資産形成はなぜ途中から加速する?配当再投資と増配で感じた変化

配当再投資と増配を、積み重なるコインと芽で表したイラスト 株式投資

株式投資を始めたばかりの頃は、資産を増やすのが大変でした。

毎月少しずつ投資しても、すぐに大きく増えるわけではありません。受け取る配当も、最初は「これで何が変わるのだろう」と思うくらいの金額です。

それでも、投資を続けるうちに、少しずつ配当の増え方が変わってきました。

新しくお金を入れるだけではなく、受け取った配当を再投資し、保有している企業も増配してくれる。その積み重ねが、少しずつ実感できるようになったのです。

もちろん、資産や配当が毎年増えるとは限りません。株価が下がる年もあれば、減配する企業もあります。

今回は、長期投資を続ける中で、私が感じてきた変化を書いてみます。

私の資産形成は、まず貯金から始まった

以前の投資歴の記事にも書きましたが、私の資産形成の前半は、株式投資より貯金が中心でした。

働いて得たお金から、生活に必要な分を除いて少しずつ残す。当時は複利や増配を十分に理解していたわけではなく、まずは投資に回せるお金を作る時期だったと思います。

振り返れば、もっと早く投資を始めていたら、と考えることもあります。一方で、知識が足りない時期に無理をせず、お金を貯めながら学ぶ時間が持てたことにも意味がありました。

その後、米国の高配当株を買い始め、配当が入金されるようになります。自分が働いていない時間にもお金が入ってくる。金額以上に、その仕組みを実感できたことが、投資を続ける楽しみの一つになりました。

最初は「自分で積み立てる力」が大きかった

投資を始めた頃は、運用益よりも、自分で用意したお金を追加することの方が大きな割合を占めていました。

毎月の生活費を考えながら、無理のない範囲で投資資金を作り、少しずつ買っていく。

地味ですし、すぐに成果が見えるものでもありません。

例えば、10万円を年4%で運用できたとしても、1年の利益は単純計算で4,000円です。実際には税金や手数料、価格変動があるので、このとおりになるわけではありません。

それでも最初の頃は、投資から得られる金額がまだ小さい分、自分が無理なく続けられるペースで積み立てることに意味があったと思います。

配当の額が小さい時期も、無理のない範囲で少しずつ株数を増やしていく。それが後の受取額の土台になると考えています。

ただ、投資に回すお金を増やすために、生活費まで削りすぎる必要はありません。急な出費に備えるお金を確保したうえで、自分に合う金額を決める。続けるためには、そうした余裕も大切です。

配当を再投資すると、次の配当につながる

長く続けていると、少しずつ違いを感じるようになります。

保有している株から配当を受け取り、その配当でまた株や投資信託を買う。新しく買った分からも、将来、配当や分配金を受け取れる可能性があります。

分かりやすく、仮の数字で考えてみます。

100株を持っている会社の年間配当が1株50円なら、受け取る配当は税引前で5,000円です。

そのお金を貯めて、同じ条件の株をさらに10株買えたとします。翌年も1株50円の配当が続けば、110株で税引前5,500円になります。

実際には株価や配当が変わり、税金や手数料もかかります。配当だけですぐに10株買えるとは限りません。それでも、「受け取ったお金で買った分も、次の受取額につながる」という仕組みは、長く続けるほど実感しやすくなります。

このように、受け取った収益をまた運用に回し、その分にも収益が生まれることを「複利」と呼びます。金融庁も資産形成の基本で、長期・積立・分散とあわせて複利を紹介しています。

とはいえ、株の配当は預金利息のように毎年一定ではありません。再投資する時の株価も、次に受け取る配当も変わります。複利という言葉から「必ず増えていく」と想像しないことも大切です。

追加投資と再投資は、どう違うのか

私が配当を積み上げる中では、新しく用意したお金と、すでに受け取った配当の両方を使ってきました。

給料などから投資資金を作り、株や投資信託を買い足すのが「追加投資」。受け取った配当を使って買い足すのが「再投資」です。

例えば、生活に無理のない範囲で新たに用意したお金に、口座に残っていた配当金を合わせて買うこともできます。配当金だけで必要な購入金額に届くまで、待たなければならないわけではありません。

最初は追加投資の方が大きくても、受け取る配当が増えれば、その一部を次の投資へ回しやすくなります。私が「配当が次の配当を生む」と感じるのは、この繰り返しです。

ただし、再投資して株数が増えても、株価が下がったり企業が減配したりすれば、資産や受取額が減ることはあります。株数が増えることと、資産が必ず増えることは別です。

株数が同じでも、増配で受取額が増えることがある

もう一つ面白いのが、企業の増配です。

先ほどの110株について、1株当たりの配当が50円から55円に増えたとします。株数が変わらなくても、年間配当は税引前で6,050円になります。

配当を再投資すれば、株数が増えることがあります。企業が増配すれば、1株当たりの配当も増えます。

この二つが重なると、最初の頃よりも配当の増え方を感じやすくなります。

ただし、増配は約束されたものではありません。業績が悪化すれば減配もあります。高い配当利回りだけに注目するのではなく、その企業が利益を生み出し続けられるかも見ておきたいところです。

私が利回りだけでなく、利益の成長や増配の傾向を大切にしているのも、そのためです。

ただし、この例は増配した場合の話です。逆に110株の配当が1株45円に減配されれば、受取額は税引前で4,950円になります。企業の配当予想は変更されることもあるため、過去の増配だけで将来を決めつけず、利益や会社の配当方針も一緒に確認したいと思っています。

なお、配当を受け取った分だけ資産が必ず増えるわけでもありません。配当落ちの日には、理論上、配当相当額が株価から差し引かれます。実際の株価はほかの要因でも動くので、配当と株価の両方を見る必要があります。

「買った時の利回り」が変わる面白さ

長期保有で私が面白いと感じるのは、買った後に企業が配当を増やしてくれることです。

仮に、1株2,000円で買った株の年間配当が60円なら、購入価格に対する利回りは3%です。その後、年間配当が100円になれば、同じ購入価格に対して5%になります。税金や手数料は考慮しない例です。

追加でお金を出さなくても、1株当たりの配当が増えることで、受取額が変わります。実際に保有株の配当予想を確認したときも、利益成長と増配が重なる企業を長く持つ魅力を感じました。

ただ、この5%は過去の購入価格を基準にした数字です。今の株価を基準に計算する配当利回りとは違います。購入価格に対する利回りが高いからというだけで、これからも持ち続けるべきだとは限りません。

私も、今後の利益や配当の持続性、財務、現在の株価を見ながら考えたいと思っています。詳しくは保有株の増配予定を調べた記事に書きました。

高配当なら安心、ではなかった

私も最初から、利益成長や増配を重視していたわけではありません。米国の高配当株を買い始めた頃は、毎年どれだけ配当を受け取れるかに強く目が向いていました。

配当が入ってくるのはうれしい一方、株価が長く低迷すると、「このまま持っていて大丈夫だろうか」と迷うこともあります。受け取った配当より株価の下落が大きければ、資産全体では損失になることもあります。

私が持っていた米国の高配当株にも、低迷が長く続いたものがありました。その後、保有を続ける中で株価が回復し、増配した銘柄もあります。一方、すべてが同じように回復するわけではありません。

だから今は、単に利回りが高いかどうかだけでなく、事業の利益や配当を支える現金、借入なども確認するようになりました。株価が下がった理由が一時的なものなのか、事業そのものの変化なのか。簡単には判断できませんが、配当の数字だけを見るより、考える材料が増えます。

私は、その経験から個別株だけでなくETFや投資信託にも投資先を広げてきました。一つの方法に固執するのではなく、自分に合う組み合わせを探してきた流れは、投資歴の記事で詳しく紹介しています。

資産が増えると、減る金額も大きくなる

資産が増えると、同じ上昇率でも増える金額は大きくなります。

一方で、下落したときに減る金額も大きくなります。

投資を続ければ必ず加速すると考えるのは危険です。株価や為替は変動しますし、企業の配当や投資信託の分配金も変わります。

私にとって大切なのは、大きく増える年を期待しすぎることより、下がる年があっても続けられることです。投資する金額やリスクの取り方は、それぞれの生活に合わせて考える必要があります。

例えば、仮に100万円の資産が10%下がれば10万円の下落です。1,000万円なら同じ10%でも100万円になります。率は同じでも、金額が大きいと気持ちの負担は違います。

配当が入っていても、保有株の値下がりがそれを上回ることはあります。受取配当だけで投資全体の成績を判断せず、株価の変化や手数料・税金も合わせて考えたいところです。

また、一社の配当だけに頼ると、その会社の減配が受取額に大きく響きます。複数の企業や、分散された商品を組み合わせる方法もありますが、分散しても損失を防げるわけではありません。自分が値動きに耐えられる範囲を考えることが先だと思います。

配当はすべて再投資しなくてもいい

配当を再投資すると、将来の資産づくりに役立つ可能性があります。

でも、受け取った配当を必ず全額再投資しなければならないとは思っていません。

一部を再投資する。必要なときは現金として残す。今の生活のために使う。

それぞれの時期に合った使い方があってよいと思います。投資は、資産の数字を増やすためだけでなく、生活を支えるために続けるものだからです。

再投資する金額が少なければ、同じ条件なら将来の受取額の増え方も小さくなります。その違いを理解したうえで、自分が納得できる使い方を選びたいところです。

以前は再投資の効果を重視してきましたが、今は配当の一部を生活にも役立てています。将来の備えを続けながら、今の暮らしにも使う。私にとっては、その両方が投資を続ける理由になっています。

たとえば、受け取った配当が仮に年間1万円だったとして、全額を再投資する人もいれば、半分を投資し、残りを生活に使う人もいるでしょう。どちらが正しいと一律には決められません。

投資期間、今必要なお金、収入の安定性によって、心地よい割合は変わります。毎年きっちり同じ割合にするのではなく、生活に合わせて見直してもよいと思います。

少しずつ続けたことが、後から力になる

私の場合、短期間で大きな利益を狙うというより、少しずつ買い、配当を受け取り、一部を再投資することを長く続けてきました。

始めたばかりの頃は、一つひとつの金額が小さく感じられるかもしれません。それでも、積み立てと再投資、保有先の増配が重なると、後になって変化を感じることがあります。

もちろん、相場や企業の業績によって結果は変わります。増配や利益は保証されず、元本割れの可能性もあります。

焦って大きな成果を求めるより、自分の生活に合った方法を見つけ、続けられる範囲で積み重ねていく。それが、私にとっての長期投資です。

関連記事:前半10年は貯金中心。それでも配当を積み上げた私の投資歴では、投資を続ける中での考え方の変化を書いています。

※この記事は筆者の投資経験と考え方を紹介するものであり、特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。数字は仕組みを説明するための仮定で、将来の成果を示すものではありません。

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