最近、大手不動産会社の株価がかなり下がっています。
中でも気になったのが三井不動産(8801)です。
2026年8月18日には一時1,425円まで下落し、年初来安値を更新しました。
終値も1,444.5円まで下がっています。
調べてみると、下がっているのは三井不動産だけではありません。
三菱地所、住友不動産など、大手不動産株にも大きな調整が入っています。
一方、私は以前からヒューリック(3003)を保有しており、
現在も含み益は約68%あります。
そのため、不動産株全体がここまで下がっていることを正直あまり意識していませんでした。
しかし改めて4社の株価、業績、配当、金利負担を確認してみると、
単純に
「金利が上がっているから不動産株は危険」
と片付けるには、少しもったいない状況にも見えます。
大手不動産会社の業績は本当に悪化しているのか。
金利上昇リスクを株価がかなり織り込んだ今は、
むしろ長期投資では買い始めてもよい局面なのではないか。
今回は、
- 三井不動産
- 三菱地所
- 住友不動産
- ヒューリック
を比較しながら、
現在の不動産株について考えてみます。
※株価・投資指標は原則として2026年8月18日終値を基準にしています。PERなどは情報提供会社や計算方法によって多少異なる場合があります。
- 不動産株が売られている最大の理由は「金利」
- 大手不動産株はどこまで下がった?
- 4社は同じ規模の会社ではない
- 日経平均PERと比べても割安感が出ている
- 三井不動産|調べるほど長期投資で気になる会社
- 三菱地所|丸の内という圧倒的な資産を持つ
- 住友不動産|株価は約4割下落、それでも利益は過去最高
- ヒューリック|業績は好調だが、金利上昇の影響も見えてきた
- 4社を比較すると、それぞれ魅力が違う
- 不動産株の本当のリスクは「借金が多いこと」だけではない
- それでも私は、この局面なら買い始めてもよいと思う
- 今買うなら一括ではなく分割したい
- 今、私が一番気になるのは三井不動産
- まとめ|不動産株は「全面買い」ではないが、買い始める局面
不動産株が売られている最大の理由は「金利」
今の不動産株を考えるうえで、避けて通れないのが金利です。
2026年8月18日、日本の新発10年国債利回りは一時
2.945%まで上昇しました。
約30年ぶりの高い水準です。
日銀の政策金利は現在1.0%程度ですが、
長期金利はすでに3%目前まで上がっています。
不動産会社はオフィスビル、商業施設、マンション、ホテル、物流施設などを開発するために、
多額の資金を調達します。
そのため市場では、
↓
借り換え時の資金調達コスト上昇
↓
不動産投資に求められる利回りも上昇
↓
不動産会社の利益や資産価値への警戒
↓
株価のPER・PBRが低下
という連想が働きやすくなります。
今の不動産株は、
業績そのものだけではなく、
「これから金利がさらに上がったらどうなるのか」
という将来リスクをかなり先回りして売られているように感じます。
大手不動産株はどこまで下がった?
2026年の年初来高値と8月18日終値を比較すると、
下落の大きさがよく分かります。
| 銘柄 | 8月18日終値 | 年初来高値 | 高値から | PER目安 | PBR目安 | 予想配当利回り |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 三井不動産 | 1,444.5円 | 2,158円 | 約▲33% | 約14倍 | 約1.2倍 | 約2.6% |
| 三菱地所 | 3,601円 | 5,406円 | 約▲33% | 約18倍 | 約1.6倍 | 約1.4% |
| 住友不動産 | 3,314円 | 5,358円 | 約▲38% | 約14倍 | 約1.3倍 | 約1.6% |
| ヒューリック | 1,739.5円 | 2,094円 | 約▲17% | 約11倍 | 約1.5倍 | 約3.9% |
三井不動産と三菱地所は高値から約3分の1、
住友不動産は4割近く下落しています。
一方、ヒューリックは約17%の下落にとどまっており、
4社の中では相対的に強い動きです。
私自身、ヒューリックを以前から保有していて現在も含み益が約68%あるため、
今回の下落でも取得価格からはかなり上にあります。
長期保有していると、
高値から10~20%下がっても含み益が十分残っているので、
短期的な下落に気づきにくいことがあります。
4社は同じ規模の会社ではない
今回4社を比較していますが、
企業規模まで同じというわけではありません。
三井不動産、三菱地所、住友不動産は、
いわゆる大手3大総合デベロッパーです。
時価総額はおおむね3~4兆円台あります。
それに対してヒューリックは時価総額約1.3兆円で、
大企業ではありますが3社より一回り小さい会社です。
「同規模4社」というより、
「3大総合デベロッパー+ヒューリック」
という比較になります。
ただし、長期投資で不動産株を選ぶという目的なら、
ヒューリックを比較対象に入れる意味は十分あります。
特に配当利回りや増配という観点では、
3大デベロッパーとは違った魅力があります。
日経平均PERと比べても割安感が出ている
8月18日時点の日経平均のPERは、
加重平均で17.43倍です。
これに対して、
三井不動産と住友不動産は約14倍、
ヒューリックは約11倍です。
三菱地所は18倍前後なので、
4社すべてが日経平均より割安というわけではありません。
ただ、不動産株には全体として
金利上昇に対するディスカウント
が入っていることは感じます。
PERが低い=市場が間違っている、ではありません。
金利が上がれば、不動産会社に求められる株式の期待利回りも高くなるため、
以前より低いPERが適正になる可能性があります。
重要なのは、
「低PERになった理由を業績成長で乗り越えられる会社なのか」
を見ることだと思います。
三井不動産|調べるほど長期投資で気になる会社
今回、私が最も興味を持ったのが三井不動産です。
銘柄スカウターで長期業績を見ると、
売上高は長期的に増加し、
EPSも増加傾向、
配当も積極的に増やしています。
2026年3月期は、
売上高、事業利益、経常利益、純利益が過去最高となり、
売上高は14期連続で過去最高を更新しました。
2027年3月期の会社予想も、
- 売上高:2兆8,000億円(前期比3.3%増)
- 営業利益:4,100億円(同3.1%増)
- 事業利益:4,500億円(同1.1%増)
- 経常利益:3,150億円(同0.5%増)
- 純利益:2,850億円(同2.3%増)
- 予想EPS:105.77円
- 年間配当:37円予想
と、引き続き過去最高水準を狙っています。
1Qは大幅減益だが、数字だけで判断すると誤解しやすい
2027年3月期第1四半期だけを見ると、
- 売上高:前年同期比23.1%減
- 営業利益:同35.4%減
- 純利益:同39.0%減
となっています。
一見すると、
「業績が急激に悪化したのでは?」
と思ってしまいます。
しかし前年同期には物件売却による大きな利益があり、
その反動が出ています。
一方で、
賃貸・マネジメント・施設営業の事業利益は、
すべて第1四半期として過去最高を更新しました。
賃貸事業の事業利益は前年同期比60億円増の517億円。
施設営業もホテルや東京ドームなどの伸びによって増益となっています。
会社側も通期業績予想を変更していません。
三井不動産は「本業が悪化して株価が3割下がった」という状態ではありません。
物件売却のタイミングによって四半期業績は大きく動くものの、
賃貸などの基礎的な収益はむしろ伸びています。
金利上昇にもすぐ全額が影響するわけではない
もちろん三井不動産も多額の有利子負債を抱えています。
ただし同社は円貨借入について、
約90%を長期・固定金利化しています。
つまり長期金利が3%近くになったからといって、
既存の借入金すべてが翌日から3%になるわけではありません。
金利上昇の影響は、
今後借り換えが進む中で徐々に表れてきます。
これは安心材料である一方、
数年先まで見ると借り換えコスト上昇は無視できません。
株主還元もかなり積極的
三井不動産は現在、
- 総還元性向50%以上
- 配当性向35%程度
- 持続的な利益成長と連動した累進配当
- 機動的・継続的な自社株買い
を株主還元方針として掲げています。
単純な高配当株ではありませんが、
利益成長 → EPS成長 → 増配 → 自社株買い
という流れを期待できる会社です。
私が長期保有する銘柄に求めたいものに、
かなり近い会社だと感じました。
三菱地所|丸の内という圧倒的な資産を持つ
三菱地所の最大の魅力は、
やはり丸の内を中心とする東京都心の不動産です。
こうした超一等地の資産は、
新しく同じものを作ろうとしても簡単には作れません。
2027年3月期第1四半期は、
- 営業収益:4,976億円(前年同期比39.4%増)
- 営業利益:1,212億円(同94.3%増)
- 経常利益:1,081億円(同94.3%増)
- 純利益:954億円(同198.3%増)
と大幅な増益でした。
通期でも、
営業収益2兆円、
営業利益3,700億円、
純利益2,350億円を予想しており、
増収増益計画です。
年間配当も46円から49円への増配を予定しています。
業績だけを見ると、
三菱地所も「不動産会社だから業績が悪い」という状態ではまったくありません。
ただし現在のPERは18倍前後、
配当利回りは約1.4%です。
今回比較した4社では、
株価が大きく下がった割には
バリュエーション面の割安感は三井不動産やヒューリックほど強くない
と私は感じます。
丸の内という資産価値をどこまで高く評価するかが、
投資判断のポイントになりそうです。
住友不動産|株価は約4割下落、それでも利益は過去最高
今回の4社で、
年初来高値から最も大きく下がっているのが住友不動産です。
5,358円から3,314円まで下落しており、
高値から約38%の調整です。
ところが最新の第1四半期は、
- 売上高:2,810億円(前年同期比4.2%減)
- 営業利益:1,028億円(同1.0%増)
- 経常利益:1,087億円(同3.3%増)
- 純利益:851億円(同15.4%増)
となっています。
減収ではありますが、
営業利益、経常利益、純利益はいずれも第1四半期として過去最高です。
特に東京のオフィスを中心とする不動産賃貸事業では、
稼働率改善や賃料上昇が利益を押し上げています。
住友不動産についても、
「業績悪化で株価が4割近く下がった」
とは言いにくい状況です。
増配方針もかなり積極的
住友不動産は2026年3月期の年間配当を44円とし、
2027年3月期は52円を予定しています。
さらに会社は、
配当性向35%に達するまで
年間8円以上の累進配当を継続する方針を示しています。
三井不動産とは少し形が違いますが、
住友不動産も
利益成長+増配
という長期投資で見やすい会社です。
株価下落率だけで見れば、
私は三井不動産と並んでかなり気になる銘柄です。
ヒューリック|業績は好調だが、金利上昇の影響も見えてきた
そして私がすでに保有しているヒューリックです。
現在も含み益は約68%あります。
ヒューリックは3大デベロッパーより規模は小さいものの、
東京23区を中心とした好立地物件を多く保有し、
賃貸収入と不動産売買を組み合わせて利益を伸ばしてきました。
2026年12月期中間決算は、
- 売上高:4,166億円(前年同期比38.8%増)
- 営業利益:803億円(同7.0%増)
- 経常利益:708億円(同6.4%増)
- 純利益:499億円(同11.3%増)
と増収増益です。
通期についても、
- 営業利益:2,100億円(前期比12.4%増)
- 経常利益:1,850億円(同6.9%増)
- 純利益:1,210億円(同5.8%増)
- 予想EPS:159.34円
- 年間配当:67円
を計画しています。
現在の株価なら予想配当利回りは約3.9%。
私が高配当・増配株として長期保有している理由も、
改めて分かりやすい数字だと思います。
ただし、ヒューリックを見ると金利上昇の影響も確認できる
今回の決算で私が特に気になったのが、
支払利息です。
前年中間期の94億5,100万円から、
今中間期は142億4,900万円へ増加しています。
約5割の増加です。
それでも営業利益や経常利益、純利益は増えています。
これは現在のところ、
賃貸利益や物件売却など本業の成長が、
金利負担の増加を上回っている
ということです。
しかし同時に、
「金利上昇はまだ業績に影響していない」
と言い切るのも違います。
実際に支払利息は増え始めています。
今後の不動産株で見るべきなのは、
金利が上がるかどうかだけではなく、増えた利払いを利益成長で吸収できるか
だと思います。
4社を比較すると、それぞれ魅力が違う
| 銘柄 | 私が感じる強み | 気になる点 | 現在の印象 |
|---|---|---|---|
| 三井不動産 | 事業分散、長期的な売上・EPS成長、累進配当、自社株買い | 将来の借り換え金利、大型開発投資 | 新規購入の第一候補 |
| 三菱地所 | 丸の内を中心とする圧倒的な資産力 | 4社ではPERが高め、配当利回りが低め | 良い会社だが価格を見ながら |
| 住友不動産 | 都心オフィス、利益成長、積極的な累進配当 | 大幅調整が続くほど金利警戒が強い | 三井と並ぶ買い候補 |
| ヒューリック | 都心・駅近、利益成長、増配、高めの配当利回り | 支払利息が増加中 | 保有継続 |
不動産株の本当のリスクは「借金が多いこと」だけではない
不動産株のリスクとして、
私は次の点を見ておきたいと思います。
① 長期金利がさらに上がる可能性
現在すでに3%目前ですが、
3%が天井と決まったわけではありません。
さらに長期金利が上昇すれば、
不動産会社の適正PERそのものがもう一段低下する可能性があります。
② 借り換え時の支払利息増加
固定金利比率が高くても、
借入金にはいずれ満期が来ます。
現在の高い金利で借り換える割合が増えていけば、
利払い負担は数年かけて重くなる可能性があります。
ヒューリックですでに支払利息が増えていることからも、
この影響は机上の話ではありません。
③ 建設費と人件費の上昇
大型再開発では完成まで何年もかかります。
資材価格や人件費が想定以上に上がれば、
開発利益が圧迫される可能性があります。
④ 景気後退による空室・住宅販売への影響
不動産そのものは実物資産ですが、
不動産会社の株は景気敏感株でもあります。
景気が大きく悪化すれば、
オフィス需要、マンション販売、ホテル、商業施設などに影響が出ます。
⑤ 地震など大規模災害
東京都心に多くの資産を持つ企業では、
大規模地震なども無視できないリスクです。
耐震化や保険、防災計画などでリスクを抑えていても、
巨大災害の損失を完全になくすことはできません。
ただしこれは不動産株だけの問題ではなく、
首都圏を直撃する巨大災害なら日本株全体への影響も大きくなります。
それでも私は、この局面なら買い始めてもよいと思う
ここまでリスクを書きましたが、
私自身の結論は比較的はっきりしています。
現在の不動産株は、優良企業を選んで買い始めてもよい局面だと考えています。
理由は、
株価が大きく下がっている一方で、現時点では大手不動産会社の本業が大きく悪化していない
からです。
三井不動産は高値から約33%下落していますが、
賃貸・マネジメント・施設営業の事業利益は1Q過去最高。
住友不動産も約38%下落していますが、
営業利益、経常利益、純利益は1Q過去最高。
三菱地所も増益。
ヒューリックも増収増益です。
つまり現在は、
業績悪化によって株価が崩れている局面というより、
「長期金利3%時代に、不動産会社を何倍のPERで評価すればよいのか」
という不安から株価の評価倍率が大きく下がっている局面
と私は見ています。
もちろん市場が間違っているとは限りません。
今後、金利上昇による利払い負担が利益成長を上回れば、
現在の株価でも割安ではなかったという結果になる可能性があります。
それでも、
- 利益が伸びている
- EPSが増加している
- 増配している
- 一等地の不動産を保有している
- 賃料を引き上げられている
企業まで一律に大きく売られている現在は、
長期投資家にとって調べる価値の高い場面だと思います。
今買うなら一括ではなく分割したい
ただし、
私は「今が底値」と考えて一気に買うつもりはありません。
これほど大きな金利上昇局面を日本が経験するのは久しぶりです。
長期金利が3%を超えてさらに上昇する可能性もあります。
そのため、
新規に買うなら
少額で買い始める → 下がれば追加 → 決算と金利を確認してさらに追加
という買い方をしたいと思います。
底値を当てる必要はありません。
業績が崩れていない優良企業を、
市場が金利を怖がっている期間に少しずつ買っていく。
私にはその方が合っています。
今、私が一番気になるのは三井不動産
今回4社を改めて調べて、
私が新規投資先として最も気になったのは三井不動産です。
理由は単純に株価が33%下がったからではありません。
長期的に、
- 売上高が伸びている
- 利益が伸びている
- EPSが増加している
- 配当を増やしている
- 自社株買いも実施している
- オフィスだけでなく商業施設、ホテル、住宅、物流など事業が分散している
という点を評価しています。
高成長のグロース株とは違いますが、
利益成長と株主還元を両方期待できる大型株
としてかなり魅力を感じました。
住友不動産もかなり気になります。
一方、三菱地所は素晴らしい会社ですが、
現在のPERと配当利回りを考えると急いで買う必要はないと感じます。
ヒューリックについては、
私はすでに保有していて含み益も約68%あるため、
今のところ無理に買い増すより保有を続ける考えです。
まとめ|不動産株は「全面買い」ではないが、買い始める局面
現在の不動産株には、
金利上昇という明確なリスクがあります。
そしてその影響は、
ヒューリックの支払利息増加など、
すでに決算にも少しずつ現れています。
その意味で、
「株価が30%下がったから絶対に安い」
とは考えていません。
しかし一方で、
三井不動産、三菱地所、住友不動産、ヒューリックの最新業績を見る限り、
本業そのものが大きく崩れているわけではありません。
利益を伸ばし、
増配を続けながら、
株価だけが金利上昇への警戒から大きく調整している会社があります。
私の結論は、
「不動産株すべてが買い」ではない。
しかし、三井不動産や住友不動産のように業績が崩れていない優良企業は、
この局面から分割で買い始めてもよい。
30年ぶりともいえる大きな金利上昇局面なので、
今までの低金利時代と同じ物差しだけでは判断できません。
それでも、
金利リスクを理解したうえで、
利益成長、EPS、配当、財務を確認しながら少しずつ買うのであれば、
現在の大幅調整は長期投資家にとって一つのチャンスになり得ると思います。
私自身はヒューリックを引き続き保有しながら、
新たな不動産株としては三井不動産を中心に、
今後の株価と金利、決算を確認していきたいと思います。
※本記事は筆者個人の投資記録・考察を目的としたものであり、特定銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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