再投資する
- 頻繁に売買せず、時間を味方につける
こうした考え方は、読んだ直後に大きな利益をもたらしてくれたわけではありません。
しかし、その後の投資方針を少しずつ変え、10年、20年という長い期間で大きな差を生んでくれました。
知識には株価のような分かりやすい値段はつきません。それでも、良い本から得た一つの考え方が、その後の人生や資産形成を変えることがあります。
複利の力を実感するまでには時間がかかった
複利は、投資を始めてすぐに大きな効果を感じられるものではありません。
元本が小さい時期は、配当を再投資しても増える金額はわずかです。「本当に意味があるのだろうか」と感じることもあります。
しかし、貯蓄と投資を続けて元本が増えると、受け取る配当金も少しずつ増えていきます。さらに、その配当金で株や投資信託を買えば、翌年以降の配当を生み出す元本になります。
企業が利益を伸ばし、配当を増やしてくれれば、自分が新たにお金を入れなくても、保有株から得られる収入が増える可能性があります。
この仕組みを実感できるようになるまでには、長い時間が必要でした。
複利は急に人生を変えてくれる魔法ではありません。小さな積み重ねを、長い時間をかけて大きくしてくれる仕組みです。
株主優待やQUOカードが、何気ない暮らしを豊かにしてくれる
資産形成というと、将来のために今の楽しみを我慢するイメージを持つ人もいるかもしれません。
確かに、使えるお金をすべて使ってしまえば、貯蓄や投資に回す余裕はなくなります。しかし、将来のためだけに現在の生活を犠牲にしすぎるのも違うと思います。
私にとっての楽しみは、豪華な買い物を繰り返すことではありません。
時々外食をしたり、株主優待を使って買い物をしたり、QUOカードでちょっとした商品を買ったりする。そうした何気ない時間に、投資を続けてきた成果を感じることがあります。
株主優待やQUOカードでもらえる金額だけを見れば、それほど大きくないかもしれません。
それでも、普段の食事や買い物に使うことで、数字として保有している資産が、実際の暮らしを少し豊かにしてくれます。
ただし、優待を使うこと自体が目的になり、必要のない買い物をしてしまっては意味がありません。自分が普段から利用する店やサービスで、無理なく楽しめることが大切です。
お金を使わずに満足できることも、資産形成を助けてくれた
資産形成を続けるには、収入を増やすことだけでなく、支出との付き合い方も重要です。
ただし、何もかも我慢する節約生活は長く続きません。
大切なのは、お金を多く使わなければ幸せになれないという考えから、少し距離を置くことだと思います。
家でゆっくり過ごすこと、散歩をすること、好きな動画を見ること、身近な店で食事をすること。大きなお金を使わなくても楽しめることは、日常の中にたくさんあります。
生活水準を急激に上げず、小さな楽しみに満足できることは、投資の知識とは別の意味で、資産形成を支えてくれました。
これは我慢ではなく、自分にとって本当に必要なものを知ることなのだと思います。
他人と比べ始めると、資産形成は苦しくなる
SNSや投資ブログを見ると、自分より若くして大きな資産を築いた人や、短期間で大きな利益を得た人が目に入ります。
そうした情報を見ると、「自分の投資方法は間違っているのではないか」「もっとリスクを取らなければならないのではないか」と焦ることがあります。
しかし、収入や家族構成、生活費、投資を始めた時期、受け入れられるリスクは人によって違います。
他人の資産額や運用成績だけを見ても、自分に合った投資方法は分かりません。
私自身、短期間で資産を増やすよりも、高配当株や増配株、利益成長が期待できる企業を中心に、無理なく投資を続ける方が自分に合っていると感じています。
投資で大切なのは、最も高い利益を出すことではなく、自分が途中で怖くなってやめない方法を選ぶことです。
資産が増えて得られたのは、ぜいたくよりも安心感だった
資産形成を始めた頃は、資産が増えれば生活が大きく変わるように考えていました。
しかし、実際には資産が増えても、毎日の暮らしが急に豪華になったわけではありません。
今までと同じように働き、身近な店で買い物をし、時々外食を楽しむ。生活そのものは大きく変わっていません。
一方で、心の中には以前よりも安心感が生まれました。
- 急な出費があっても慌てにくい
- 仕事だけに人生のすべてを依存しなくてよい
- 将来の選択肢を少し増やせる
- 配当金が生活を支える補助になる
- 老後への不安を多少和らげられる
資産が与えてくれた最大のものは、高価な商品ではなく、人生の選択肢と安心感だったのかもしれません。
投資は人生の目的ではなく、生活を支える手段
株式投資を続けていると、資産額や配当金を増やすことが目的になりやすくなります。
毎日のように株価を確認し、資産が増えれば喜び、減れば落ち込む。数字ばかりを見ていると、本来の目的を忘れてしまうことがあります。
お金は多い方が安心できるかもしれません。しかし、お金を増やすことだけが人生の目的ではありません。
健康を保ち、安心して暮らし、時々好きなものを食べ、大切な人と穏やかに過ごす。その生活を支えるために、貯蓄や投資があります。
資産形成のために健康を害したり、毎日の楽しみをすべて我慢したりしてしまえば、何のためにお金を増やしているのか分からなくなります。
40代の今、これからも大切にしたいこと
これからも投資は続けていくつもりです。
配当や企業の成長を期待できる株を保有し、受け取った配当の一部を再投資しながら、少しずつ資産を育てていきたいと考えています。
ただし、資産を増やすことだけに集中するのではなく、健康や日々の暮らしにも、これまで以上に目を向けたいと思います。
体調を崩してから健康の価値に気づくのではなく、元気な今から体を大切にする。将来のために貯蓄を続けながら、時々の外食や小さな楽しみにもお金を使う。
そして、相場が好調なときも不調なときも、自分の生活を崩さない範囲で投資を続ける。
それが、40代になった今の自分にとって、最も現実的で長く続けられる資産形成です。
まとめ|投資より大切だったのは、投資を続けられる生活だった
長く資産形成を続けてきて感じるのは、優れた銘柄を一つ見つけることよりも、投資を長く続けられる生活を作ることの方が大切だったということです。
前半の約10年間に続けた地道な貯蓄が、投資の元本になりました。優良な投資本から学んだ複利と増配の考え方が、その後の運用方針を変えてくれました。
そして、投資を続けるためには、健康で働けることや、お金を使いすぎなくても日常を楽しめることが欠かせませんでした。
資産形成で大切だったこと
- 健康を保ち、長く働ける状態を作ること
- 投資の前に、地道な貯蓄で元本を作ること
- 良い本から複利と増配の力を学ぶこと
- 配当や優待で日々の小さな豊かさを感じること
- 他人と比べず、自分に合った方法を続けること
- 資産額ではなく、安心して暮らせることを目指すこと
資産は人生を支えてくれます。しかし、資産額そのものが人生を幸せにしてくれるわけではありません。
健康で、何気ない毎日を穏やかに過ごせること。その暮らしを守り、将来の選択肢を増やすために投資がある。
40代になった今は、そう考えています。


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