NVIDIAは売上2倍の超好決算、それでも株価乱高下|フアンCEOが語ったAI需要と日本株への影響

個別株分析

NVIDIAの2027年度第2四半期決算が発表されました。

結論から言えば、数字だけなら文句のつけにくいほど強い決算です。

売上高は前年同期比で2倍を超え、データセンター売上高も117%増。
次の四半期には、ついに売上高1,000億ドル超を見込んでいます。

ところが決算発表直後、NVIDIA株は時間外取引でいったん下落しました。

その後、ジェンスン・フアンCEOらが決算説明会で今後のAI需要や来期の成長見通しを説明すると評価が一変。
NVIDIA株は時間外取引で一時5%近く上昇しました。

そして日本時間8月27日の東京市場でも、NVIDIA決算を受けて日経平均は大幅高でスタートしました。

今回は決算数字だけでなく、
フアンCEOが語ったAI需要の現在地、Vera Rubin、粗利益率低下、日本の半導体株が実際にどう反応したのかまで詳しく見ていきます。

今回の決算を一言でまとめると


AI需要は失速するどころか、まだNVIDIAの供給能力を上回っています。
ただしメモリーなどのコスト上昇で利益率は低下する見通し。
AI相場は「需要があるか」から「高成長と高収益をどこまで維持できるか」を見る段階へ入りつつあります。

NVIDIA決算|売上高962億ドル、前年同期比+106%

まずは今回の決算数字を整理します。

項目 実績 市場予想 結果
売上高 962.2億ドル 約921.7億ドル 上振れ
調整後EPS 2.22ドル 約2.10ドル 上振れ
データセンター 890億ドル 約851億ドル +117%
非GAAP粗利益率 75.0% 約75% 想定通り

売上高は前年同期の467億ドルから106%増

すでに世界最大級の企業でありながら、1年間で売上高が2倍以上になっています。

GAAPベースの純利益は596.9億ドル
前年同期比126%増でした。

成長率だけでなく、実際に巨額の利益を生み出している点もNVIDIAの強さです。

データセンター890億ドル|AI需要はまだ崩れていない

NVIDIAを見るうえで最重要なのがデータセンター部門です。

売上高は890億ドル

前四半期比18%増、前年同期比では117%増となりました。

AIバブルを警戒する声が増えていますが、
少なくとも今回の数字からはAI向け計算需要が急激に失速している兆候は確認できません。

むしろNVIDIAが抱えている問題は、需要不足ではなく供給能力です。

次の四半期は売上1,080億ドル予想

過去の実績以上に重要なのが今後の会社予想です。

2027年度第3四半期 売上高予想

1,080億ドル ±2%

市場予想は約1,042億ドルでした。

つまり次の四半期についても、市場の高い期待を上回る成長を見込んでいます。

今回の962億ドルからさらに約12%増える計算です。

しかもNVIDIAは、この1,080億ドルという予想に
中国向けデータセンターCompute売上を織り込んでいません。

中国市場への依存度がかなり低い状態でも、四半期売上1,000億ドルを突破する見通しです。

それでも決算直後に株価が下がった理由

今回もっとも興味深かったのが株価反応です。

売上高もEPSも市場予想を上回り、次四半期のガイダンスまで強い。

普通の企業なら文句なしの好決算でしょう。

ところがNVIDIA株は決算発表直後、時間外取引で1%を超えて下落する場面がありました。

NVIDIAに対する市場の期待が、それだけ高くなっているからです。

今のNVIDIAは「市場予想を上回れば十分」ではありません。
非常に高い市場予想を、さらに大きく上回り続けることまで期待されています。

次の問題は利益率|粗利益率75%から74%へ

市場が警戒したもう一つのポイントが利益率です。

今回の非GAAP粗利益率は75.0%

ところが次四半期は74.0%±0.5ポイントを予想しています。

さらに決算説明会では、メモリー価格や部品価格の上昇によって、
第4四半期には粗利益率が71~72%程度まで低下する可能性が示されました。

売上高は急増している一方、コストも上がっています。

NVIDIAの成長が止まったわけではありません。
これから問われるのは「売上2倍+粗利益率75%」という異例の高収益状態を、どこまで維持できるかです。

フアンCEO「AIは転換点を迎えた」

決算説明会でジェンスン・フアンCEOは、AI需要についてかなり強気な姿勢を示しました。

フアンCEOが強調したのは、
AIが単なる実験段階から、実際に企業の仕事やサービスで価値を生み出す段階へ移っていることです。

AIモデルを一度動かすだけではなく、
AIエージェントが自ら考え、複数の作業を繰り返し実行するようになれば、
必要な計算量はさらに大きくなります。

NVIDIAが今後もAIコンピューティング需要が拡大すると考える大きな理由です。

来期売上+70%見通し|それでも供給が足りない

決算説明会で市場を驚かせたのが、
2028年度の売上高を約70%伸ばせるとの見通しです。

NVIDIAは通常、これほど先の年間売上高見通しを示しません。

さらに会社側は、現在も需要が供給能力を上回っていると説明しています。

メモリー、先端半導体、電力、冷却、データセンター設備など、
AIインフラ全体で供給制約が存在します。

今のNVIDIAにとって最大の問題は「GPUが売れないこと」ではなく、
「顧客が欲しがるだけのAIインフラを供給できるか」という状態です。

Vera Rubinがいよいよ本格化

今後のNVIDIAを考えるうえでもう一つ重要なのが、
次世代AIプラットフォームVera Rubinです。

NVIDIAはVera Rubinが本格生産段階へ入ったと発表しました。

CoreWeave、Google Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloud Infrastructureなどで、
Rubinを搭載したシステムの導入が進み始めています。

会社側によれば、今四半期には
Vera Rubinがデータセンター売上高の約20%を占める見込みです。

BlackwellからRubinへの世代交代で一時的に需要が弱くなるのではないかという懸念もありましたが、
現時点ではRubinへの移行はかなり速いペースで進んでいます。

AmazonもNVIDIA GPUを200万基追加へ

実際のAI設備投資がまだ強いことを示す象徴的な材料もありました。

NVIDIAとAmazon Web Services(AWS)は提携を拡大し、
2027~2028年に追加で200万基のNVIDIA GPUを展開する計画です。

AIインフラへの設備投資規模は、すでに一般的なIT投資とは比較にならない水準へ拡大しています。

NVIDIA決算だけを見る限り、
「AIデータセンター投資が急速に終わり始めた」という兆候はまだ見えません。

AIバブル論は否定されたのか

では今回の決算を見て、
「AIバブルではなかった」と断言できるのでしょうか。

私はそこまで単純ではないと思います。

今回は少なくとも、
現在のAI計算需要には強い実需があることが確認できました。

NVIDIAの売上高は2倍以上。
データセンター売上も2倍以上。
来期も70%成長が見込まれています。

「誰も使っていないAIに期待だけで株価が上がっている」という状況ではありません。

しかしAI設備投資額そのものが巨大化している点には注意が必要です。

最終的にはMicrosoft、Amazon、Meta、GoogleなどAIインフラへ巨額投資している企業が、
AIサービスから十分な利益を回収できなければなりません。

GPUを大量に買うだけで永久にAI相場が続くわけではありません。

中国市場は依然として不確定要因

中国市場も引き続き注意点です。

NVIDIAは次四半期の1,080億ドルという売上高予想に、
中国向けデータセンターComputeの売上を含めていません。

米国政府による輸出規制が今後どう変化するかは不透明です。

逆に見れば、中国市場への販売が限定的なままでも現在の高成長を実現できています。

将来、中国向け販売が改善すれば上振れ余地になる一方、
規制がさらに強化されるリスクも残ります。

決算説明会で株価が反転|一時5%近く上昇

今回は決算説明会まで確認した意味がかなり大きかったと思います。

決算発表直後には、利益率低下への警戒などからNVIDIA株は1%を超えて下落する場面がありました。

ところが説明会で、

・2028年度売上高+70%見通し

・それでも需要が供給能力を上回っている

・Vera Rubinの急速な立ち上がり

・AI計算需要のさらなる拡大

といった内容が示されると、市場の評価は一変しました。

NVIDIA株は時間外取引で一時5%近く上昇しました。

決算速報だけを見ると「好決算なのに売られた」となりますが、
CEO説明会まで確認すると印象がまったく違います。

【追記】日本株は513円高スタート|しかし関連株は明暗

ここからは、8月27日午前の東京市場でNVIDIA決算が実際にどう受け止められたのかを見てみます。

日経平均は前日比513円高の66,775円で取引を開始。

TOPIXも前日比13ポイント高の4,124ポイント台でスタートしました。

NVIDIAの好決算を受けて、東京市場でもAI・半導体株への買いが先行しました。

ところが、個別銘柄を見ると反応はかなり異なります。

銘柄 午前の反応 ポイント
アドバンテスト 約−3% 買い先行後、材料出尽くし・利益確定売り
東京エレクトロン ほぼ横ばい 好決算を好感する一方、高値警戒も
キオクシアHD 約+6% NVIDIAに加え、大型設備投資報道も追い風

アドバンテストは寄り付きでは買われたものの、その後下落に転じ、
午前9時32分時点では前日比約3.1%安となりました。

前日の段階ですでにNVIDIA好決算への期待から株価が上昇していたため、
決算通過で利益確定売りが出たとみられます。

東京エレクトロンは同時刻でほぼ前日終値近辺。

一方、キオクシアHDは大幅上昇しています。

ただしキオクシアについてはNVIDIA決算だけでなく、
岩手県に1兆円を超える新しい製造棟を建設するとの報道も材料になっています。

ここはかなり重要です


NVIDIAが歴史的な好決算を出しても、日本の関連株がすべて上がるわけではありません。
業績の良さと、現在の株価にどこまで期待が織り込まれているかは別問題です。

日本の半導体株を買うなら何を見るべきか

NVIDIA決算によって、AI需要そのものが強いことは改めて確認できました。

これは日本の半導体製造装置、検査装置、メモリー、電子部品などにとって基本的には追い風です。

しかし、だからといって株価を見ずに買ってよいわけではありません。

特にAI関連株は、数年先までの高い成長期待をすでに株価へ織り込んでいる銘柄も多くあります。

私なら、
今後の利益成長率、PER、現在の株価位置、競争力、AI需要以外の収益源まで確認します。

「NVIDIAが良かったから関連株を買う」だけでは、少し危険だと思います。

私なら今回の決算をどう見るか

今回の決算を見る限り、
「AI設備投資はすでにピークアウトしている」という見方には慎重になった方がよさそうです。

NVIDIAの売上高は106%増。
データセンター売上高は117%増。
次四半期の会社予想まで市場予想を上回りました。

Vera Rubinも本格的に立ち上がり始めています。

実需が強いことは間違いありません。

ただ私は、この決算を見て
「AI関連株なら何でも買えばよい」とは思いません。

むしろ今後は、
AI需要が伸びること以上に、その成長を現在の株価がどこまで先回りしているのかを見る必要があります。

NVIDIA自身ですら粗利益率低下が見込まれています。

AIインフラ投資が巨大化すれば、
メモリー、電力、冷却、土地、資金調達などさまざまなコストも増えていきます。

AI需要は強い。しかし株価の期待も非常に高い。
今回のNVIDIA決算は、その両方を改めて確認する決算だったと思います。

まとめ|NVIDIAは強い。ただしAI株なら何でも上がる相場ではない

NVIDIAの2027年度第2四半期決算は、非常に強い内容でした。

売上高962億ドル、前年同期比106%増。
データセンター売上890億ドル、117%増。

次四半期売上高も1,080億ドルを見込み、市場予想を上回っています。

さらにフアンCEOらは2028年度にも約70%の売上成長を見込み、
AI需要が依然として供給能力を上回っていると説明しました。

AI設備投資ブームが今すぐ崩れることを示す決算ではありません。

一方、粗利益率は今後低下する見通しで、
巨大化するAI投資を高い利益率で続けられるかという新しい課題も見えてきました。

そして今日の日本株を見ると、
日経平均は大幅高で始まった一方、アドバンテストは利益確定売りで下落しています。

これは非常に象徴的だと思います。

今回の決算から私が感じたこと


AI需要が本物であることと、そのAI関連株を今の株価で買うべきかどうかは別の話です。
長期投資では企業の成長だけではなく、成長に対して自分がどれだけの価格を支払うのかを考えたいと思います。

主な参考資料

NVIDIA 2027年度第2四半期決算資料、NVIDIA決算説明会、Reuters、国内株式市場報道などの公開情報をもとに作成。
日本株の値動きは2026年8月27日午前9時台の情報を含みます。

免責事項

本記事は公開情報をもとに筆者個人の考えをまとめたものであり、
NVIDIAおよび特定の銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。
株式投資には元本割れのリスクがあります。
最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
株価、為替、業績予想などは記事公開後に変化する可能性があります。

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