決算短信を開くと、最初のページから数字がたくさん並んでいます。
売上高、営業利益、経常利益、純利益、1株利益、自己資本比率。さらにページをめくると、貸借対照表やキャッシュ・フローも出てきます。
これを最初から全部理解しようとすると、かなり疲れます。株式投資を始めたばかりの方なら、どこを見ればよいのか分からなくなるのも自然だと思います。
以前の記事「私が気になる株をすぐ買わない理由」で、私は銘柄を「見つける・調べる・待つ」の3段階で見ていると書きました。
決算短信も同じです。
最初から細かい数字をすべて調べるのではなく、まず大きな変化を見つける。気になるところがあれば、その後で詳しく調べます。
高配当株の決算を見るとき、最初に確認したいのは次の3か所です。
- 配当予想は変わっていないか
- 本業の利益は増えているか
- なぜ利益が増えた、または減ったのか
慣れてくれば、ここまでなら数分で確認できます。
まずは1ページ目の「配当の状況」を見る
高配当株の決算で、最初に見たいのは配当予想です。
決算短信の1ページ目には、「配当の状況」という欄があります。ここを見ると、前期にいくら配当を出したのか、今期はいくら出す予定なのかが分かります。
確認することは、それほど多くありません。
- 今期の年間配当予想はいくらか
- 前回の予想から変更されたか
- 前期より増配、維持、減配のどれか
例えば、前回まで年間50円の予定だった配当が60円に増えていれば、増配です。
反対に、50円から40円へ引き下げられていれば減配です。株価情報サイトでも確認できますが、最終的には会社が発表した資料を見る方が確実です。
ただし、「配当予想に変更なし」と書かれているだけで安心はできません。
利益が大きく減っているのに配当だけ維持している場合、その配当を今後も続けられるのかという疑問が残ります。
そこで、次に利益を見ます。
次に「営業利益」が増えたか減ったかを見る
決算短信には、売上高やさまざまな利益が並んでいます。
最初に全部を見る必要はありません。まずは営業利益を前年の同じ時期と比べます。
営業利益は、その会社が本業でどれくらい稼いだのかを見る数字です。
例えば、売上高が増えていても営業利益が減っていることがあります。
商品はたくさん売れたものの、原材料費や人件費が増え、利益が残りにくくなったのかもしれません。値下げによって売上を増やした可能性もあります。
反対に、売上高がそれほど増えていなくても、営業利益がしっかり伸びている会社もあります。
値上げがうまく進んだ、利益率の高い商品が売れた、コスト削減の効果が出た、といった理由が考えられます。
この時点では、良い悪いをすぐ決めません。
まず、
- 前年より営業利益が増えたのか
- 減ったのか
- 会社の予想どおりに進んでいるのか
を確認します。
数字が大きく動いていたら、「なぜだろう」と思うことが大切です。
3つ目は「利益が動いた理由」を読む
営業利益が増えた、または減った理由は、決算短信の後ろにある「経営成績に関する説明」などに書かれています。
ここは数字ばかりではなく、普通の文章で説明されている部分です。
例えば、利益が減った理由として、次のようなことが書かれています。
- 原材料価格が上がった
- 人件費や広告費が増えた
- 新しい工場や店舗への投資を進めた
- 特定の商品が売れなかった
- 為替の影響を受けた
同じ「利益が減った決算」でも、理由によって見方は変わります。
将来の成長に向けて広告や人材へ先にお金を使ったのか。それとも、主力商品の人気が落ちて売上も利益も減っているのか。
前者なら、一時的に利益が減っても、その投資が将来の成長につながる可能性があります。
後者なら、回復に時間がかかるかもしれません。
数字だけで判断せず、会社自身がどう説明しているのかを読むと、決算の見え方が少し変わります。
配当は同じ、利益は減少。この場合はどう見る?
ここまでの3か所を、簡単な例で考えてみます。
ある会社の年間配当予想は50円で、前回から変更なし。ところが営業利益は前年より20%減っていたとします。
配当だけを見れば、「50円のままだから問題ない」と思うかもしれません。
しかし、配当のもとになる利益は減っています。
この場合は、すぐに売る、すぐに買わないと決めるのではなく、まず利益が減った理由を読みます。
一時的な費用が増えただけなのか。会社は下期に回復すると考えているのか。それとも主力事業そのものが苦戦しているのか。
理由を読んでも納得できなければ、次の決算まで待つという選択もあります。
良さそうな会社を見つけてもすぐ買わず、納得できるまで調べて待つ。これは、普段の銘柄選びと同じだと思っています。
もっと調べたい会社だけ、配当性向を見る
3か所を確認して「もう少し調べたい」と思った会社は、次に配当性向を見ます。
配当性向とは、会社が稼いだ利益のうち、どれくらいを配当に回しているかを表す数字です。
例えば、1株当たり利益が100円で、年間配当が40円なら、配当性向は40%です。
ところが利益が50円まで減り、配当が40円のままだと、配当性向は80%になります。
同じ40円の配当でも、会社の負担はかなり重くなっています。
だから私は、今の配当利回りだけでなく、利益と配当が一緒に伸びているかを重視しています。
配当性向とDOEの違いについては、「配当性向だけ見ていませんか?DOEとは」で詳しく書いています。
キャッシュ・フローは最初から見なくてもよい
決算記事では、「キャッシュ・フローも確認しましょう」とよく書かれています。
もちろん大切な数字ですが、投資初心者が最初からすべてを見る必要はないと思います。
まず配当、営業利益、利益が動いた理由を見る。
その会社を本当に買いたいと思ったときに、現金が減っていないか、借金が増えていないか、本業から現金を稼げているかを追加で確認すればよいと思います。
私も銘柄を調べるときは、最初に長期の業績と配当の傾向を見ます。その段階で気になった会社を、さらに詳しく調べていきます。
最初から全部を細かく調べるより、この方が続けやすいです。
決算が良くても、すぐ買う必要はない
配当が増え、営業利益も伸び、会社の説明にも納得できる。
それでも、すぐに買う必要はありません。
良い決算が出た直後は、株価がすでに大きく上がっていることもあります。良い会社であることと、今の株価で買いたいことは別です。
決算短信は、買うか売るかをその場で決めるためだけの資料ではありません。
自分が見ている会社に何か変化があったのかを知るための資料です。
良いと思えば監視を続ける。分からなければ次の決算を待つ。株価が高いと思えば、納得できる価格まで待つ。
決算を見るたびに売買しなくてもよいと思います。
決算短信はどこで見られる?
決算短信は、各企業のIRページや適時開示情報から無料で確認できます。
上場会社の決算短信については、日本取引所グループが作成要領や参考様式を公開しています。有価証券報告書などをさらに詳しく読みたい場合は、金融庁のEDINETを利用できます。
まとめ|最初は3か所だけでよい
決算短信を最初から最後まで読むのは大変です。
高配当株の決算を初めて確認するときは、まず次の3か所を見ます。
- 配当予想は変わっていないか
- 営業利益は前年より増えたか、減ったか
- 利益が動いた理由を会社はどう説明しているか
ここで気になった会社だけ、配当性向やキャッシュ・フロー、借金の状況を追加で調べます。
大切なのは、1回の決算だけで結論を急がないことです。
同じ会社を継続して見ていると、利益の伸び方、会社の説明、配当方針の変化が少しずつ分かるようになります。
最初から完璧に分析しようとせず、まず3か所だけ確認する。そこから始めれば十分だと思います。
免責事項
本記事は公開情報をもとにした一般的な学習情報であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資には元本割れの可能性があります。最終的な投資判断は、ご自身の責任で行ってください。


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