地方不動産株は何で稼ぐ?フジ住宅・長栄など4社の強みと業績を比較

個別株分析

不動産会社と聞くと、どの会社も「土地を買って、建物を建てて、販売して利益を得る」というイメージがあるかもしれません。

しかし、決算を読んでみると会社ごとに稼ぎ方はかなり違います。

新築住宅の販売が中心の会社もあれば、中古住宅の再生販売に強い会社、賃貸マンションの管理料を積み上げる会社、自社で不動産を保有して家賃収入を得る会社もあります。

特に気になったのが、首都圏の大手総合デベロッパーとは少し違う地方発・地域密着型の不動産会社です。

今回は、フジ住宅、長栄、グランディハウス、ホームポジションの4社について、最新決算を確認しながら、
「何で稼いでいる会社なのか」「現在どの事業が伸びているのか」「金利上昇にはどこが弱点になるのか」
を比較してみます。

地方不動産株4社、実は稼ぎ方がかなり違う

まず4社の特徴を簡単に整理します。

会社 主な地域 主な稼ぎ方 今回の注目点
フジ住宅 大阪・阪神間中心 新築・中古住宅・土地活用・賃貸管理 中古住宅と管理事業が成長
長栄 京都中心 賃貸管理・自社不動産の賃貸 管理料+家賃のストック収益
グランディハウス 栃木・北関東発 戸建住宅販売 販売棟数回復+利益率改善
ホームポジション 静岡発・関東+東海 戸建分譲 大幅増益・利益率改善

同じ不動産株でも、フジ住宅と長栄は管理収入を持っています。

一方、グランディハウスとホームポジションは戸建販売の比重が高く、住宅販売の好不調が業績に反映されやすい会社です。

「不動産株だから同じ」という見方をせず、どこから利益が出ているのかを見る。
今回4社を調べていて、ここが一番重要だと感じました。

① フジ住宅|新築だけではない事業構成が強み

最初は大阪府岸和田市に本社を置くフジ住宅です。
私も保有している銘柄なので、決算は継続して確認しています。

フジ住宅という名前だけを見ると戸建住宅会社という印象がありますが、実際にはかなり幅広い事業を展開しています。

・分譲住宅

・中古住宅の買取・再販

・賃貸アパートなどの土地有効活用

・賃貸住宅の管理

・サービス付き高齢者向け住宅など

この複数の事業を持っていることが、現在のフジ住宅を見るうえで重要だと思っています。

1Q全体は減益。それでも中身を見ると違った景色が見える

2027年3月期第1四半期は、売上高352億7,800万円で前年同期比4.9%減、
営業利益20億3,500万円で19.2%減、純利益11億1,600万円で30.4%減となりました。

この数字だけを見れば、今回取り上げる4社の中でフジ住宅だけ業績が悪いようにも見えます。

ただし前年同期には大型分譲マンションの竣工・引き渡しがあり、その反動が大きく出ています。
不動産販売は引き渡し時期によって四半期業績が動きやすいため、全社の売上高だけで判断するのは難しい会社です。

中古住宅は売上52.6%増、利益126.3%増

私が今回特に注目したのは住宅流通事業です。

住宅流通事業

売上高:前年同期比 52.6%増

セグメント利益:前年同期比 126.3%増

新築住宅価格が上昇している中では、中古戸建てや中古マンションを選ぶ需要も増えやすくなります。

フジ住宅には、中古住宅を仕入れ、改装して再販売する事業があります。
新築だけではなく中古住宅という選択肢を持っていることが、現在の住宅市場では強みになっているように見えます。

管理事業は安定収益と成長の両方を期待できる

もう一つ注目しているのが「賃貸及び管理事業」です。

第1四半期も管理戸数の積み上がりによって、売上高は前年同期比7.7%増、セグメント利益は5.7%増となりました。

住宅販売は、住宅が売れれば大きな売上になりますが、翌年も同じだけ販売しなければ売上を維持できません。

一方、賃貸管理は一度管理を受託すれば、管理戸数が維持される限り継続的な収入につながります。

フジ住宅の収益構造

新築住宅を販売する

中古住宅の再生販売でも稼ぐ

賃貸アパートを建築・販売する

その後の管理収入も積み上げる

会社の2027年3月期通期見通しでも、住宅流通、土地有効活用、毎期安定的に拡大している賃貸・管理の3事業が全体を牽引するとしています。

フジ住宅を見るときは、今後「何戸の新築住宅を売ったか」だけではなく、
中古住宅の販売と管理戸数がどこまで伸びるかを追うことが重要だと思います。

配当は派手ではないが、安定性を重視

フジ住宅は「累進的配当政策」を採用しています。

原則として減配せず、配当維持または増配とする方針で、利益が大きく増えた場合には特別配当による還元も検討するとしています。

急激に配当性向を高めるタイプではありませんが、不動産会社は土地や住宅在庫などに多くの資金が必要です。
財務余力を残しながら安定配当を続けるという考え方には一定の合理性があると思います。

株主優待もあり、500株以上ではQUOカード1,000円分、1,000株以上ではJCBギフトカード3,000円分となっています。

② 長栄|「管理料+家賃」で稼ぐ京都の不動産会社

長栄は京都を中心に賃貸マンションの管理や不動産賃貸を手掛ける会社です。

フジ住宅やグランディハウスと比べても、収益構造はかなり違います。

主な柱は、

不動産管理事業

賃貸マンションの管理、仲介、修繕工事などから収入を得る。

不動産賃貸事業

自社で保有するマンションなどから家賃収入を得る。

最新1Qは営業利益46%増

2027年3月期第1四半期は、

売上高:29億5,900万円 +16.5%

営業利益:7億7,000万円 +46.0%

経常利益:6億2,200万円 +51.6%

純利益:4億1,600万円 +49.4%

不動産管理事業では、管理戸数の増加に加えて売買仲介や外壁改修工事などが伸びました。

不動産賃貸事業では、前期に取得した物件が業績に貢献しています。

売上高だけでなく営業利益が大きく伸びており、現在の業績はかなり好調です。

住宅を毎年売り続けなくても収入が入る

長栄の面白さは、管理料と家賃というストック型収益を多く持っていることです。

戸建住宅販売の場合、今期300戸売ったとしても翌期にはまた新しい住宅を販売する必要があります。

賃貸管理なら管理契約が続く限り収入が入り、自社物件も入居者がいれば家賃収入が継続します。

景気にまったく左右されないわけではありませんが、住宅販売一本の会社と比べると収益の安定性は高いと考えられます。

ただし、自社物件を持つということは借入金にも注目

長栄を「管理会社だから金利上昇にも強い」とだけ考えるのは少し危険です。

自社で収益不動産を保有するには多額の資金が必要で、借入を利用して物件を取得すれば金利上昇によって支払利息が増えます。

収入の安定性は魅力。ただし有利子負債と支払利息は継続して確認する。
私なら長栄はこのように見ます。

③ グランディハウス|北関東発、戸建販売の回復で利益急増

グランディハウスは栃木県宇都宮市に本社を置く住宅会社です。

栃木・茨城・群馬など北関東を地盤として成長し、現在は埼玉、千葉、神奈川など首都圏にも事業地域を広げています。

会社の中心は戸建住宅の販売です。

最新1Qは営業利益2.5倍

2027年3月期第1四半期は、

売上高:138億2,200万円 +9.7%

営業利益:7億3,100万円 +153.8%

経常利益:6億5,000万円 +213.0%

純利益:4億4,200万円 +269.1%

売上高が9.7%増なのに対して、営業利益は153.8%増。

単純に住宅をたくさん売っただけではなく、収益性も大きく改善しています。

主力の不動産販売では新築住宅の販売棟数が310棟となり、前年同期より31棟増加しました。
在庫管理や販売価格の適正化も利益改善につながっています。

グランディハウスで評価したい点

住宅市場が簡単ではない中でも販売棟数を伸ばし、売上以上のペースで利益を増やしていることです。
今後もこの利益率を維持できるかがポイントになりそうです。

戸建中心なので住宅ローン金利の影響は受けやすい

グランディハウスの弱点を挙げるなら、長栄ほど大きなストック収益を持っていないことです。

戸建住宅の購入では住宅ローンを利用する人が多く、金利が上がれば毎月の返済負担も増えます。

そのため今後は、

・販売棟数

・販売価格

・在庫量

・営業利益率

を継続して確認したいと思います。

配当の安定性も意識した会社

グランディハウスは、各年度の連結最終利益の範囲内でDOE(純資産配当率)3.5%程度を目安とし、
年間32円を下回らない水準の維持に努める方針を示しています。

ただし、2期以上連続して損失となるなど財務状態が大きく悪化した場合には、配当額の見直しを検討するとしています。

高配当だけを見るのではなく、利益と配当の両方を確認しておきたい会社です。

④ ホームポジション|静岡発の戸建会社、利益率改善が目立つ

ホームポジションは静岡で創業した戸建分譲会社です。

現在は本社を東京都中央区に置き、関東と東海を中心に事業を展開しています。
そのため現在は純粋な「地方企業」というより、地方発で首都圏へ事業を拡大している住宅会社と考える方が実態に近いでしょう。

事業は戸建分譲に集中しています。

3Q累計は営業利益88%増

2026年8月期第3四半期累計は、

売上高:133億9,700万円 +10.4%

営業利益:6億4,600万円 +88.0%

経常利益:4億6,300万円 +145.0%

純利益:3億2,700万円 +297.7%

売上高の伸びが10%程度なのに対して、利益の伸びはかなり大きくなっています。

優良土地の仕入れ、販売活動の効率化、施工管理体制の改善などが奏功しており、
会社は2026年8月期の通期業績予想も上方修正しました。

修正後の通期予想は、売上高190億円、営業利益10億4,000万円、純利益5億4,000万円です。

成長局面だからこそ在庫と借入金も見る

業績はかなり良いのですが、私は財務面も確認しておきたいと思います。

第3四半期末には仕掛販売用不動産が前期末から29億円以上増加し、短期・長期の借入金も増えました。

自己資本比率は前期末の39.9%から35.1%へ低下しています。

土地を仕入れなければ将来販売する住宅も作れないので、在庫や借入金が増えること自体を悪材料とは考えていません。

ただし、金利が上昇している環境では資金調達コストも以前より高くなります。

仕入れた土地が予定通り住宅販売につながっているか。
ホームポジションでは今後ここを特に見たいと思います。

金利上昇の影響も「稼ぎ方」によって違う

日本銀行の金融政策が正常化に向かい、不動産会社にとって金利は無視できない材料になっています。

ただ、「金利が上がったから不動産株は全部ダメ」と考えるのは少し単純すぎると思います。

今回の4社だけでも、影響の受け方は違います。

会社 主な収益源 ストック収益 金利上昇で見る点
フジ住宅 新築+中古+土地活用+管理 住宅需要・借入金・管理成長
長栄 管理料+家賃 有利子負債・支払利息
グランディハウス 戸建販売 住宅ローン・販売棟数・在庫
ホームポジション 戸建分譲 住宅ローン・在庫・借入金

長栄は住宅ローン金利の影響を直接受けにくい一方、自社物件取得に伴う借入金には注意が必要です。

グランディハウスとホームポジションは住宅ローン金利の影響を受けやすいですが、
現在は販売や利益率改善によって業績を伸ばしています。

フジ住宅はその中間にあり、住宅販売の影響を受けながら、中古住宅や管理事業が収益を補完しています。

私が4社を見て感じたそれぞれの強み

フジ住宅

新築だけではなく、中古住宅・土地活用・賃貸管理まで持つ事業分散が魅力。
特に今後は管理戸数の積み上がりを追いたい。

長栄

管理料と家賃収入というストック型事業が魅力。
4社の中では最も住宅販売会社らしくない収益構造。

グランディハウス

北関東を地盤に戸建販売を伸ばし、現在は首都圏へ展開。
最新決算では販売回復だけでなく収益性改善が目立つ。

ホームポジション

戸建分譲に集中しながら利益率が大きく改善。
成長性は魅力だが、在庫と借入金の増え方をセットで確認したい。

まとめ|地方不動産株は「何で稼ぐ会社なのか」を見ると面白い

今回4社を調べてみて、一番印象に残ったのは同じ不動産株でも会社によって収益構造がまったく違うことでした。

フジ住宅は、新築・中古・土地活用・賃貸管理。

長栄は、賃貸管理と家賃収入。

グランディハウスは、北関東を中心とした戸建販売。

ホームポジションは、戸建分譲に集中して利益率を高めています。

不動産株というと、金利や地価だけに目が向きがちです。

もちろん金利上昇は重要なリスクですが、それだけで会社の良し悪しは判断できません。

私が今後確認したいポイント

① どの事業が利益を生み出しているのか

② 管理・賃貸など継続収入があるか

③ 土地・住宅在庫を増やしすぎていないか

④ 借入金と支払利息が増えすぎていないか

⑤ 利益成長と配当を両立できているか

⑥ 地域を広げても強みを維持できるか

私が保有しているフジ住宅については、中古住宅と賃貸管理の成長を今後も注目していきたいと思っています。

長栄のストック型事業も興味深く、グランディハウスとホームポジションの利益成長も見逃せません。

大手不動産会社には規模や資金力という強さがありますが、地方発・地域密着型の不動産会社には、
特定地域で積み上げた営業力や管理戸数、独自の住宅販売モデルがあります。

PERや配当利回りだけを見るのではなく、「この会社は何で稼ぎ、その利益を今後も増やせるのか」まで調べると、
地方不動産株の見え方もかなり変わってくるのではないでしょうか。

参考資料

・フジ住宅「2027年3月期 第1四半期決算説明資料」「株主還元」

・長栄「2027年3月期 第1四半期決算資料」

・グランディハウス「2027年3月期 第1四半期決算短信」「株主還元方針」

・ホームポジション「2026年8月期 第3四半期決算短信」

・日本銀行「金融政策に関する決定事項等」

※本記事は2026年8月時点で公表されている各社の決算資料・IR情報等をもとに、
個人的な見解をまとめたものです。特定銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。
株式投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身でお願いいたします。

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