イオン株はなぜ下がる?PER47倍でも人気の理由|株主優待・300株・配当方針を分析

個別株分析

イオン(8267)の株価が冴えません。

私自身も今年、株主優待を目的にイオン株を購入しましたが、執筆時点では約2.8%の含み損となっています。

ただ、イオンについて改めて調べてみると、
単純に「株価が下がっているからダメな株」と判断するのは少し違うように感じます。

イオンには非常に強い株主優待があり、
普段からイオンやマックスバリュなどを利用する人ほど、
株価や配当利回りだけでは測れないメリットがあります。

特に2025年の株式分割後は100株から優待を利用でき、
300株保有すると買い物金額の3%が還元されます。

さらに調べてみると、
イオンは配当についても「前年以上を維持する」という方針を掲げており、
直近では少しずつ増配する動きも出ています。


今回は「なぜ株価が下がっているのか」「株主優待はどれくらいお得なのか」
「300株は本当に魅力的なのか」に加えて、
配当方針と増配余力まで確認します。

イオン株は大きく下がったのにPERはまだ約47倍

まず、現在のイオン株の状況を確認してみます。

項目 2026年10月1日時点
株価 1,250円
予想PER 約47.4倍
PBR 約2.86倍
予想配当利回り 約1.20%
年間配当予想 15円

2026年の年初来高値は2,542円でした。
それに対して10月1日の終値は1,250円です。

高値から見ると、株価はほぼ半値まで下落したことになります。

ところが、それでも予想PERは約47倍あります。

「これだけ株価が下がったのに、まだPER47倍もあるの?」

数字だけを見ると、そう感じる人も多いと思います。

イオンは巨大企業ですが、
純利益率が非常に高いビジネスではありません。

そのため、純利益を基準に計算されるPERでは、
どうしても割高に見えやすい面があります。

なぜイオン株はここまで下がっているのか

興味深いことに、イオン自身も2026年の株主総会で
直近の株価下落について説明しています。

会社側は外部要因として、
中東情勢などの地政学リスク、
国内消費の先行き不透明感、
AI・半導体関連株への資金集中などを挙げています。

一方で、外部環境だけを原因としているわけではありません。

2026年2月期は増収増益となり過去最高益を更新しましたが、
下期以降の小売事業が市場の期待に十分応えられなかったことも、
株価低迷の理由の一つと会社自身が認識しています。


つまり「業績崩壊で売られている」というより、
高い期待が株価に織り込まれていたところへ、
市場期待ほど利益が伸びなかったことで評価が調整されている、
という見方ができます。

2027年2月期は営業利益25%増を計画

業績予想だけを見ると、決して悲観一色ではありません。

項目 2026年2月期実績 2027年2月期予想
営業収益 約10兆7,153億円 12兆円
営業利益 約2,704億円 3,400億円
経常利益 約2,430億円 2,900億円
親会社株主帰属利益 約727億円 730億円

営業利益は約25.7%増を見込んでいます。

一方で、最終利益はほぼ横ばいです。

イオン株を見る場合は、
売上高だけではなく、
小売事業の利益率をどこまで高められるかが重要だと思います。

それでも個人投資家に人気なのは株主優待が強いから

イオン株を配当株としてだけ見ると、
それほど魅力的には見えません。

株価1,250円に対して年間配当予想15円なら、
配当利回りは約1.2%です。

高配当株を中心に投資している人にとっては、
かなり低い水準でしょう。

しかし、イオンにはオーナーズカードがあります。

これがイオン株最大の特徴です。

2026年現在のオーナーズカード還元率

2025年9月にイオンは1株を3株にする株式分割を実施しました。

2026年2月末以降の優待制度では、
100株からオーナーズカードを利用できます。

保有株数 買い物還元率
100~199株 1%
200~299株 2%
300~1,499株 3%
1,500~2,999株 4%
3,000~8,999株 5%
9,000株以上 7%

本人カードと家族カードを合わせて、
半年間100万円までの買い物が還元対象になります。

年間で考えると、最大200万円程度の買い物が対象になります。

普段イオンで買い物する人ほどお得

この優待の良いところは、
「株主優待を使うために特別な商品を買う必要がない」という点です。

食品、飲料、洗剤、ティッシュ、
トイレットペーパーなど、
普段から必要な生活用品をイオンで購入している人なら、
自然に優待を使うことができます。

例えば年間60万円、
月平均5万円をイオン系列で使う家庭を考えてみます。

保有株数 還元率 年間60万円利用時
100株 1% 6,000円
200株 2% 12,000円
300株 3% 18,000円

年間120万円使う家庭なら、
300株保有時の還元額は年間36,000円になります。


普段の生活圏にイオンがあり、
食品や日用品を定期的に購入する家庭ほど、
オーナーズカードの価値は大きくなります。

300株が特に魅力的に見える理由

私が今回改めて優待を見ていて、
特に魅力的だと感じたのが300株です。

100株なら1%還元ですが、
300株になると3%還元になります。

株価1,250円で計算すると、
300株の投資額は約37万5,000円です。

年間60万円利用する家庭なら18,000円、
年間120万円なら36,000円が還元されます。

スーパーで毎年数万円戻ってくると考えると、
体感的なメリットはかなり大きいでしょう。

ただし300株の「投資効率」が特別高いわけではない

ここは少し冷静に考える必要があります。

300株になると還元率は1%から3%になりますが、
投資金額も100株の3倍になります。

保有株数 株価1,250円の場合 買い物還元率
100株 約12万5,000円 1%
200株 約25万円 2%
300株 約37万5,000円 3%

年間60万円を利用する場合、
配当まで含めて単純計算すると次のようになります。

保有株数 買い物還元 年間配当予想 合計 投資額比
100株 6,000円 1,500円 7,500円 約6.0%
200株 12,000円 3,000円 15,000円 約6.0%
300株 18,000円 4,500円 22,500円 約6.0%

※株価1,250円、年間買い物額60万円、年間配当15円で単純計算。
買い物還元は商品購入を伴うため、通常の配当利回りとは性質が異なります。
税金や株価変動等も考慮していません。

つまり300株だから、
100株より投資効率が3倍良くなるわけではありません。

それでもイオンで使う金額が多い家庭なら、
年間に受け取れる還元額そのものが大きくなるため、
300株の満足度は高いと思います。

20日・30日は5%OFF+オーナーズカード還元

さらに毎月20日・30日の「お客さま感謝デー」では、
対象となる支払い方法を利用すると、
5%OFFの特典とオーナーズカードの還元特典を利用できます。

例えば300株保有者なら、
感謝デーの5%OFFを利用したうえで、
オーナーズカードの3%還元の対象にもなります。

毎月必要になる日用品などを
20日・30日にまとめて購入している人なら、
かなり使いやすい優待です。


イオン優待の本当の強さは、
「優待のために消費する」のではなく、
普段の生活費を少しずつ減らせるところにあると思います。

イオンラウンジも300株なら月8回

2026年5月からイオンラウンジの利用条件も変更されています。

保有株数 月間利用回数
100~299株 月4回
300~1,499株 月8回
1,500株以上 月16回

ここでも300株は一つの区切りになっています。

100株でも月4回利用できますが、
300株なら月8回です。

普段からイオンモールなどへ買い物に行く人なら、
買い物の休憩場所として利用できるのもメリットです。

映画や対象店舗でも優待を使える

オーナーズカードは買い物還元だけではありません。

イオンシネマをはじめ、
対象となるレストラン、スポーツ用品店、
ペット関連店舗などでも優待料金や会計時割引があります。

ただし、
会計時割引や優待料金を利用する店舗については、
通常の買い物還元と併用できないケースがあります。

単純に「何でも3%還元になる」というわけではないので、
利用前に対象店舗と条件を確認した方がよいでしょう。

本人カード+家族カードがあるのも便利

オーナーズカードは、
株主本人用1枚に加えて家族カード1枚が発行されます。

本人と家族の利用分を合わせて、
半年間100万円までが還元対象です。

夫婦や家族でイオンを利用している場合は、
優待を活用しやすい制度になっています。

そして意外と重要なのがイオンの配当方針

ここからは株主優待とは別に、
配当について見ていきます。

イオンは高配当株ではありません。

しかし会社の配当方針を見ると、
株主還元をかなり意識していることが分かります。

イオンの基本的な配当方針

1株当たり年間配当について「前年以上を維持しつつ、連結配当性向30%を目標」とする。

これは長期保有を考えるうえで重要です。

業績が多少上下しても、
可能な範囲で前年以上の配当を維持する方針だからです。

もちろん将来の配当が保証されているわけではありませんが、
簡単に配当を減らすのではなく、
安定的な株主還元を意識した方針と言えます。

イオンの配当推移を確認

2025年9月に1株を3株へ株式分割しているため、
現在の配当金と過去の配当金はそのまま比較できません。

そこで分割前換算も含めて整理します。

決算期 年間配当 ポイント
2022年2月期 36円 普通配当36円
2023年2月期 36円 据え置き
2024年2月期 36円 据え置き
2025年2月期 40円 普通36円+記念4円
2026年2月期 分割前換算41円 実質増配
2027年2月期予想 15円
(分割前換算45円)
普通配当+100周年記念配当

2022年2月期から2024年2月期までは36円で据え置きでした。

そのため、
イオンを昔から連続増配株として評価するのは少し違うと思います。

一方で直近を見ると、
2026年2月期は株式分割を考慮しない場合41円となり、
2027年2月期は分割前換算45円を予定しています。

2027年2月期の現在の1株当たり配当予想は15円です。

内訳は普通配当14円に、
株式会社化100年の記念配当1円を加えたものです。

株式分割前に換算すると、
普通配当42円+記念配当3円=45円相当になります。


長年の連続増配株ではありませんが、
ここ数年は「配当を維持しながら、利益成長に合わせて少しずつ増やす」
方向が見えてきています。

実は普通配当も少しずつ増えている

記念配当を除いて見ると、
配当の実力がさらに分かりやすくなります。

決算期 普通配当
分割前換算
2024年2月期 36円
2025年2月期 36円
2026年2月期 41円相当
2027年2月期予想 42円相当

2027年2月期は記念配当を含めると45円相当ですが、
普通配当だけでも42円相当です。

つまり今回の増配がすべて記念配当というわけではありません。

本来の普通配当も徐々に増えています。

ただし「高配当・高増配株」と考えるのは違う

ここで注意したいのが配当性向です。

決算期 配当性向
2022年2月期 468.1%
2023年2月期 143.4%
2024年2月期 68.9%
2025年2月期 119.1%
2026年2月期 50.9%
2027年2月期予想 56.8%

会社は連結配当性向30%を目標としていますが、
実際の配当性向はそれを大きく上回っています。

2027年2月期予想でも56.8%です。


ここは重要です。
現在の利益水準のまま配当だけを大幅に増やし続ける余裕が大きい、
という状態ではありません。

つまり、今後継続的に増配するには、
本業の利益成長が必要です。

この点は、
利益成長とともに配当を増やしていく企業とは少し性格が違います。

配当性向30%目標なのに56%あるのはなぜ?

少し不思議に感じるかもしれません。

イオンは「配当性向30%だから、利益の30%しか配当しない」
という単純な方針ではありません。

もう一つ、
「前年以上の年間配当を維持する」
という方針があります。

利益が伸び悩んだ年でも配当水準を維持してきたため、
結果として配当性向が100%を超えた年度もあります。

これは株主にとって配当の安定感がある一方で、
利益が伴わなければ増配余力が限られるという意味でもあります。


イオンは「配当性向30%の高配当株」というより、
「配当をなるべく減らさず、利益が増えれば配当も少しずつ増やす」
タイプと考えた方が分かりやすいと思います。

では配当目的でイオンを買うのはどうなのか

個人的には、
イオンを配当だけで買う銘柄ではないと思います。

株価1,250円に対して年間配当15円なら、
予想配当利回りは約1.2%です。

高配当株なら3~5%程度の利回りが期待できる銘柄も多いため、
配当収入を最優先するなら他に候補はあります。

一方でイオンの場合は、

  • 配当
  • オーナーズカードの還元
  • お客さま感謝デー
  • イオンラウンジ
  • 映画や対象店舗の優待

をまとめて考える必要があります。

配当利回りだけを見ると1%台でも、
普段の生活で優待を使い切れる人なら、
実質的なメリットは大きく変わります。

100株と300株、どちらが良い?

100株が向いている人

まず少額で優待を利用してみたい人には100株が使いやすいと思います。

約12万5,000円で優待対象になり、
1%還元、感謝デー、対象店舗の優待、
イオンラウンジなどを利用できます。

300株が向いている人

普段からイオンで食品や日用品を多く購入する家庭では、
300株がかなり魅力的です。

3%還元となり、
イオンラウンジも月8回利用できます。

特に年間60万円、100万円、120万円といった金額を
イオン系列で使う家庭では、
還元額の差が大きくなってきます。


「イオン株を持っているからイオンで買う人」より、
「もともとイオンで買っているからイオン株を持つ人」の方が、
この優待の恩恵を受けやすいと思います。

一方でPER47倍は無視できない

優待が魅力的だからといって、
株価が割安という意味ではありません。

株価が高値から大きく下落した現在でも、
予想PERは約47倍あります。

優待目的で100株や300株を長期保有することと、
株価が下がったから大量に買い増すことは、
分けて考えた方がよいでしょう。

今後重要なのは、
2027年2月期に会社が計画している営業利益3,400億円を達成し、
さらにその先も利益を伸ばせるかどうかです。

利益が伸びれば、
現在の高いPERも徐々に低下し、
増配余力も大きくなります。

逆に利益成長が止まれば、
現在のバリュエーションは依然として高く見えます。

まとめ|イオンは配当より「優待+生活密着」が魅力

イオン株について調べてみると、
一般的な高配当株とはかなり違う銘柄だと分かります。

予想配当利回りは約1.2%と高くありません。

一方、配当方針では
「前年以上を維持しつつ、連結配当性向30%を目標」
としており、
直近では普通配当も少しずつ増えています。

2026年2月期は分割前換算41円、
2027年2月期は記念配当込みで45円相当を予定しており、
配当そのものも以前より改善してきました。

ただし予想配当性向は56.8%と高いため、
今後さらに増配するには利益成長が必要です。

そしてイオン最大の魅力は、
やはり株主優待だと思います。

特に300株なら3%還元となり、
普段からイオンで買い物をする家庭では、
年間数万円規模のメリットになる可能性があります。

私自身も株主優待を目的に購入しているため、
現在の数%程度の含み損だけを見て売買を判断するというより、
優待を利用しながら、
本業の利益成長と配当の増加を長期的に見ていきたいと思っています。


イオン株は「高配当株」ではありません。
しかし「配当+株主優待+日常生活での節約」を組み合わせることで、
普段からイオンを利用する人にとって独特の魅力を持つ銘柄です。

※本記事は2026年10月時点の公開情報をもとに作成しています。
株価・PER・配当利回り等は2026年10月1日時点の数値を使用しています。
株主優待、配当予想、業績予想等は今後変更される可能性があります。
投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

参考資料:イオン株式会社「株主優待制度」「配当状況」「決算レビュー」
「第101期定時株主総会 株主さまからいただいた主なご質問・ご意見への回答」
Yahoo!ファイナンス イオン(8267)

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