最近は「資産形成ならインデックス投資」という考え方が、かなり一般的になりました。
S&P500やオルカンを長期間積み立てる。銘柄選びをする必要がなく、低コストで幅広い企業に分散できる。
私自身もインデックス投資をしていますし、資産形成の方法として非常に優秀だと思っています。
ただ、以前から少し疑問に感じていることもあります。
インデックス投資が優秀だからといって、個別株投資まで「やらない方がいい」と考える必要があるのでしょうか。
私は長年、国内株や米国株の個別株にも投資してきました。
特にコロナショックでは株価が大きく下落しましたが、その後、株価が何倍にも上昇した企業も少なくありません。
そこで今回は、「なんとなく個別株も結構上がっている」という感覚ではなく、実際の運用成績を確認してみることにしました。
なお、この記事では個人の資産額や利益額そのものは公開せず、収益率のみを使用します。
MONEX投資力診断で約8年間の実績を確認
今回利用したのは、マネックス証券の「MONEX投資力診断」です。
証券口座の資産残高だけを見ても、本当の投資成績は分かりません。
途中で100万円を入金すれば資産残高は100万円増えますが、それは投資で100万円儲かったわけではないからです。
MONEX投資力診断では、入出金の影響を除外して収益率などを計算しています。
私の場合、2018年8月末から2026年8月までの成績は次のようになりました。
| 分類 | 累計収益率 | 年率換算 |
|---|---|---|
| 国内株式 | +213.80% | +15.52% |
| 米国株式 | +192.45% | +14.51% |
| 投資信託 | +125.55% | +10.81% |
| 総合 | +210.70% | +15.38% |
最初にこの数字を見たときは、
「年率15%なら、かなり良い成績なのでは?」
と思いました。
年率15%前後のリターンを約8年間積み重ねると、複利では元本が3倍前後になる計算です。
実際、MONEX投資力診断でも総合の累計収益率は+200%を超えています。
しかし、ここで気になったのがインデックスとの比較です。
国内個別株はTOPIXを上回っていた
まず国内株式から見てみます。
私の国内株の運用成績は、
一方、同じ2018年8月末からTOPIXに連動するインデックスファンドを保有していた場合を参考にすると、年率リターンはおおむね13%台後半になります。
国内個別株 約15.5%
TOPIX 約13.8%
少なくとも今回の約8年間では、私の国内個別株はTOPIXを上回っていました。
もちろん、過去にTOPIXを上回ったからといって、今後も市場平均を上回れる保証はありません。
それでも約8年間という期間で市場平均に対して悪くない結果を残せているのであれば、国内株については、自分で企業を選んできたことが完全に無意味だったとは思いません。
ただし日経平均にはわずかに届かなかった
一方、日経平均を配当込みのトータルリターンで見ると、結果が変わります。
同じ期間の日経平均トータルリターンを参考にすると、年率ではおよそ16%台になります。
私の国内株 約15.5%
日経平均・配当込み 約16%台
日経平均には少し負けています。
国内株についてまとめると、
- TOPIXには勝った
- 日経平均には少し負けた
という結果でした。
米国株ではS&P500の強さを思い知らされた
今回、最も大きな差がついたのが米国株でした。
私の米国株の成績は、
です。
年率14%台なら、それだけを見れば十分に高い運用成績だと思います。
ところが、同じ時期のS&P500連動ファンドを配当を含む円ベースで比較すると、年率はおよそ19%台になります。
私の米国個別株 約14.5%
S&P500 約19%台
年率で数ポイントの差があります。
米国株については、結果だけを見れば、自分で銘柄を選ぶよりS&P500を保有していた方が高いリターンになっていました。
全世界株式と比べると総合成績は少し下
次に、資産全体の運用成績を全世界株式と比較してみます。
現在人気のeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は2018年10月に設定されたため、私のMONEX投資力診断の開始日である2018年8月末とは完全には一致しません。
そこで、2018年8月末から比較できる全世界株式インデックスファンドも参考にしました。
同期間では、全世界株式の年率リターンはおおむね16%台後半となります。
私の総合運用 15.38%
全世界株式 約16%台後半
全世界株式にも少し負ける結果となりました。
ただし、S&P500ほど大きな差ではありません。
約8年間の結果をまとめると
| 比較 | 私の実績 | 指数参考値 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 国内株 vs TOPIX | 15.52% | 約13.8% | 国内株が上 |
| 国内株 vs 日経平均TR | 15.52% | 約16%台 | 日経平均がやや上 |
| 米国株 vs S&P500 | 14.51% | 約19%台 | S&P500が上 |
| 総合 vs 全世界株式 | 15.38% | 約16%台後半 | 全世界株式がやや上 |
※比較期間や使用する指数・ファンドにはわずかな違いがあるため、インデックス側の数字は参考値です。できるだけ配当を考慮した円ベースの比較になるようにしています。
私の個別株投資は、かなりインデックスに近いのかもしれない
今回の結果を見て、もう一つ気づいたことがあります。
私の個別株投資は、数銘柄に資金を集中させるような投資ではありません。
多くの銘柄を保有し、業種もできるだけ分散しています。
そのため「個別株投資」とはいっても、ポートフォリオ全体で見ると、かなりインデックスに近い性格を持っているのかもしれません。
集中投資ほど大きく勝ちにくい代わりに、1社の失敗で資産全体が大きく傷つきにくい。分散を重視した個別株投資だからこそ、結果も市場平均に近づきやすいのだと思います。
例えば、10銘柄しか持っていないポートフォリオで、そのうち1銘柄が10倍になれば、資産全体への影響はかなり大きくなります。
反対に、その1銘柄が大きく下落すれば、ポートフォリオ全体も大きな打撃を受けます。
銘柄数を増やして分散すれば、一つの企業が何倍になっても全体への影響は小さくなります。
しかし同時に、特定企業の業績悪化や減配、株価暴落によるダメージも小さくできます。
私はどちらかというと、こちらの考え方です。
インデックスほど機械的ではない。
でも集中投資ほど一つの企業には賭けない。
多くの企業に分散しながら、自分が良いと思う企業を選ぶ。
そう考えると、国内株の年率15.52%がTOPIXや日経平均と比較的近い数字になったことにも納得できます。
TOPIXそのものを買っているわけではありませんが、十分に分散したうえで、利益成長や増配、財務、割安さなどを見ながら銘柄を選んでいる。
言ってみれば、「自分で作った分散型ポートフォリオ」に近いのかもしれません。
日本株では、その銘柄選択が少しプラスに働き、TOPIXを上回った可能性があります。
一方、米国株ではS&P500に含まれる一部の巨大成長企業の上昇が非常に強く、私の分散したポートフォリオでは、その恩恵を指数ほど大きく受けられなかった可能性があります。
これも集中投資ではなく、分散投資を選んでいる以上、ある程度は受け入れる必要がある部分だと思います。
私にとって配当金は「数字」だけではない
ここまで収益率だけを比較してきましたが、私の投資にはもう一つ大切な要素があります。
それが配当金です。
私は受け取った配当金をすべて再投資しているわけではありません。
一部は再投資しますが、一部は日々の生活にも使っています。
配当金は資産を増やすためだけのお金ではなく、実際の生活を支えてくれるキャッシュフローにもなっています。
外食をしたり、買い物をしたり、生活費の一部に充てたりする。
株を売却しなくても、保有企業から定期的に現金が入ってくることには、実際かなり助けられています。
これは単純な「何%儲かったか」という数字だけでは表しにくい、個別株投資の魅力の一つだと感じています。
もちろん、インデックス投資でも必要な分だけ投資信託やETFを取り崩せば、生活に使う現金を作ることはできます。
それでも私にとっては、「保有株を売らずに配当という形で現金を受け取れる」という仕組みが、自分の投資スタイルに合っています。
もし配当金をすべて再投資していたら?
ここで一つ気になることがあります。
受け取った配当金を生活に使わず、すべて株式に再投資していたら、今の資産はもっと増えていたのではないか?
これは、その可能性が高いと思います。
配当金で新しい株を買えば保有株数が増え、その株からさらに配当を受け取れます。
さらに株価が上昇すれば、再投資した資金にも値上がり益が乗ります。
いわゆる複利効果です。
そのため、過去に受け取った配当を一円も使わず、すべて再投資していたなら、現在の資産額や年間配当額は今より大きくなっていた可能性が高いでしょう。
ただし、表示されている年率15%台に配当利回りをもう一度足すことはできません。
MONEX投資力診断の収益率とは別に配当利回りを単純加算すると、配当を二重に数えてしまう可能性があるためです。
「すべて再投資していたら現在いくらになっていたか」を正確に計算するには、受取時期、税引後の配当額、再投資先、再投資時の株価などを一つずつ確認する必要があります。
そのため今回は、「全額再投資なら○○円になっていた」という推計は行いません。
ただ、少なくとも配当金の一部を生活に使いながら、約8年間の総合運用実績が年率15%台だったということには、私自身かなり満足しています。
投資の目的は資産額を最大化することだけではない
もし投資の目的が「将来の資産額を最大化すること」だけなら、配当を含めた収益をすべて再投資する方が合理的です。
生活に使えば、その分だけ複利に回せる資金は少なくなります。
ただ、私は投資を将来のためだけにしているわけではありません。
将来の資産形成もしながら、今の生活にも投資の恩恵を受ける。
私にとって配当金は、そのための大切なキャッシュフローです。
何十年も資産を増やし続け、最後までほとんど使わないことだけが投資の正解だとは思っていません。
配当を受け取り、その一部を生活に使いながら、残りの資産は企業とともに成長していく。
このバランスも、私が個別株投資を続けている理由の一つです。
「個別株はやるだけ無駄」という結果ではなかった
実際に数字を比べてみると、日本株ではTOPIXを上回っていましたが、米国株ではS&P500にかなり差をつけられています。
約8年間の総合リターンが年率15%台だったことを考えると、「個別株投資をしたことで運用に失敗した」とも思いません。
また、私の場合はかなり分散しているので、そもそも集中投資のようにインデックスを大きく上回ることを狙ったポートフォリオでもありません。
日本株では、分散しながらも銘柄選択が比較的うまく機能した。
米国株では、S&P500をそのまま保有する強さが際立った。
インデックスを土台に、個別株も持つ
今回改めて感じたのは、
インデックスか個別株か、どちらか一つを「正解」にする必要はない。
市場全体の成長を取りにいく部分はインデックス。
配当、増配、利益成長、財務、割安さなどを見て魅力を感じる企業には個別株で投資する。
私には、この組み合わせが合っていると感じています。
まとめ|年率15%でもインデックスに負けることがある
今回、自分の約8年間の投資成績を主要なインデックスと比較してみました。
年率15%を超える運用成績でも、インデックスに負けることがある。
インデックス投資がなぜ多くの人に支持されているのか、数字を見るとよく分かります。
一方で、今回の比較で改めて感じたのは、投資の価値を収益率だけで判断する必要もないということです。
私はかなり多くの企業に分散して個別株を保有し、そこから配当金を受け取り、その一部を生活にも使ってきました。
全額を再投資していれば、現在の資産額はもっと大きくなっていた可能性があります。
それでも、投資によって得たお金が実際の生活を支えてくれたことにも、十分な意味があったと思っています。
資産を育てながら、配当という形で今の生活にも投資の恩恵を受ける。
インデックス派の皆さん、安心してください
そして今回、自分の約8年間の運用成績を実際に比較して、もう一つはっきり感じたことがあります。
インデックス派の皆さん、安心してください。
インデックス投資を選んだことは、決して間違いではないと思います。
私は個別株を長年続けていますし、これからも個別株投資をやめるつもりはありません。
それでも実際の数字を比べてみると、S&P500や全世界株式の強さは素直に認めざるを得ませんでした。
多くの企業に自動的に分散し、企業分析に多くの時間をかけなくても市場全体の成長を取り込める。
しかも今回の約8年間では、私がかなり分散した個別株ポートフォリオを運用して年率15%台の成績を残していても、S&P500はさらに高いリターンを残しました。
インデックス投資は単に「初心者向けだから無難」というだけの投資ではありません。
長期的な資産形成を考えるうえで、本当に強力な選択肢だと改めて感じました。
一方で、個別株にも配当、増配、割安な企業を探す楽しさや、自分で企業を選び長期間保有する面白さがあります。
インデックス投資も正解。
個別株投資も、自分に合った方法なら十分選択肢になる。
私はこれからもインデックス投資を活用しながら、利益成長や増配が期待できる個別株への投資も続けていくつもりです。
数年後にもう一度同じ比較をしたとき、個別株がインデックスに勝っているのか、それともさらに差を広げられているのか。
それも長期投資を続ける楽しみの一つだと思っています。
データ・比較について
筆者の運用実績は、MONEX投資力診断に表示された2018年8月末~2026年8月の収益率を使用しています。資産額・収益額そのものは公開していません。
MONEX投資力診断は入出金の影響を除外して収益率等を算出する仕組みです。そのため、表示された収益率に配当利回りを単純に加算することはしていません。
配当金をすべて再投資した場合の仮想資産額については、配当の受取時期、税引後金額、再投資先、再投資時の株価などによって結果が変わるため、本記事では具体的な推計を行っていません。
インデックスとの比較では、できるだけ同時期かつ配当を考慮した円ベースの指数・インデックスファンドを参考にしています。ただし基準日、信託報酬、トラッキングエラーなどの違いがあるため、完全に同一条件の比較ではありません。
参考資料:マネックス証券「MONEX投資力診断」、日本取引所グループ、日経平均プロフィル、各インデックスファンドの公表データ。
過去の運用実績は将来のリターンを保証するものではありません。本記事は特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではなく、筆者自身の運用実績を振り返ったものです。


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