先日、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)について調べていると、
Comcast(コムキャスト/NASDAQ:CMCSA)という米国企業にたどり着きました。
日本ではComcastという会社名にはあまり馴染みがありませんが、
USJはNBCUniversalグループの一員であり、NBCUniversalはComcastグループに属しています。
そこで何気なくComcastの株価チャートを確認してみると、かなり株価が下がっていました。
私はこういうチャートを見ると、どうしても
「なぜこんなに売られているのだろう?」「もしかすると安く買えるのでは?」
と気になってしまいます。
今回はComcastが本当に長期投資に向いているのか、
株価下落の理由、配当、本業の通信事業、USJを含むテーマパーク、
そして今後予定されている会社分割まで調べてみました。
先に私の結論
Comcastは株価の低迷、高い配当利回り、巨額のキャッシュ創出力を見ると、
かなり気になる銘柄です。
一方で、主力の住宅向けブロードバンドが弱くなっており、
2026年には長く続いた増配もいったん停止しました。
さらにNBCUniversalのスピンオフも予定されています。
私なら現時点では、安いから一気に買うというより、
今後の業績と分社化を追いかけたい監視銘柄と考えます。
Comcastとは?実はUSJとつながっている巨大企業
Comcastは米国の巨大な通信・メディア企業です。
事業内容を見ると、かなり幅広い会社であることが分かります。
| 事業 | 主なブランド・内容 |
|---|---|
| 住宅向け通信 | Xfinity、ブロードバンド、携帯通信 |
| 法人通信 | Comcast Business |
| テレビ・配信 | NBC、Peacock、Skyなど |
| 映画 | Universal Picturesなど |
| テーマパーク | Universal Orlando、USJなど |
私自身、Comcastという会社名はほとんど意識していませんでした。
しかしUSJから会社をたどってみると、
通信だけでなく映画、動画配信、スポーツ、テーマパークまで抱える巨大企業です。
株価を見るとかなり下がっている
私がComcastに興味を持った最大の理由が株価です。
※株価は2026年8月7日終値。配当利回りは年間配当1.32ドルをもとに単純計算。
Comcastの約5年間の株価推移
2021年末から現在までの調整後株価を並べると、
Comcastの株価が長期的に低下してきたことが分かります。
40.25ドル
28.71ドル
37.06ドル
32.67ドル
27.00ドル
25.36ドル
現在の25ドル台は、当時の高値から見るとかなり低い水準です。
※株価は配当や企業再編などを考慮した調整後株価を使用。
2026年は8月7日時点。2026年1月にはVersant Mediaのスピンオフも実施されているため、
単純な株価比較だけで企業価値の減少を判断しないよう注意が必要です。
私は数年前、日本株がまだ割安だった時期に買った銘柄の中から、
その後何倍にも上昇した株をいくつも経験しています。
そのため、大企業の株価が大きく下がっていると
「もしかするとチャンスでは?」と考えてしまいます。
ただし、株価が下がっている企業には当然ながら理由があります。
Comcastも「安くなったから買う」のではなく、
なぜ安いのかを確認してから判断したいところです。
なぜComcast株はここまで下がったのか
株価が低迷している最大の理由の一つが、
Comcastの主力である住宅向け通信事業への成長不安です。
Comcastは長年、ケーブル網を使った高速インターネットで大きな利益を上げてきました。
しかし現在は光ファイバーに加えて、
固定無線通信などとの競争も激しくなっています。
2026年4~6月期は住宅向け利益が8%減少
| 項目 | 2026年Q2 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| Connectivity & Platforms売上 | 197.95億ドル | -3.0% |
| Connectivity & Platforms EBITDA | 79.64億ドル | -5.7% |
| 住宅向けEBITDA | 64.48億ドル | -8.0% |
| 法人向けEBITDA | 15.16億ドル | +5.0% |
重要なのは、Comcastの通信事業すべてが悪くなっているわけではないことです。
法人向け通信は成長しています。
一方で、会社の大きな稼ぎ頭である
住宅向けConnectivity & Platformsの利益が落ちていることが問題です。
ブロードバンドは苦戦、携帯通信は成長
2026年4~6月期には、米国内住宅向けブロードバンド顧客の純減数は前年同期より改善しましたが、
依然として契約者減少が続いています。
一方、Domestic Wirelessでは44万8,000回線の純増となり、
四半期として過去最高の増加となりました。
住宅ブロードバンド → 苦戦
従来型テレビ → 縮小傾向
携帯通信 → 成長
法人通信 → 成長
つまりComcastは「全部の事業が衰退している会社」というより、
従来の稼ぎ頭が弱くなる一方、新しい成長分野へ移行している途中
と見る方が近いと思います。
それでもComcastを買いたくなる理由
ここまで読むと、
「本業が苦戦しているなら無理に買わなくてもいいのでは?」
と感じるかもしれません。
それでも私がComcastを気にしてしまうのは、
悪材料をかなり織り込んでいるように見える株価と、
依然として大きなキャッシュを生み出しているからです。
配当利回りは約5%
2026年8月7日時点の株価25.36ドルに対して、
年間配当は1株1.32ドル。
単純計算すると、配当利回りは約5.2%です。
Comcastは2025年まで17年連続で年間配当を増やしてきました。
2025年には年間配当を1.24ドルから1.32ドルへ6.5%増配しています。
ただし2026年は1.32ドルで据え置きとなりました。
減配ではありませんが、2026年は増配せず据え置きです。
したがって現在のComcastを単純に「連続増配株」と紹介するのは適切ではありません。
今後、会社分割後に再び増配へ戻れるかを見たいところです。
キャッシュを生み出す力は依然として大きい
それでもComcastが簡単に切り捨てられない理由がキャッシュフローです。
2025年通期では、
- Adjusted EBITDA:約374億ドル
- Adjusted EPS:4.31ドル
- フリーキャッシュフロー:約192億ドル
という大きな利益・キャッシュを生み出しました。
さらに2026年4~6月期でもフリーキャッシュフローは
約46億ドルあります。
本業の成長には不安があるものの、
現時点で「利益が出なくなった企業」とはまったく違います。
USJなどテーマパーク事業は魅力的
私がComcastを知ったきっかけでもあるテーマパーク事業は、
個人的にはかなり魅力を感じています。
USJの公式サイトでも、USJはNBCUniversalグループの一員であり、
NBCUniversalはComcastグループに属すると説明されています。
UniversalはUSJだけでなく、米国のUniversal Orlando Resort、
Universal Studios Hollywoodなどを展開しています。
さらに2025年にはフロリダで大型テーマパーク
Universal Epic Universeが開業しました。
| テーマパーク部門 | 2026年Q2 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 24.13億ドル | +2.7% |
| Adjusted EBITDA | 6.09億ドル | -5.1% |
売上高は増えていますが、
Epic Universeなど国内パークの運営コスト増加によって利益は減少しました。
また海外パークの売上も前年同期を下回っています。
それでもUniversalには、
映画やキャラクターをテーマパークへ展開できるという強みがあります。
↓
人気IPを育てる
↓
グッズ・配信・テーマパークへ展開
Disneyにも通じるIPビジネスであり、
私としてはComcastの中でも特に魅力を感じる部分です。
Peacockが初めて四半期黒字になった
ストリーミングサービスPeacockにも変化があります。
2026年4~6月期は売上高約19億ドル、
Adjusted EBITDAは1億8,900万ドルの黒字となりました。
前年同期は1億100万ドルの赤字だったため、大きな改善です。
有料加入者数も4,800万人まで増えています。
ブロードバンドの苦戦ばかりを見るのではなく、
成長・改善している事業もあることは押さえておきたいところです。
ただしUSJは将来Comcast本体から離れる予定
ここが今回の投資判断で非常に重要です。
Comcastは2026年6月29日、
NBCUniversalとSkyをComcastから分離して、独立した上場会社にする計画
を発表しました。
現在の予定では、約1年後をめどに税制適格のスピンオフとして実施する計画です。
完了後、現在のComcast株主はComcastと新NBCUniversalの両方の株式を保有する形が予定されています。
- ブロードバンド
- 携帯通信
- Comcast Business
- 通信・テクノロジー事業
- USJ・Universalテーマパーク
- Universal Pictures
- NBC・Telemundo
- Peacock
- Sky
つまり、私がComcastを知るきっかけとなった
USJやUniversalのテーマパーク事業は新NBCUniversal側へ移る予定です。
「USJに投資したい」という目的であれば、
分社化後のNBCUniversalを直接検討した方が分かりやすくなる可能性があります。
日本の投資家は一般口座への払い出しにも注意
さらに、日本の投資家にとって少し厄介なのがスピンオフ時の口座処理です。
米国株のスピンオフでは、
国内証券会社の取扱いや税務上の処理によって、
特定口座で保有していた株式が一般口座へ払い出される場合があります。
例えば楽天証券では、
米国株式のスピンオフが発生した場合、
特定口座やNISA口座で保有している米国株式を一般口座へ払い出す取扱いを案内しています。
SBI証券も、コーポレートアクションの内容によっては
特定口座での管理を継続できず一般口座へ払い出す場合があるとしています。
マネックス証券では原則として子株が一般口座へ入り、
純資産移転を伴う場合には親株も一般口座へ払い出される場合があります。
一般口座になることで税率が高くなるわけではありません。
ただし、将来売却するときに取得価額や譲渡損益を自分で管理しなければならない可能性があります。
長期保有を考えると、こうした管理上の手間も無視できません。
Comcastの今回の分社化について最終的にどのような処理になるかは、
条件確定後に利用している証券会社の案内を確認する必要があります。
Comcastの良い点と心配な点
- 株価が長期的に低迷している
- 配当利回りは約5%
- 巨額のフリーキャッシュフロー
- 法人通信は成長
- 携帯通信の契約者数が増加
- Universalという強力なIP資産
- Peacockが初めて四半期黒字化
- 住宅ブロードバンド顧客の減少
- 住宅向け利益の低下
- 従来型テレビの構造的縮小
- 2026年は増配停止
- 分社化後の配当政策がまだ不透明
- NBCUniversal分離後の財務構造
- 一般口座へ払い出される可能性
私ならComcast株をどうするか
正直なところ、25ドル前後の株価を見るとかなり買いたくなります。
配当利回りは約5%あり、
Comcastほどの規模の企業がこれだけ売られていると、
「悪材料はある程度織り込まれているのでは?」
と考えたくなります。
ただ、今回は私は
急いで大きく買う必要はない
と考えました。
私が今後確認したい3点
- 住宅向けブロードバンドの顧客減少が止まるか
- 住宅向け利益の減少率が改善するか
- NBCUniversal分社化後の配当・財務・証券会社の口座処理
特にUSJやUniversalの事業に魅力を感じるのであれば、
新NBCUniversal上場後に、
その会社の財務や株価を確認してから直接投資する方法もあります。
一方で、テーマパークや映画事業が外れた後のComcastが、
通信を中心とした高キャッシュフロー・高配当企業としてどう評価されるのか
も非常に興味深いところです。
「割安株」なのか「バリュートラップ」なのか
Comcastを調べて改めて感じたのは、
株価が下がっているだけでは割安とは言えない
ということです。
株価が下がれば配当利回りは高くなり、
PERなどの指標も安く見えやすくなります。
しかし、利益そのものが今後何年も減り続けるのであれば、
株価が安く見えても本当の意味で割安とは限りません。
ブロードバンド顧客減少が底打ち
↓
携帯通信・法人通信が成長
↓
利益減少が止まる
↓
株価の低評価が修正される
ブロードバンド顧客減少が継続
↓
値下げ競争が激しくなる
↓
利益率がさらに低下
↓
配当も伸びない
↓
「安い株」ではなくバリュートラップだった
このどちらへ向かうのかを見極めることが、
Comcastへ投資するうえでは重要だと思います。
まとめ|株価が下がっているからこそ調べたくなる銘柄
今回はUSJについて調べていたことをきっかけに、
Comcastという米国株を知りました。
そして株価チャートを確認すると、
2021年の高値圏から現在はかなり低い水準です。
こういうチャートを見ると、
長期投資をしている立場としては
「何があったのだろう」
「もしかすると安く買えるのでは」
と気になります。
実際に調べてみると、
住宅向けブロードバンドという明確な問題がありました。
一方で、巨額のキャッシュフロー、
成長する携帯通信・法人通信、
UniversalのIP、
テーマパーク、
そして収益改善が進むPeacockなど、
魅力的な部分も残っています。
私としては現時点では、
「株価が安いから積極的に買う」というより、
今後の変化を追いながら投資タイミングを考えたい銘柄
という評価です。
そして何より、
USJを調べていたところから米国株の投資候補が見つかったのは面白い経験でした。
普段利用しているサービスや好きな企業から親会社を調べ、
そこから投資先を探していくのも株式投資の楽しさの一つだと思います。
本記事は筆者個人の投資に対する考え方を紹介するものであり、
特定銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。
株式投資には株価下落、為替変動、減配などのリスクがあります。
投資判断は最新の企業情報や証券会社の案内を確認したうえで、
ご自身の判断と責任でお願いいたします。


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