サービスは強いのに株主は報われない。私がそれでも楽天株を100株持つ理由

個別株分析

楽天グループという会社には、以前から少し不思議なところがあると感じています。

楽天市場、楽天カード、楽天銀行、楽天証券、楽天トラベル。
そして1,000万回線を超えた楽天モバイル。

私たちの生活にかなり深く入り込んでいるサービスを、これだけたくさん持っている企業は日本でも珍しいと思います。

私自身も楽天モバイルを使い、楽天市場で買い物をし、楽天カードで支払い、旅行では楽天トラベルを利用することがあります。

ところが投資家として楽天株を見ると、まったく違う景色が見えてきます。


これだけ身近で強いサービスを持っているのに、なぜ楽天株の株主はなかなか報われなかったのでしょうか。

私が楽天株を気にしてしまう本当の理由は、単に「楽天経済圏を使っているから」だけではないのだと思います。

利用者として感じる楽天の強さと、投資家として見た楽天株の弱さ。

このギャップが、どうしても気になるのです。

私自身、今年になって楽天グループ株を100株だけ購入しました。

現在は含み損です。

配当もありません。

私が普段中心にしている「利益成長+配当・増配」という投資から考えると、楽天はむしろ異質な銘柄です。

それでも売ってしまおうとは今のところ思っていません。

今回は、そんな楽天について、
「良いサービスを持つ会社は、本当に良い株なのか?」
という視点から考えてみます。

楽天のサービスは、実際かなり強いと思う

私が楽天を完全に悲観できない最大の理由は、やはり実際にサービスを使っているからです。

ただし、「使っているから好き」というだけの話ではありません。

複数のサービスを使ってみると、楽天が長年つくってきた楽天経済圏の仕組みそのものに強さを感じます。

サービス 役割 感じる強み
楽天市場 EC ポイントを中心に他サービスへつながる
楽天カード 決済 日常の支払いから楽天経済圏と接点を持てる
楽天モバイル 通信 毎日利用するためユーザーとの接点が非常に強い
楽天トラベル 旅行 宿泊・旅行という大きな消費にも接点を持つ

楽天カードで支払い、ポイントを貯め、そのポイントを楽天市場などで使う。

楽天モバイルを契約すると、楽天市場を利用する理由も増える。

旅行するときには楽天トラベルが候補になる。

一つ一つのサービスが独立しているのではなく、利用者を楽天グループの中に循環させる仕組みがあります。

決算資料では「楽天エコシステム」と表現されていますが、自分自身が利用していると、その意味はよく分かります。

それなのに、楽天株の株主はなぜ報われにくかったのか

ここからが、私が楽天に感じている一番大きな疑問です。

これだけ多くのサービスを持ち、これだけ私たちの生活に入り込んでいる。

それなら株主にも利益が還元され、株価も長期的に伸びていて良さそうなものです。

しかし現実には、楽天株はそう簡単ではありませんでした。

・2023年以降、配当は0円

・楽天モバイルへの巨額投資が続いた

・モバイル事業の赤字がグループ利益を圧迫

・財務面への警戒も続いた

・株価上昇だけを頼りに待つ期間が長くなった

配当投資をしている私から見ると、特に「無配」は大きいです。

株価が数年間ほとんど上がらなくても、毎年3%、4%の配当が入り、それが増配していけば「待つ意味」があります。

しかし無配株では、株価が上がらない限り、株主はなかなかリターンを実感できません。

つまり楽天には、


「ユーザーには価値を提供しているのに、株主にはその価値が届きにくい」

という状態が長く続いてきたのだと思います。

良いサービス=良い株ではない

これは楽天だけの話ではなく、株式投資で非常に重要なことだと思います。

商品が好き。

サービスが便利。

利用者が多い。

それだけで良い投資先になるとは限りません。

最終的に株主が求めているのは、
その強い事業が利益やキャッシュフローを生み、企業価値や株主還元につながること
だからです。

私が楽天株から改めて感じること

「良い会社」「便利なサービス」「良い投資先」は似ているようで、実は別々に考えなければならない。

楽天市場や楽天カードがいくら強くても、その利益以上にモバイル事業で資金を使えば、グループ全体の株主価値にはつながりにくい。

楽天株の長い低迷は、その難しさをかなり分かりやすく見せてくれたように思います。

配当は3期連続0円。私の投資方針とは本来かなり違う

楽天グループは2023年、2024年、2025年と年間配当が0円でした。

2026年12月期以降についても、現時点では配当再開時期は未定とされています。

年度 年間配当
2022年 4.5円
2023年 0円
2024年 0円
2025年 0円

私は基本的に、利益成長とともに配当も増えていく企業を好んでいます。

そう考えると、楽天は本来なら私が積極的に買うタイプの銘柄ではありません。

それでも100株だけ買ったのは、今まで楽天の利益を圧迫してきた最大の問題に、少しずつ変化が出てきたと感じたからです。

その最大の問題が楽天モバイルだった

楽天グループを見るとき、避けて通れないのが楽天モバイルです。

携帯電話事業への参入によって楽天は巨額の設備投資を行い、長期間にわたってモバイル事業の赤字を抱えることになりました。

楽天市場や楽天カードなどが利益を稼いでも、モバイルの赤字がその利益を打ち消す。

株主から見れば、かなり苦しい構造でした。

逆に言えば、楽天モバイルの赤字が大きく縮小すれば、今まで見えにくかった楽天市場・カード・銀行・証券などの稼ぐ力が、グループ全体の利益に表れやすくなるとも考えられます。

だから私は、楽天モバイルが本当に改善するのかをずっと気にしています。

そして2026年2Q、ようやく数字に変化が出てきた

そんな中で発表された2026年12月期第2四半期決算には、これまでとは少し違うものを感じました。

項目 2026年4〜6月 前年同期比等
売上収益 6,655億円 +11.6%
Non-GAAP営業利益 420億円 +109.6%
IFRS営業利益 200億円 +126.9%
親会社帰属利益 77億円 6年ぶり黒字

特に目を引くのが、親会社の所有者に帰属する四半期利益が77億円の黒字になったことです。

もちろん、1四半期黒字になっただけで「楽天完全復活」と言うのは早いと思います。

ただ、今まで楽天を苦しめてきた構造が本当に変わり始めているのなら、話は変わります。

楽天モバイルはまだ赤字。でも赤字の「質」が変わってきた

私が今回の決算で最も重要だと思ったのは、やはり楽天モバイルです。

モバイル売上収益:1,214億円(+8.3%)

Non-GAAP営業損失:331億円

前年同期から:41億円改善

楽天モバイル単体では、売上収益1,013億円。

Non-GAAP営業損失は323億円で、前年同期から67億円改善しました。

EBITDAも59億円の黒字です。

さらに全契約回線数は2026年6月末時点で1,075万回線、正味ARPUは2,516円となりました。

まだ営業赤字なので安心できる段階ではありません。

しかし以前のように、

「大量の資金を使っているのに、いつ黒字になるのか見えない」

という状況からは、少しずつ変化しているように見えます。


楽天株の最大の転換点は、楽天モバイルが「利益を食べる事業」から「利益を生む、あるいは経済圏全体を強くする事業」に変われるかどうかだと思っています。

ただ、契約者1,000万回線の次は「通信品質」が問われる

一方で、楽天モバイルについて数字だけを見て楽観するのも違うと思っています。

料金の安さは大きな魅力ですし、私自身も楽天モバイルを利用しています。

少なくとも私が普段利用している環境では、現時点で特段大きな不便を感じているわけではありません。

普通にスマートフォンを使う分には、料金を考えれば十分満足できています。

ただし、楽天モバイル全体について見ると、
地下や建物の中、混雑する場所などでつながりにくいという声がある
のも無視できません。

通信品質は利用する地域、建物、時間帯、端末などによって大きく変わるため、一概に「良い」「悪い」と決めることはできません。

それでも料金の安さを前面に出す一方で、通信品質への不満が増えてしまえば、
「安いけれど品質はそれなり」
というイメージが定着する可能性があります。


1,000万回線を超えた今、本当に重要なのは「何人契約したか」だけではなく、「その1,000万人が今後も使い続けたいと思えるか」ではないでしょうか。

契約者を獲得する段階では、料金の安さは非常に強い武器になります。

しかし、ある程度契約者数が増えてくると、次に重要になるのは継続利用です。

通信が頻繁に途切れたり、必要な場所でつながらなかったりすれば、せっかく獲得したユーザーが他社へ戻ってしまう可能性があります。

そうなると解約率が高まり、再びユーザー獲得のためのコストが必要になります。

投資家として考えれば、通信品質は単なるサービス満足度の問題ではありません。


通信品質の改善 → 解約率低下 → 契約者の定着 → ARPU・収益性改善

という流れを作れるかどうかは、楽天モバイルの黒字化を考えるうえでも重要だと思います。

今後の楽天モバイルを見るときは、「契約者数が何万回線増えた」という数字だけではなく、通信品質やユーザーの定着率にも注目したいと思っています。

モバイルの赤字が小さくなると、楽天の強い事業が見えてくる

楽天というとどうしてもモバイル事業の話題が中心になります。

しかし今回の決算を改めて見ると、それ以外の事業はかなり強いです。

インターネットサービス

2026年4〜6月期のインターネットサービスは、売上収益3,381億円、Non-GAAP営業利益231億円で増収増益でした。

国内EC流通総額は1兆5,322億円。

楽天市場に加え、レジャー需要を取り込んだ楽天トラベルなども堅調でした。

自分自身が楽天市場や楽天トラベルを利用しているだけに、この部分には納得感があります。

フィンテック

さらに強かったのがフィンテックです。

売上収益:2,954億円(+27.0%)

Non-GAAP営業利益:692億円(+60.1%)

楽天カードのショッピング取扱高は7.1兆円。

楽天銀行は1,846万口座、楽天証券は1,439万口座まで拡大しています。

この数字を見ると、私が利用者として感じている楽天の強さが、決算にも確かに存在することが分かります。

問題は「強いサービスがあるか」ではなく「株主利益につながるか」

ここまで考えると、楽天株を見るポイントはかなりシンプルになってきます。

楽天市場が強いか。

楽天カードが強いか。

楽天トラベルが使われているか。

もちろんそれも重要です。

しかし、今さら楽天に強いサービスがあること自体は大きな発見ではありません。


本当に重要なのは、その強さがグループ全体の利益、キャッシュフロー、財務改善、そして最終的には株主価値につながるのかです。

これまで楽天では、その途中に楽天モバイルの巨額赤字という大きな穴がありました。

その穴が少しずつ小さくなっている。

だから今回の決算が気になるのです。

今回の黒字化が本当の転換点なら、楽天株の見方も変わる

私が楽天株に期待しているのは、単純に次の決算で利益が増えることだけではありません。

今までの楽天は、

強いインターネット・金融事業

↓

利益を稼ぐ

↓

モバイルの赤字で利益が削られる

という構造でした。

もし将来的に、

楽天市場・カード・銀行・証券が利益を稼ぐ

↓

モバイルの赤字がなくなる

↓

グループ全体の利益とキャッシュフローが改善する

↓

財務改善・復配・株主価値向上へ

という流れになれば、楽天株の評価は今までとは大きく変わる可能性があります。

ただし、そのためにはモバイル事業の赤字縮小だけではなく、
ユーザーが長く使い続けられる通信品質を確保すること
も必要でしょう。

私が見たいのは、まさにそこです。

ただし、私は100株から積極的に買い増すつもりはない

ここまで読むと、楽天株にかなり強気になったように見えるかもしれません。

しかし私は、現時点で楽天株を積極的に買い増すつもりはありません。

今持っている100株でしばらく様子を見るつもりです。

なぜなら、まだ解決していない問題も多いからです。

・楽天モバイルはまだ営業赤字

・通信品質には利用環境によって評価が分かれる部分がある

・ネットワークへの設備投資が今後も必要

・財務改善を引き続き確認する必要がある

・配当再開時期はまだ未定

・1四半期の黒字だけでは持続的な黒字化とは判断できない

私の投資の中心は、もっと利益や配当の予測がしやすい企業です。

楽天株を主力にするには、まだ不確実性が高いと感じています。

100株という小さな保有だからこそ、冷静に変化を見ていけるとも思っています。

私が今後確認したい6つのポイント

① 楽天モバイルは営業黒字化できるか
EBITDA黒字だけではなく、営業利益でも黒字化できるかを見たいところです。
② 契約者数だけでなくARPUも伸ばせるか
安い料金で契約者を増やすだけではなく、収益性を高められるかに注目しています。
③ 通信品質を改善できるか
契約者数が1,000万回線を超えた今後は、地下・建物内・混雑時などを含め、ユーザーが継続して使いたいと思える品質を作れるかも重要です。
④ 財務負担を着実に軽くできるか
利益改善と並行して財務基盤が強くなるかは重要です。
⑤ 楽天経済圏の強さが利益成長につながるか
EC、カード、銀行、証券、旅行、モバイルの相互送客がどこまで利益を生むかを確認したいです。
⑥ 復配できるか
私にとってはここも重要です。配当を再開できれば、「財務と利益が正常化してきた」という一つの象徴にもなると思います。

まとめ|サービスは強い。でも良い株になるには、もう一段必要

なぜ私は楽天株がこれほど気になるのか。

最初は、自分が楽天モバイルや楽天市場、楽天カード、楽天トラベルを利用しているからだと思っていました。

もちろん、それも理由の一つです。

しかし今回あらためて考えてみると、それだけではありませんでした。


利用者としては、楽天の強さを感じる。


でも株主としては、その強さが利益として返ってこなかった。


この矛盾が、楽天株を気にしてしまう最大の理由なのだと思います。

楽天には楽天市場があり、カードがあり、銀行があり、証券があり、トラベルがあり、そしてモバイルがあります。

サービスの土台が弱い会社ではありません。

ただ、モバイルについては契約者数を増やすだけでなく、通信品質を高め、「安いから使う」から「安くて十分使えるから使い続ける」サービスへ進めるかも重要です。

私自身は現在の利用環境で大きな不便を感じていませんが、すべての利用者が同じ評価とは限りません。

料金、通信品質、契約者数、ARPU、そして利益。

これらがうまく噛み合って初めて、楽天モバイルはグループの重荷から本当の強みに変わっていくのだと思います。

問題は、楽天が持つサービスの強さを株主利益に変換できるかどうかです。

そして今回の2026年2Q決算では、モバイル赤字の縮小と四半期黒字化という変化が見えてきました。

これが単発で終わるのか。

それとも、
「楽天のサービスの強さが、ようやく株主にも届き始める転換点」
になるのか。

私は今年買った100株を持ちながら、それを見ていきたいと思っています。

現在は含み損ですし、積極的に買い増すつもりもありません。

それでも楽天株は、これからも決算を確認したくなる銘柄です。

数年後に振り返ったとき、
「2026年頃から楽天は変わった」と言えるようになるのか。

そこに注目しています。

参考資料

  • 楽天グループ株式会社「2026年度第2四半期 決算ハイライト」
  • 楽天グループ株式会社「2026年度 第2四半期決算説明会資料」
  • 楽天グループ株式会社「配当・株主還元」
  • 楽天モバイルの通信品質については、公表情報や各種利用者調査・利用者の評価も参考にしています

免責事項
本記事は筆者個人の投資経験や考えを紹介するものであり、特定銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。また、通信品質は地域・建物・時間帯・利用端末などによって異なります。掲載している情報は記事作成時点のものです。投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断は、ご自身の判断と責任でお願いいたします。

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