最近株主還元を強化した日本株3銘柄|DOE・増配・自社株買いを投資基準でチェック

個別株分析

最近、日本企業の株主還元がかなり積極的になってきました。

増配だけでなく、DOE(株主資本配当率)の導入、自社株買い、総還元性向の引き上げなど、企業側から「株主へ利益を還元する」という姿勢が以前より明確になっています。

そこで今回は、最近株主還元を強化した企業の中から、個人的に気になった3社を取り上げます。

住友精化(4008)
ハンモック(173A)
りそなホールディングス(8308)

ただし今回は、「増配したから買い」「DOEを導入したから買い」という見方はしません。

そもそも何をしている会社なのか。そして、利益やEPSは伸びているのか。配当余力はあるのか。現在の株価はどうなのか。私が普段株を見るときの基準も使ってチェックしてみます。

※本記事は2026年9月時点の公表資料・株価情報をもとにした個人的な考察です。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価、配当予想、業績予想などは今後変更される可能性があります。

私は「株主還元強化」だけでは買わない

私自身、高配当株は好きですが、配当利回りランキングの上から順番に買うような投資はしていません。

基本的に確認しているのは、次のようなポイントです。

① 配当利回り
現在の配当水準に十分な魅力があるか。
② 増配
今の配当だけでなく、将来配当が増えていく可能性があるか。
③ EPS・利益成長
増配の原資となる1株当たり利益そのものが伸びているか。
④ 配当余力
配当性向が高くなりすぎていないか。無理な還元ではないか。
⑤ 財務
配当だけでなく、成長投資を続けられる財務体質があるか。
⑥ 株主還元姿勢
DOE、累進配当、自社株買いなど、経営側の還元方針が明確か。
⑦ 株価水準
良い企業であっても、高すぎる株価で買おうとしていないか。

私が理想とするのは、「高配当+増配+利益成長」ができるだけ揃った企業です。

そもそもDOEとは?

最近の株主還元ニュースでよく見かけるのがDOEです。

DOE=株主資本配当率

株主資本に対して、企業がどれくらい配当を支払っているかを見る指標です。

配当性向は「その年の利益」に対する配当の割合です。そのため利益が大きく上下すると、配当方針にも影響が出やすくなります。

一方、DOEは株主資本を基準にするため、DOEの目標や下限を設定すると、単年度の利益変動だけに左右されにくい配当政策を取りやすくなります。

ただし、DOEを導入したから企業の利益が成長するわけではありません。配当の仕組みと事業の成長性は分けて考えたいところです。

① 住友精化(4008)|DOE4.5%以上へ

住友精化はどんな会社?

住友精化という社名だけを見ると、「普通の化学メーカーかな?」という印象を持つかもしれません。

実際には、私たちの生活にかなり身近なものから半導体まで、幅広い分野を支えている会社です。

主な事業

吸水性樹脂
紙おむつやペットシートなどに使われる、高い吸水性能を持つ樹脂。

機能化学材料
化粧品、接着剤、リチウムイオン電池などで使用される化学素材。

半導体用ガス
半導体製造の成膜・エッチングなどで使われる高純度ガス。

スペシャルティガス・エンジニアリング
分析用ガスや工業用ガス、ガス発生・回収装置など。

個人的に面白いと思ったのは、紙おむつ向けの吸水性樹脂という比較的安定した需要が期待できる事業を持ちながら、半導体用高純度ガスという成長分野にも関わっている点です。

いわゆる「半導体株」というイメージは薄い会社ですが、半導体製造に欠かせない特殊材料ガスも手掛けています。

株主還元を大きく強化

住友精化は配当について、


配当性向30%以上

DOE4.5%以上

を基準とする方針を掲げています。

さらに2027年3月期の年間配当予想は70円。還元姿勢はかなり強くなっています。

株価推移をざっくり見る

住友精化の株価は、2021年末には600円台まで下落していましたが、その後は回復基調にあります。

年末終値ベースでは2022年815円、2023年998円、2024年955円、2025年1,080円と推移。2026年に入ってからは一段高となり、1,500円台をつける場面もありました。

つまり、最近株価が急落して高配当になった銘柄というより、株価も上昇している中で大幅増配によって利回りが高くなっている点は好印象です。

1Q業績も好調

2027年3月期第1四半期は、売上・利益ともに前年同期を大きく上回りました。

項目 実績 前年同期比
売上高 約404億円 +13.6%
営業利益 約34.5億円 +47.5%
純利益 約32.6億円 +212.2%

私の基準で住友精化をチェック

チェック項目 評価 理由
配当利回り 4%台後半の高水準
株主還元 DOE4.5%以上+配当性向30%以上
足元業績 1Qは大幅増益
長期利益成長 今後もEPS成長が続くか確認したい
事業内容 生活必需品+半導体・電池関連
住友精化の印象

今回の3社では、私の「高配当+増配+利益成長」という考え方に最も近い印象です。ただし、還元強化だけで判断せず、今後もEPSが伸びていくかを確認したいところです。

② ハンモック(173A)|DOE5%を下限に設定

ハンモックはどんな会社?

今回調べていて個人的にかなり面白いと感じたのがハンモックです。

証券コードが「173A」と新しく、2024年4月に東証グロース市場へ上場した企業なので、できたばかりの会社のようにも見えます。

しかし実際には、会社の設立は1994年です。

「会社が若い」のではなく、「株式市場に上場してからまだ日が浅い会社」です。

30年以上にわたって法人向けソフトウェアを手掛けており、企業のIT業務を効率化するサービスを自社で開発しています。

主な3つの事業

IT資産管理・セキュリティ
「AssetView」などを通じて、企業のPC管理、情報漏えい対策、IT資産管理を支援。

営業DX・名刺管理
「ホットプロファイル」で名刺管理や営業支援、顧客情報管理を行う。

AIデータエントリー
AI-OCRを使い、紙やPDFなどに記載された情報をデータ化して入力業務を効率化。

要するに、「企業の面倒な事務作業やIT管理をソフトウェアで効率化する会社」と考えると分かりやすいです。

売り切り型の商品だけではなく、SaaS・クラウドサービスも展開しているため、契約が積み上がれば継続収入につながりやすいところも興味深いです。

DOE5%を「下限」にする積極還元

ハンモックは2026年8月、株主還元方針を大きく変更しました。


年間配当性向50%を中長期目標
DOE5%を下限
配当を年1回から年2回へ

特に目を引くのが、DOE5%を「目標」ではなく下限としている点です。

2027年3月期の年間配当予想も45円から65円へ引き上げられました。

株価推移をざっくり見る

ハンモックは2024年4月上場なので、住友精化やりそなのように5年、10年の株価推移を確認することはできません。

上場後は株価が大きく調整する時期もあり、2026年は1,200円台後半まで下落する場面がありました。一方、年初には1,800円台まで上昇しており、小型グロース株らしく値動きは比較的大きいです。

最近は株主還元強化も評価材料になっていますが、上場後の株価データがまだ短いことは頭に入れておきたいところです。

1Qは増収増益

2027年3月期第1四半期は、

  • 売上高:約12.1億円 前年同期比+6.6%
  • 営業利益:約1.21億円 同+22.2%
  • 経常利益:約1.25億円 同+34%台

と、足元では増収増益です。

IT管理、営業DX、AI-OCRはいずれも企業の省人化・業務効率化につながる分野なので、今後の成長余地はありそうです。

一方、DOE5%を下限としながら長期的に増配を続けるためには、最終的にはEPSの成長が欠かせません。

私の基準でハンモックをチェック

チェック項目 評価 理由
配当利回り 4%台
株主還元 DOE5%下限+配当性向50%目標
足元業績 1Q増収増益
成長性 SaaS・DX・AI-OCRに成長余地
株価・流動性 上場歴が短く、小型株で値動きも大きい
ハンモックの印象

今回初めて詳しく調べましたが、かなり面白い銘柄だと感じました。1994年創業で事業実績は長い一方、株式市場ではまだ新顔。SaaS・DX・AIという成長分野と高い株主還元を両立できるのか、今後も追いかけてみたい会社です。

③ りそなHD(8308)|増配+大型自社株買い

りそなHDはどんな会社?

りそなホールディングスは、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、みなと銀行などを傘下に持つ銀行持株会社です。

メガバンクと比べると海外投資銀行業務のイメージは弱く、国内の個人や中小企業を中心としたリテール銀行という色が強いグループです。

実際、貸出金の約8割が個人・中小企業向けとされています。

りそなの特徴

● 個人・中小企業中心の銀行業務

● 首都圏と関西圏に強い店舗網

● 預金・融資だけでなく信託機能を持つ

● 相続・資産承継・事業承継・不動産なども銀行本体で対応

普通の銀行業務だけでなく信託機能を銀行本体で持っていることが、りそなの特徴です。

高齢化が進む日本では、相続・資産承継・事業承継などの需要が増える可能性があるため、この部分は長期的にも面白い事業だと思います。

還元強化は3社の中でも最大級

りそなの新しい株主還元方針はかなり積極的です。


総還元性向50%以上
DOE目標3.5%程度
安定的・持続的な増配
機動的な自社株買い

2027年3月期の年間配当予想は、前期29円から37円へ8円増配

2026年5月から8月には約350億円の自己株式を取得し、さらに7月31日には上限500億円の追加取得枠を設定しています。

配当だけではなく、自社株買いによって発行済株式数を減らし、EPSの向上も狙う総合的な還元策です。

株価推移をざっくり見る

りそなの株価は、この数年間でかなり大きく上昇しています。

年末終値を見ると、2021年447円、2022年723円、2023年716円、2024年1,144円、2025年1,493円と推移しました。

特に2022年、2024年は大きく上昇しています。

背景には、長く続いた超低金利環境からの転換と、銀行の収益改善期待があります。

株主還元も強化されていますが、すでに株価自体が大きく上昇しているため、現在の配当利回りだけを見ると高配当株とは呼びにくくなっています。

利益成長+自社株買いは魅力

りそなの場合、配当利回りだけを見るよりも、利益成長と自社株買いまで含めて評価した方がよさそうです。

会社は2027年3月期について、親会社株主に帰属する当期純利益3,100億円を目標に掲げています。

金利上昇だけに依存するのではなく、貸出残高やフィー収益を伸ばしながら収益基盤そのものを強化する方針です。


利益成長
+ 増配
+ 自社株買い

1株当たり利益・1株価値の向上

私の基準でりそなHDをチェック

チェック項目 評価 理由
配当利回り 株価上昇で利回りは低下
増配 29円→37円予想
株主還元 DOE+大型自社株買い
利益成長 今期も増益目標
株価水準 数年間で株価が大幅上昇
りそなHDの印象

企業としての魅力はかなり高まっています。ただ、私が今から「高配当株」として買うなら、株価が上昇した現在の利回りでは優先順位は少し下がります。良い企業と、今買いたい株は必ずしも同じではありません。

3社をまとめて比較

銘柄 主な事業 還元強化 強み 気になる点
住友精化 吸水性樹脂・化学材料・半導体用ガス DOE4.5%以上 高配当+事業分散 EPS成長の継続性
ハンモック IT管理・営業DX・AI-OCR DOE5%下限 成長分野+高還元 小型株・上場歴が短い
りそなHD 銀行・信託・資産承継 DOE+大型自社株買い 利益成長+総合還元 株価上昇で利回り低下

会社の中身を知ると、同じ「還元強化株」でも全く違う

今回改めて3社を調べて感じたのは、「株主還元を強化した会社」という共通点だけで括ると、かなり違う会社だということです。

住友精化は、紙おむつ向け吸水材から半導体用ガスまで手掛ける化学メーカー。

ハンモックは、企業のIT管理や営業活動を効率化する法人向けソフトウェア企業。

りそなは、個人・中小企業と信託に強いリテール金融グループです。

配当利回りやPERを見る前に、「この会社は何で稼いでいるのか」「その事業は10年後も必要とされるのか」を知ることが、長期投資ではかなり重要だと思っています。

私なら3社のどこを見るか

現時点で私の投資スタイルに最も近いのは、やはり住友精化です。

高配当、DOE4.5%以上、足元の業績改善に加え、吸水性樹脂・機能材料・半導体用ガスという事業内容にも興味があります。

一方で、今回調べて最も「今後も追いかけてみたい」と感じたのはハンモックでした。

上場したばかりなので新興企業という印象を持っていましたが、実際には1994年創業。法人向けソフトウェアで30年以上の実績がありながら、SaaS・営業DX・AI-OCRという成長分野を持ち、さらにDOE5%を下限に設定しています。

ただし、小型株なので株価変動や流動性には注意が必要です。

りそなは企業としては非常に魅力的になっていますが、株価が大きく上昇したため、今から高配当株として買うという目的では少し違います。

「還元強化」は銘柄を見つけるきっかけ。

最後は、事業内容・利益成長・EPS・配当余力・財務・株価まで確認して判断したいと考えています。

まとめ|還元強化は「銘柄を見つける入口」に使いたい

  • 住友精化は生活必需品から半導体材料まで手掛け、DOE4.5%以上を採用
  • ハンモックは1994年創業、2024年上場の法人向けソフトウェア企業
  • ハンモックはDOE5%を下限とする積極的な還元方針
  • りそなHDはリテール銀行+信託に強く、増配と大型自社株買いを実施
  • DOEや増配だけでは企業の成長性までは分からない
  • まず「何で稼いでいる会社なのか」を理解したい
  • 理想は「高配当+増配+利益成長」が長期間続く企業

株主還元を強化する企業が増えている今は、高配当株投資家にとって銘柄を探しやすい環境になっていると思います。

今後も「最近還元を強化した3社」「増配を発表した3社」「DOEを導入した3社」などを入口にしながら、企業そのものを詳しく調べていきたいと思います。

高配当 + 増配 + 利益成長

この3つができるだけ揃っている企業を、これからも長期目線で探していきたいと思います。

主な参考資料

  • 住友精化 会社概要・事業案内・株主還元・決算資料
  • ハンモック 会社概要・事業内容・IR資料・配当方針変更資料
  • りそなホールディングス 会社概要・株主還元・中期経営計画・決算資料
  • 株価推移は2026年9月時点の市場データを参照

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