投資系YouTubeを見ていると、ここ数日で一気に紹介され始めた投資信託があります。
三菱UFJアセットマネジメントが2026年9月30日に設定する
「eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)」、
愛称「オルカン高配当」です。
「ついにオルカンの高配当版が登場した」と聞くと、私も高配当株を中心に投資しているだけに気になります。
ただ、私はこの商品を見てすぐに
「これは買わなければ」とは思いませんでした。
なぜなら私はすでに、
アムンディ・インデックスシリーズの「オールカントリー・高配当株」を少額ですが保有している
からです。
新しいeMAXISのオルカン高配当は、かなり面白い商品だと思います。
ただし、アムンディのオールカントリー高配当株をすでに持っている人が、
慌てて売却して乗り換えるような商品ではないと考えています。
一方で、これから初めて「世界の高配当株」に投資したい人にとっては、
有力な選択肢になりそうです。
eMAXIS「オルカン高配当」とは?
正式名称は、
eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)。
世界の株式市場全体へ投資する通常のオルカンとは違い、
世界の企業の中から高配当かつ一定の品質を満たした企業を選んで投資します。
| 設定予定日 | 2026年9月30日 |
|---|---|
| 運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
| 愛称 | オルカン高配当 |
| 投資対象 | 日本を含む世界の高配当株 |
| 連動指数 | MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス 高配当利回り指数 |
| 信託報酬 | 年率0.165%以内(税込) |
| 為替ヘッジ | 原則なし |
| NISA | 成長投資枠対象 |
| 商品タイプ | 配当払出型/資産成長型 |
今回登場するのは「eMAXIS」シリーズであり、
大人気の「eMAXIS Slim」シリーズではありません。
「eMAXIS Slim オルカンに高配当コースが追加された」
という意味ではないので注意が必要です。
単純に「利回りの高い株」を集めた商品ではない
私がこの商品で一番面白いと思ったのは、
実は「高配当」という名前そのものではありません。
注目したいのは、
MSCI ACWI High Dividend Yield Indexの銘柄選定方法です。
高配当株というと、
「とにかく配当利回りが高い企業を上から買っていく」
というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、高すぎる配当利回りには注意が必要です。
業績悪化で株価が急落した結果、見かけ上の配当利回りだけが高くなっている企業もあります。
そのような銘柄を機械的に集めれば、
いわゆる「高配当の罠」に入りやすくなります。
配当利回りだけではなく、
配当の持続性、成長性、財務品質、株価の状況なども考慮して銘柄を選定します。
つまり狙っているのは、
単純な「超高配当株詰め合わせ」ではなく、
世界の比較的質の高い高配当企業へ広く投資する設計です。
約700銘柄に分散
MSCIのデータでは、2026年7月31日時点の
MSCI ACWI High Dividend Yield Indexの構成銘柄数は
713銘柄。
指数の配当利回りは同日時点で3.27%となっています。
約713銘柄
約3.27%
※MSCI公表データ、2026年7月31日時点。将来の配当利回りやファンドの分配金を保証するものではありません。
上位には誰もが知る大型企業も多い
2026年7月末時点の指数上位には、
- Exxon Mobil
- Johnson & Johnson
- AbbVie
- UnitedHealth Group
- Chevron
- Coca-Cola
- Procter & Gamble
- Home Depot
- Merck
- Roche
などが入っています。
「高配当株」というより、
世界の大型優良企業の中から配当を重視して選んだポートフォリオ
と考えた方がイメージしやすいと思います。
「配当払出型」と「資産成長型」の2種類
今回のオルカン高配当には、
まったく同じように見えて目的の違う2種類があります。
年4回決算。
3月・6月・9月・12月に決算を行い、
経費等を差し引いた後の配当等収益を原則として分配します。
原則として分配を抑え、
ファンド内部で運用を続けることで中長期の資産成長を目指します。
私は「配当払出型」の考え方が面白いと思う
高配当投資をしている人なら、
この気持ちは分かるのではないでしょうか。
株価が上がって資産が増えるのはもちろん嬉しい。
でもそれとは別に、
定期的に配当金が口座へ入ってくる安心感があります。
売却しなければ使えない含み益とは違って、
配当金はそのまま生活費にも再投資にも使えます。
三菱UFJアセットマネジメントも今回、
「資産を売却して取り崩すことに心理的な抵抗を感じる投資家がいる」
という点を商品開発の背景として挙げています。
経費控除後の配当等収益を原則として分配する
という分かりやすい設計です。
「毎月分配型」のように、分配額そのものを大きく見せることを目的とした商品とは
分けて考えたいところです。
ただし「分配金=追加の利益」ではない
ここは高配当投資で非常に重要です。
投資信託から分配金が支払われれば、
基本的にはその分だけファンドの資産が外へ出ていき、
基準価額にも反映されます。
したがって、
分配金を受け取ったから、その分だけ投資家が得をしたわけではありません。
資産をできるだけ大きく育てることだけを目的とするなら、
分配を抑えて内部で再投資する資産成長型や、
通常の低コストインデックスファンドの方が合理的な場合もあります。
実は「オルカン高配当」はすでに存在する
ここが今回の記事で最も伝えたいところです。
eMAXIS版の登場で、
「世界の高配当株へまとめて投資できる画期的な新商品が登場した」
と感じた方もいるかもしれません。
しかし、実はかなり似た商品がすでにあります。
(アムンディ・インデックスシリーズ)オールカントリー・高配当株
私もこのファンドを少額ですが保有しています。
アムンディ版とeMAXIS版はかなり似ている
アムンディのオールカントリー・高配当株も、
eMAXISのオルカン高配当と同じく、
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス
高配当利回りインデックス
への連動を目指します。
さらに信託報酬も、
年率0.165%。
つまり基本的な投資対象だけを見ると、
かなり似ています。
| eMAXIS オルカン高配当 |
アムンディ オールカントリー高配当 |
|
| 投資地域 | 全世界 | 全世界 |
| 指数 | MSCI ACWI 高配当利回り指数 |
MSCI ACWI 高配当利回り指数 |
| 信託報酬 | 0.165%以内 | 0.165%以内 |
| 分配 | 配当払出型と 資産成長型 |
年4回決算 |
| NISA | 成長投資枠 | 成長投資枠 |
では、アムンディから乗り換えるべきか?
私自身は、
今のところ慌てて乗り換える必要は感じていません。
投資対象となる指数が同じで、
信託報酬もほぼ同水準だからです。
eMAXISというブランドの知名度は非常に高く、
今後かなり大きな純資産が集まる可能性はあると思います。
純資産が大きくなればファンドの安定運用という面では安心材料になりますが、
それだけを理由に既存ファンドを売却するほどの違いではありません。
「新しい商品が出たから」という理由だけで、
同じような投資対象の商品を頻繁に乗り換える必要はないと私は考えています。
eMAXIS版を選ぶ理由があるとすれば「分配設計」
一方で、eMAXIS版ならではの魅力もあります。
特に面白いのが、
「配当払出型」と「資産成長型」を最初から分けたことです。
世界の高配当株へ投資しながら、
- 配当を現金として受け取りたい
- 配当を受け取らず運用を続けたい
この2つを投資家自身が選べます。
特に資産成長型は、
高配当株という投資スタイルは好きだけれど、今は現金収入を必要としていない
という人には使いやすそうです。
私は今、SBI日本高配当とTracers米国高配当を追加している
私自身は高配当投資信託を1本に集約するというより、
現在は地域ごとに役割を分けています。
SBI日本高配当株式(分配)ファンドを追加投資。
Tracers DJ USディビデンド100(米国高配当株式)年4回分配型を追加投資。
アムンディ・インデックスシリーズ
オールカントリー・高配当株を少額保有。
このようにすると、
「日本をもう少し増やしたい」
「今回は米国高配当を増やしたい」
という調整がしやすくなります。
SBI日本高配当株式の役割
SBI日本高配当株式(分配)ファンドは、
日本の高配当株を中心に投資するファンドです。
信託報酬は年率0.099%と低水準。
単純な指数連動ではなく、
配当利回りや企業のファンダメンタルズ、
バリュエーションなどを考慮して銘柄を選ぶのも特徴です。
日本企業では近年、
配当性向だけでなくDOEを導入したり、
累進配当を掲げたりする企業も増えています。
私は日本株の株主還元強化そのものに期待しているので、
日本高配当株は今後もポートフォリオの重要な部分だと考えています。
Tracers DJ USディビデンド100の役割
米国高配当では、
Tracers DJ USディビデンド100
を追加しています。
こちらは、
ダウ・ジョーンズUSディビデンド100インデックスへの連動を目指す商品です。
配当利回りだけではなく、
クオリティを重視した米国高配当株100社
を選ぶ考え方で、SCHDに近い投資戦略として理解すると分かりやすいと思います。
これとは別に、投資対象となるETFに年率0.06%の費用がかかります。
表面上の信託報酬だけで比較しないことも大切です。
4つの商品は「どれが最強」ではなく役割が違う
世界の高配当株へ1本で分散したい人向け。
配当払出型と資産成長型を選べるのが大きな特徴。
eMAXIS版とほぼ同じ指数へ投資。
すでに運用実績があるため、既存保有者が慌てて乗り換える必要性は小さいと私は考えています。
日本企業の株主還元強化や増配に期待する人向け。
日本株だけを増やしたい時にも使いやすい。
米国の高配当・クオリティ株を重視したい人向け。
世界分散より米国企業を厚く持ちたい場合に使いやすい。
普通のオルカンとオルカン高配当、どちらがいい?
名前は似ていますが、
私はこの2つを競合商品とは考えていません。
普通のオルカン
- 世界株全体へ広く投資
- 時価総額の大きい成長企業も取り込む
- 信託報酬が非常に低い
- 長期的な資産形成を最優先
オルカン高配当
- 世界株から高配当企業を選別
- 配当の持続性や財務品質も考慮
- 通常オルカンより米国大型成長株への偏りが小さくなりやすい
- 配当収入やバリュー・クオリティ要素を重視
世界経済の成長をそのまま取り込みたいなら普通のオルカン。
世界の高配当・クオリティ企業を重視したいならオルカン高配当。
オルカン高配当のメリット
日本、米国、欧州、新興国などを自分で組み合わせなくても、
1本で世界の高配当企業へ分散できます。
高利回りだけを追うのではなく、
配当の持続性や財務品質なども考慮されます。
今のキャッシュフローを重視するか、
将来の資産形成を重視するかで選択できます。
オルカンで圧倒的な知名度を持つ三菱UFJアセットマネジメントの商品だけに、
今後資金が集まる可能性があります。
もちろんデメリットもある
オルカン高配当は年率0.165%。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)より高いコストになります。
AI、半導体、大型テクノロジー株などが市場を強くけん引する局面では、
市場全体型のオルカンに対して高配当指数が出遅れる可能性があります。
高配当ファンドであっても、
将来の分配金や配当利回りが保証されているわけではありません。
ベンチマーク指数には過去データがありますが、
eMAXISのファンドそのものは2026年9月30日設定予定の新商品です。
実際のトラッキングや資金流入は運用開始後に確認する必要があります。
どんな人なら買う価値がありそうか
世界中の高配当株へ手軽に分散したい人。
米国だけに偏りたくない人。
定期的なキャッシュフローを重視する人。
高配当だけでなく企業品質も重視したい人。
普通のオルカンだけで十分と考えている人。
資産最大化を最優先している人。
すでにアムンディ版を十分保有している人。
日本・米国など地域別に自分で配分したい人。
私ならどうする?
新しいオルカン高配当は、
私の投資スタイルともかなり相性の良い商品です。
高配当だけを追うのではなく、
配当の持続性、企業の質、世界分散まで考えている
ところは好感を持っています。
ただ、私の場合はすでにアムンディのオールカントリー・高配当株を保有しています。
そのため、
「eMAXISが出たからアムンディを売って全部乗り換える」ことは今のところ考えていません。
現在の追加投資では、
日本株についてはSBI日本高配当株式、
米国株についてはTracers DJ USディビデンド100などを使い、
自分で地域配分を調整しています。
一方で、
「そんな細かいことは考えず、世界の高配当企業を1本で持ちたい」
という人には、
新しいオルカン高配当はかなり分かりやすい選択肢だと思います。
資産を売却しなくても、
世界の企業が生み出した配当を定期的に受け取る。
資産最大化だけではなく、
「配当を受け取りながら株式投資を続ける」という考え方を好む投資家にとって、
面白い商品が一つ増えたと感じています。
まとめ|オルカン高配当は有力だが、焦って乗り換える必要はない
eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)は、
「オルカン」という非常に強いブランド名だけが注目されがちです。
しかし中身を見ると、
単なる話題先行の商品ではありません。
- 世界の高配当株へ分散
- 配当の持続性や財務品質を考慮
- 約700銘柄へ分散
- 信託報酬0.165%
- 配当払出型と資産成長型を用意
という、かなり分かりやすい設計です。
ただし、
アムンディからすでにほぼ同じ指数へ投資する商品が存在します。
既存投資家にとって大切なのは、
「新商品だから買う」のではなく、自分のポートフォリオに何の役割を持たせるか
だと思います。
私自身も今後、
eMAXIS版の純資産総額や実際の分配金、
アムンディ版との運用差などを見ながら、
必要であれば追加を検討していきたいと思います。
高配当、増配、企業の利益成長、そして分散。
どの商品が自分の投資目的に合っているのかを考えながら、
長く付き合える商品を選びたいところです。
三菱UFJアセットマネジメント「オルカン高配当」関連公表資料、
MSCI ACWI High Dividend Yield Index、
アムンディ・ジャパン、
SBIアセットマネジメント、
アモーヴァ・アセットマネジメントの公表資料等をもとに作成。
数値は2026年9月1日時点で確認できる情報を使用しています。
本記事は特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。
投資信託や株式には価格変動、為替変動等によって元本割れとなるリスクがあります。
投資判断は最新の目論見書等をご確認のうえ、ご自身の判断でお願いいたします。



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