数年前、私は『バビロンの大富豪』という本を読みました。
最初は「昔からある有名なお金の本」というくらいの認識だったのですが、実際に読んでみると、想像していた以上に面白かったのを覚えています。
何より印象に残ったのは、金融知識を学ぶための本でありながら、物語として普通に楽しめたことです。
そしてもう一つ驚いたのが、古代バビロンを舞台にして語られる「お金との付き合い方」が、NISAや株式投資がある現代にも驚くほど通用することでした。
※古代バビロニアでは実際に大量の粘土板が発見されており、そこには借金や契約、商取引など、人々のお金に関する記録まで残されています。
『バビロンの大富豪』は、そうした古代バビロンの経済社会を背景に、ジョージ・S・クレイソンが現代にも通じるお金の原則を寓話として描いた作品です。本記事では書籍の内容をそのまま転載するのではなく、私が読んで感じたことと現代の株式投資との共通点を中心に考えます。
- 『バビロンの大富豪』は、お金の本なのに物語として面白い
- 数千年前の世界を舞台にしているのに、お金の悩みは今と変わらない
- ① まず収入の一部を自分のために残す
- ② 貯めるだけではなく、お金にも働いてもらう
- ③ ただ高い利回りを追いかければいいわけではない
- ④ 元本を守るという考え方は、投資家ほど忘れてはいけない
- ⑤ 「よく分からないものに投資しない」は今ほど重要かもしれない
- ⑥ 現代ならNISAやインデックス投資にも通じる
- ⑦ 高配当株投資にも、私は同じ考え方を感じる
- ただし「株を買えばお金持ちになれる」という話ではない
- 数千年変わらないのは「金融商品」ではなく「人間」なのかもしれない
- 私がこの本から改めて感じること
- まとめ|投資初心者にも、長く投資している人にも読んでほしい一冊
『バビロンの大富豪』は、お金の本なのに物語として面白い
投資や資産形成の本というと、どうしても数字や専門用語が多くなります。
PER、PBR、ROE、EPS、配当利回り、ポートフォリオ、アセットアロケーション……。
株式投資を続けている人なら慣れている言葉でも、これから投資を始めようという人には少し難しく感じるかもしれません。
ところが『バビロンの大富豪』は、そのような難しい金融用語を覚えなくても読み進めることができます。
古代バビロンの人々が、お金に困ったり、財産を築いたり、失敗したりしながら、「どうすれば豊かになれるのか」を学んでいく。
だから私は、金融知識を勉強しているというより、一つの物語を読みながら、いつの間にかお金の基本を学んでいたという感覚でした。
私がこの本を数年経った今でも覚えているのは、単に「正しいことが書いてあったから」ではなく、物語として印象に残ったからなのだと思います。
数千年前の世界を舞台にしているのに、お金の悩みは今と変わらない
この本を読んでいて不思議に感じるのは、舞台が古代バビロンなのに、登場人物たちのお金に対する悩みが現代人とそれほど変わらないことです。
収入はあるのにお金が残らない。
もっと豊かになりたいと思っている。
儲かりそうな話を聞くと心が動く。
お金を増やしたいけれど、どうしたらいいのか分からない。
こうした悩みは、スマートフォンもクレジットカードも株式市場もなかった時代を舞台にしていても成立します。
結局のところ、金融商品や制度は大きく変わっても、「もっと欲しい」「楽に増やしたい」「損をしたくない」という人間の心理そのものは、あまり変わっていないのかもしれません。
① まず収入の一部を自分のために残す
『バビロンの大富豪』で語られる考え方の中でも、特に有名なのが、得た収入をすべて使ってしまわず、その一部を自分の財産として残していくという考え方です。
当たり前のようですが、これは資産形成の土台そのものだと思います。
収入が増えても、それと同じだけ支出が増えてしまえば資産はなかなか増えません。
逆に、収入の一定割合を最初から残す習慣があれば、そのお金が将来の投資元本になります。
現代に置き換えるなら
「給料が余ったら投資しよう」ではなく、給料が入った段階でNISAや投資信託、株式購入などに回す資金を先に確保する、という考え方に近いでしょう。
投資で資産を増やすには、まず投資するための元本が必要です。
その元本を作る最初の一歩は、結局のところ「稼いだお金を全部使わない」という、とても地味なところから始まります。
② 貯めるだけではなく、お金にも働いてもらう
私が株式投資をしている立場から特に共感するのが、貯めたお金をそのまま眠らせるのではなく、そのお金にも働いてもらうという考え方です。
現代であれば、その代表的な方法の一つが株式投資でしょう。
株式を保有するということは、単に株価の上昇を期待するだけではありません。
私たちが投資した資金を企業が事業に使い、利益を生み、その利益をさらに成長投資へ回したり、配当として株主に還元したりします。
もちろん株式には値下がりするリスクがあります。しかし、長期的に利益を成長させていく企業を保有することができれば、自分が働いている間にも、保有する企業がお金を生み出し続けるという構造を作ることができます。
「お金を働かせる」は、今も資産形成の中心
バビロンの時代と現代では金融商品はまったく違います。それでも「蓄えた財産から、さらに新しい財産を生み出す」という基本的な考え方は変わっていません。
③ ただ高い利回りを追いかければいいわけではない
ここは株式投資をしている人ほど重要だと思います。
お金を働かせることが大切だからといって、どんな投資でもいいわけではありません。
利回りが高い。
短期間で何倍になる。
今買えば絶対に儲かる。
現代でも、こうした言葉は至るところで見かけます。
しかし、本当に大切なのは「どれだけ儲かるか」だけではなく、その投資先が何によって利益を生み出しているのか、自分なりに理解できるかだと思っています。
私自身、高配当株を見るときでも配当利回りだけを見ることはありません。
利益が伸びているのか、EPSは成長しているのか、配当性向に余裕があるのか、その配当を将来も維持・増加させられそうなのか。
高い配当利回りそのものより、その配当を生み出す企業の力を見ることの方が大切だと考えています。
④ 元本を守るという考え方は、投資家ほど忘れてはいけない
投資を始めると、どうしても「いくら増えるか」に意識が向きます。
しかし資産形成では、増やすことと同じくらい、大切なお金を致命的な失敗から守ることが重要です。
これは「一切リスクを取るな」という意味ではないと思います。
株式投資をする以上、株価が20%、30%と下落することもあります。企業によっては業績悪化や減配もあります。
だからこそ私は、一つの会社だけにすべてを賭けるのではなく、複数の企業や業種に分散して保有する考え方を重視しています。
一発逆転を狙うよりも、大きな失敗を避けながら長く市場に残る。
派手ではありませんが、長期投資ではとても大切な考え方ではないでしょうか。
⑤ 「よく分からないものに投資しない」は今ほど重要かもしれない
『バビロンの大富豪』を読んでいると、知識のない分野にお金を出して失敗することの怖さも伝わってきます。
これは現代では、さらに重要になっているように感じます。
今はスマートフォン一つで、世界中の株式やさまざまな金融商品に投資できます。
一方で、SNSや動画サイトを開けば、
- 「この株は10倍になる」
- 「今買わないと乗り遅れる」
- 「誰でも簡単に稼げる」
- 「絶対に儲かる投資法」
といった情報も簡単に目に入ってきます。
しかし、自分がなぜその投資をするのか説明できない状態でお金を出してしまうと、相場が少し下がっただけで不安になります。
株価が下がったときに、「安くなったから買いたい」と思えるのか、「何を買ったのか分からなくなって怖くなる」のか。
その違いは、投資する前にどれだけ理解していたかによって大きく変わると思います。
⑥ 現代ならNISAやインデックス投資にも通じる
『バビロンの大富豪』には、当然ながらNISAもS&P500もオルカンも登場しません。
それでも、そこで語られている考え方を現代に置き換えてみると、現在の資産形成と驚くほど共通しています。
収入の一部を残す
→ 給料から先取りで貯蓄・NISAへ回す
貯めたお金を働かせる
→ 株式や投資信託など、生産的な資産へ投資する
財産を守る
→ 分散し、無理な集中投資や過大なリスクを避ける
理解できない儲け話に乗らない
→ SNSの煽りや短期的な流行だけで投資しない
稼ぐ力を高める
→ 本業・資格・知識への自己投資も続ける
こうして見ると、資産形成の本質はかなりシンプルです。
NISAの商品選びや、どの株を買うかという話以前に、まずお金を残し、そのお金を適切な場所で長く働かせる仕組みを作ることが重要なのだと思います。
⑦ 高配当株投資にも、私は同じ考え方を感じる
私自身は、配当を受け取りながら長く企業を保有する投資が好きです。
ただし、単純に「配当利回りが高ければ高いほどいい」とは考えていません。
私が重視しているのは、利益が成長し、その利益を原資として配当を増やしていける企業です。
企業が利益を稼ぐ。
その利益を次の成長に使う。
そして余力のある範囲で株主にも配当として還元する。
私はこうした企業を長く保有しながら、配当を受け取っていく投資に魅力を感じています。
配当も「お金が新しいお金を生み出した結果」の一つ
自分が働いて得たお金で株式を買い、その企業が利益を生み、その一部を配当として受け取る。さらにその配当を再投資すれば、資産形成の循環はより大きくなっていきます。
私は受け取った配当のすべてを再投資しているわけではありません。
配当の一部は生活や楽しみに使うこともあります。
それでも、自分が働くだけでなく、これまで築いてきた資産から収入が生まれる状態は、生活の安心感にもつながっています。
「お金を働かせる」という言葉を、私は株式投資を続ける中で実感するようになりました。
ただし「株を買えばお金持ちになれる」という話ではない
ここは誤解しないようにしたいところです。
『バビロンの大富豪』の考え方を現代に当てはめたからといって、「とにかく株を買えばいい」という結論になるわけではありません。
株式市場には暴落があります。
企業の業績が悪化することもあります。
高配当株が減配することもあれば、人気だった成長株が大きく値下がりすることもあります。
だから私は、「何に投資するか」以上に、どれだけ長く続けられる仕組みを作るかが重要だと思っています。
生活に必要なお金まで株式市場へ入れない。
一つの銘柄に依存しすぎない。
相場が悪いときにも耐えられる範囲で投資する。
こうした地味な部分こそ、数十年単位の資産形成では大切なのではないでしょうか。
数千年変わらないのは「金融商品」ではなく「人間」なのかもしれない
この本を思い返していて、私は一つ面白いことに気づきました。
数千年前の世界と現代では、お金を取り巻く環境はまったく違います。
現代には株式市場があり、ETFがあり、インデックスファンドがあり、NISAがあります。
スマートフォンがあれば、数回タップするだけで世界中の企業に投資できます。
しかし人間の行動は、意外なほど変わっていません。
・収入が増えると支出も増やしたくなる
・他人が儲けていると焦る
・簡単に儲かる話には心が動く
・損をすると冷静な判断が難しくなる
・将来より目の前の欲しいものを優先したくなる
だからこそ、古代を舞台にした物語の教えが現代にも通用するのでしょう。
資産形成とは、金融商品の知識を増やすだけではなく、自分自身の欲望や恐怖とうまく付き合うことでもあるのだと思います。
私がこの本から改めて感じること
私は株式投資を続けていると、つい「次はどの株を買おうか」「どの銘柄が割安か」「来期のEPSはいくらになるか」といったことばかり考えてしまいます。
もちろん、それらも投資では大切です。
しかし『バビロンの大富豪』を思い返すと、その前にもっと基本的なことがあると気づかされます。
稼ぐ。
使いすぎない。
残す。
残したお金を働かせる。
大きな失敗を避ける。
そして、それを長く続ける。
言葉にすると驚くほど単純です。
しかし、この単純なことを何年、何十年と続けることこそ、実は一番難しいのかもしれません。
まとめ|投資初心者にも、長く投資している人にも読んでほしい一冊
『バビロンの大富豪』は、投資テクニックを教える本ではありません。
「明日上がる株」も「最強のポートフォリオ」も出てきません。
それでも私は、株式投資をする人にとって非常に参考になる本だと思っています。
なぜなら、投資を始める前に必要な「お金との付き合い方」そのものを、物語を通じて教えてくれるからです。
数年前に読んだ本ですが、今回あらためて思い返してみても、その内容は古くなったとは感じません。
むしろ、SNSで毎日のように「次に上がる株」や「すぐに儲かる方法」が流れてくる今だからこそ、こうした基本に戻る意味があるように思います。
収入の一部を残し、そのお金を働かせ、大切な財産を守りながら時間をかけて育てていく。
NISAもETFも存在しない古代バビロンを舞台にした物語なのに、現代の株式投資にも通じる。
それこそが、私が『バビロンの大富豪』に感銘を受けた一番の理由なのだと思います。
※本記事は書籍を読んだ筆者個人の感想と、そこから考えた資産形成・株式投資についての内容です。特定の金融商品や銘柄の購入を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがありますので、最終的な投資判断はご自身でお願いいたします。
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