9月高配当株、利回りだけで選んで大丈夫?増配投資家が見る5つのポイントと注目4銘柄

個別株分析

9月が近づくと、証券会社や株式情報サイトで
「9月権利確定の高配当株」を目にする機会が増えてきます。

配当利回り4%、5%と表示されている銘柄を見ると、
「配当をもらう前に買っておこうかな」と考えたくなるところです。

ただ私は、高配当株を見るときほど
利回りだけで判断しないことが大切だと思っています。
本当に見たいのは、その配当を企業が今後も払い続け、
さらに増やしていけるかどうかです。

2026年9月の配当取り、まず日程を確認

9月は、3月決算企業の中間配当の権利確定月になることが多く、
日本株の配当投資では3月と並んで重要な月です。

2026年9月30日を基準日とする一般的な銘柄の場合、
日程は次のようになります。

権利付き最終日
9月28日(月)
この日までに保有
権利落ち日
9月29日(火)
この日から権利なし
権利確定日
9月30日(水)
株主として権利確定

9月30日に買っても間に合いません。
9月末が基準日の銘柄であれば、基本的には9月28日の権利付き最終日までに購入し、
その日の取引終了時点で保有しておく必要があります。
ただし基準日は企業によって異なる場合があるため、必ず各社IRも確認してください。

「年間利回り4%」が9月に全部もらえるわけではない

まず初心者の方に知っておいてほしいのが、
株情報サイトに表示される配当利回りは通常、
年間配当金を現在の株価で割った数字だということです。

配当利回り = 年間1株配当 ÷ 株価 × 100

たとえば株価2,000円、年間配当80円なら、
年間予想配当利回りは4%です。

しかし中間40円、期末40円という配当なら、
9月の権利を取得して受け取る予定なのは40円です。


年間配当利回り4%だからといって、
9月に4%分の配当金を受け取れるわけではありません。

増配投資家が見る5つのポイント

私なら、高配当株を見るときは少なくとも次の5項目を確認します。

  • 現在の配当利回りと、高利回りになった理由
  • 利益・EPSが中長期的に増えているか
  • 配当性向に無理がないか
  • 増配実績・累進配当・DOEなどの配当方針
  • 現在の株価が高すぎないか

配当利回りは重要です。
ただ、それはあくまで入口です。

1高配当になっている「理由」を見る

配当利回り5%の会社が、3%の会社より優秀とは限りません。

なぜなら、配当利回りは
配当金が増えても上昇しますが、株価が下落しても上昇するからです。

良い高利回りの例

利益が増える → 配当が増える → それでも株価に対して十分な配当利回りがある。

注意したい高利回りの例

業績悪化への警戒から株価が急落し、
結果として見かけ上の配当利回りだけが高くなっている。

株価1,500円で配当60円なら利回り4%ですが、
株価が1,000円まで下がれば、配当が同じ60円なら利回りは6%になります。

しかし業績悪化によって、その60円自体が翌期に減配されるのであれば、
「6%だからお買い得」と単純には言えません。

2利益とEPSが伸びているか

長期的に増配を続けるには、
最終的には企業自身が利益を増やす必要があります。

そこで確認したいのがEPSです。

EPS = 1株当たり利益

たとえばEPS100円、配当40円なら、
企業は1株で100円稼ぎ、そのうち40円を配当に回しているイメージです。

その後EPSが150円まで増えれば、
配当性向40%を維持したままでも配当は60円まで増やせます。


利益成長

EPS成長

増配

私が理想と考えるのは、この流れです。

増配していてもEPSが伸びていなければ注意

利益がほとんど増えていないのに、
配当だけ毎年増やすことも一定期間なら可能です。

しかし、それを続けていると配当性向が
30%、40%、50%、60%……と上昇していきます。

いずれ増配余力は小さくなってしまいます。

そのため私は、
「増配率」だけではなく「EPSの成長」も一緒に見る
ことが大切だと思います。

3配当性向に無理がないか

配当性向とは、企業が稼いだ利益のうち、
どの程度を配当として株主に還元しているかを見る指標です。

配当性向 = 1株配当 ÷ EPS × 100

EPS100円に対して配当40円なら、配当性向は40%。

EPS100円に対して配当90円なら、配当性向は90%です。

後者は株主還元が非常に大きく見えますが、
利益が少し落ちただけでも配当維持の難易度が上がります。

配当性向が高ければ高いほど良いわけではありません。

増配投資では「今どれだけ払っているか」だけでなく、
「将来どれだけ増やす余力が残っているか」も重要です。

配当性向は業種によって見方が変わる

ただし、配当性向40%なら安全、60%なら危険というように
一律に判断することもできません。

通信、保険、金融、商社、製造業などでは、
利益の安定性や必要な設備投資、財務構造が異なります。

同業他社との比較や、その会社自身の過去の推移を見る方が分かりやすいでしょう。

4増配実績と配当方針を見る

私が長期の配当投資でかなり重視しているのが、
過去の増配実績と会社自身が公表している株主還元方針です。

  • 過去に何年間増配してきたか
  • 利益が落ちた局面でも配当を維持できたか
  • 累進配当を掲げているか
  • DOEを採用しているか
  • 配当性向の目安を公表しているか

最近注目されるDOEとは?

DOEは株主資本配当率のことで、
企業が積み上げてきた株主資本に対して
どの程度の配当を支払うかを見る指標です。

配当性向は単年度の利益によって大きく動きますが、
株主資本は通常それほど激しく変動しません。

そのためDOEを採用すると、
一時的な利益変動があっても比較的安定した配当政策を設計しやすくなります。

累進配当
原則として前年度の配当を下回らず、維持または増配していく考え方。

DOE
単年度の利益だけでなく、株主資本を基準に配当水準を考える指標。

もちろん、DOEや累進配当を掲げていれば
「絶対に減配しない」という意味ではありません。

それでも、長期投資では企業が株主還元をどう考えているかを知る
非常に重要な材料になります。

5最後は「いくらで買うか」を考える

ここまで条件が良くても、
最後に忘れてはいけないのが株価です。

良い企業だからといって、
どんな株価でも買っていいわけではありません。

株価が上昇すれば配当利回りは低下しますし、
PERやPBRなどのバリュエーションも上昇します。


「9月28日までに買わないと配当がもらえない」
と焦って高値を追いかける必要はありません。

1回の配当を取り逃したとしても、
長期投資なら次の買い場を待つことはできます。

では実際にどんな株を見る?5つの基準で確認したい4銘柄

ここまで理屈だけを書いても、
「では実際に何を見ればいいの?」と思う方もいると思います。

そこで2026年8月27日時点の情報をもとに、
私がこの記事で紹介した
「利益・EPS」「配当性向」「増配実績」「配当方針」「買値」
という視点から、まず確認しておきたい4社を選びました。

ここが重要です。

以下は「今すぐ買うべき4銘柄」という意味ではありません。
配当利回りだけで選ばず、長期保有候補としてさらに調べてみたい企業です。
株価によって魅力度は変わります。

① 稲畑産業(8098)|DOE+累進配当が非常に分かりやすい

稲畑産業(8098)

9月中間配当
累進配当
DOE
増配

2027年3月期 年間配当予想:143円
8月27日終値:4,300円
予想配当利回り:約3.33%
中間配当予想:70円

今回の記事の考え方にかなり合っているのが稲畑産業です。

2027年3月期から、
DOE4~4.5%を目安とし、
さらに1株配当について前年度実績を下限とする
累進配当を基本方針としています。

年間配当予想は前期128円から143円へ増配予定です。

さらに2027年3月期第1四半期は、
売上高が前年同期比19.4%増、
営業利益が48.8%増と好調でした。


利益成長+増配+DOE+累進配当

という組み合わせは、増配投資家にとって非常に確認しやすい形です。

② MS&AD(8725)|3%台の利回りと利益成長

MS&ADインシュアランスグループHD(8725)

9月中間配当
増配
保険
株主還元

2027年3月期 年間配当予想:170円
8月27日終値:5,052円
予想配当利回り:約3.37%
中間配当予想:85円

MS&ADも、配当だけでなく利益成長まで一緒に確認したい銘柄です。

2027年3月期第1四半期の親会社所有者帰属利益は
前年同期比33.4%増となりました。

年間配当予想も前期160円から170円へ増配予定です。

保険会社は自然災害や金融市場の影響を受けるため、
製造業などとは利益の見方が少し違います。

それでも、
3%台の利回り+利益成長+株主還元
という点では、9月配当株を探す際に確認しておきたい企業の一つです。

③ KDDI(9433)|利回りだけなら目立たないが25期連続増配予定

KDDI(9433)

9月中間配当
25期連続増配予定
通信
安定配当

2027年3月期 年間配当予想:84円
8月27日終値:2,880.5円
予想配当利回り:約2.9%
中間配当予想:42円

KDDIは、いわゆる「利回りランキング」だけを見ると
上位には出てこないかもしれません。

しかし、2027年3月期は年間84円を予定し、
25期連続増配を目指しています。

配当性向も会社予想で42.8%程度です。

さらに最新の第1四半期では、
親会社の所有者に帰属する調整後当期利益が
前年同期比21.6%増となっています。

この銘柄を見ると、

「今の利回りが一番高い株」より、
「長期間配当を増やせる会社」を探す

という考え方が分かりやすいと思います。

④ SPK(7466)|配当性向に余力を残した長期増配株

SPK(7466)

9月中間配当
長期連続増配
低配当性向
利益成長

2027年3月期 年間配当予想:41円
8月27日終値:1,463円
予想配当利回り:約2.80%
中間配当予想:20円

SPKも現在の配当利回りだけを見ると、
「超高配当株」という水準ではありません。

しかし2026年3月期まで
実質28期連続増配を達成しています。

2027年3月期も増配予想で、
実現すれば連続増配記録はさらに伸びることになります。

2026年3月期の配当性向は約27%と、
利益に対してまだ配当余力を残しています。

さらに2027年3月期第1四半期は、
営業利益が前年同期比31.5%増、
最終利益も22.9%増でした。


利益を伸ばしながら、無理のない配当性向で増配する

という点では、今回の5つの基準を考えるうえで非常に分かりやすい会社です。

4社を比べると「利回りだけでは分からない」ことが見えてくる

面白いのは、この4社を並べると
必ずしも配当利回りが最も高い会社が
最も魅力的とは言えないことです。

稲畑産業
3%台の利回り+DOE+累進配当+利益成長

MS&AD
3%台の利回り+増配+高い利益成長

KDDI
利回りは3%弱でも25期連続増配予定

SPK
利回りは3%弱でも長期連続増配+低い配当性向

これこそ私が、
「高配当株を利回りだけで選びたくない」
と考える理由です。

「配当だけ取ってすぐ売る」は本当に得なのか

9月になると、
権利付き最終日に買って配当を受け取り、
権利落ち日に売ればいいのではないか、
と考える方もいるでしょう。

しかし、そこまで単純ではありません。

権利落ち日には理論上、
配当相当額だけ株価が下落する要因があります。

実際の株価は市場全体、為替、金利、企業ニュースなどでも動くため、
必ず配当分だけ下がるわけではありません。


配当100円を受け取ったから、
必ず100円得をしたというわけではありません。

配当金より株価下落の方が大きければ、
短期的には損失になることもあります。

私は配当だけを取りにいくというより、

「配当を受け取りながら何年も持ちたい会社か」

という視点で考える方が高配当株投資には合っていると思います。

9月高配当株はこの順番で調べる

STEP 1 配当利回りを見る
まず候補を探す入口として使う。
STEP 2 なぜ高利回りなのか調べる
増配による高利回りなのか、株価急落によるものなのかを確認。
STEP 3 利益・EPSを見る
配当の原資となる利益が伸びているか確認。
STEP 4 配当性向を見る
無理をして配当を出していないか確認。
STEP 5 増配履歴と配当方針を見る
累進配当、DOE、連続増配などを確認。
STEP 6 最新決算を見る
過去の実績だけでなく現在の利益成長も確認。
STEP 7 最後に株価を見る
良い会社でも、高すぎると思えば無理に買わない。

利回り3%の増配株と利回り5%の高配当株なら?

たとえば2社があったとします。

A社
現在の配当利回り3%
EPSが毎年成長
配当も毎年増加
配当性向に余裕がある
B社
現在の配当利回り5%
EPSは横ばい
配当も横ばい
配当性向は高め

今すぐ受け取る配当だけならB社です。

しかしA社が毎年利益と配当を伸ばしていけば、
5年後、10年後には自分の取得価格に対する配当利回りが
大きく上昇している可能性があります。


高配当

利益成長

増配

この3つをできるだけ同時に狙うのが、
私が長期の配当投資で理想と考える形です。

まとめ|9月は「配当をもらう月」ではなく良い会社を探す機会

9月は多くの日本企業が中間配当の権利確定を迎えるため、
高配当株を探すには面白い時期です。

しかし、

配当利回りランキングの上位=長期投資に向いた会社

とは限りません。


① 配当利回りを見る

② EPS・利益成長を見る

③ 配当性向を見る

④ 増配実績・DOE・累進配当を見る

⑤ 最後に株価を見る

目先の配当を1回受け取ることよりも、

5年後、10年後にも配当を受け取り続けたいと思える会社を見つけること。

そして企業の利益が成長し、
その利益と一緒に配当も育っていけば、
自分が受け取る年間配当金も少しずつ大きくなっていきます。

9月の配当シーズンは、
単に「今一番利回りの高い株」を探すのではなく、

将来の配当まで含めて長く付き合える会社を探す機会

と考えてみるのも面白いと思います。

記事内データについて
本記事は2026年8月27日時点の企業IR、決算資料、株価情報などをもとに作成しています。
配当金、業績予想、配当利回りは今後変更される可能性があります。
特に配当利回りは株価の変動によって日々変化します。
免責事項
本記事は株式投資に関する情報提供を目的としたものであり、
特定銘柄の売買を推奨するものではありません。
株式投資には株価下落、業績悪化、減配・無配などのリスクがあります。
投資判断は最新の決算資料・適時開示・企業IRなどをご確認のうえ、
ご自身の判断でお願いいたします。

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