日経平均は本当に割高?PERとEPSで検証|6万8,000円台でも「高すぎる」とは限らない理由

経済・マーケット

日経平均株価が6万8,000円を超える水準まで上昇してきました。

数年前の日経平均を知っていると、
「さすがに日本株は上がりすぎではないか」「今から買うのは高値づかみにならないか」
と感じる人も多いのではないでしょうか。

私自身、日本株を長く保有していると、数年前に買った銘柄には現在の株価から見るとかなり安い水準で購入できたものもあります。
そのため、最近の日本株を見ると「昔のような割安感はかなり薄れてきた」と感じる場面が増えました。

ただし、ここで注意したいことがあります。

日経平均が高くなった=日本株が割高、とは限りません。

株価が上昇していても、それ以上のペースで企業利益が増えていれば、PER(株価収益率)はむしろ低下することがあるからです。

そこで今回は、
「現在の日経平均は本当に割高なのか?」
を、PERとEPS(1株当たり利益)という2つの数字から考えてみます。

結論を先に書くと、現在の日本株は「過去と比べて割安とは言いにくい」水準です。
一方で、企業利益も大きく伸びているため、日経平均の数字だけを見て「完全なバブルだ」と判断するのも早いと考えています。

日経平均は6万8,000円台へ

日本経済新聞社の「日経平均プロフィル」によると、2026年8月14日の日経平均株価は
68,713.80円で取引を終えました。

同日時点の投資指標を見ると、次のようになっています。

項目 2026年8月14日
日経平均株価 68,713.80円
PER(加重平均) 17.65倍
PER(指数ベース) 22.85倍
PBR(加重平均) 1.94倍
配当利回り(指数ベース) 1.38%

※データ:日本経済新聞社「日経平均プロフィル」2026年8月14日時点

日経平均が6万8,000円台という数字だけを見ると、かなり高く感じます。

しかし、株価が高いか安いかを考えるうえでは、
「企業がどれくらい利益を稼いでいるのか」
を見る必要があります。

そもそもPERとは何か?

PERは「Price Earnings Ratio」の略で、日本語では株価収益率と呼ばれます。

PER = 株価 ÷ EPS(1株当たり利益)

たとえば、株価が1,500円、EPSが100円の企業なら、

1,500円 ÷ 100円 = PER15倍

となります。

簡単に言えば、PERは
「その会社が1年間に稼ぐ1株当たり利益の何倍まで株価が買われているか」
を見る指標です。

一般的にはPERが高くなるほど投資家が将来の成長を高く評価している一方、利益に対して株価が高くなっているとも考えられます。

EPSが増えれば、株価が上がってもPERは下がる

ここが今回の記事で最も重要なポイントです。

PERは株価だけでは決まりません。
分母であるEPSが増えることでも大きく変化します。

仮に次のような企業があったとします。

以前 現在
株価 1,000円 1,200円
EPS 50円 75円
PER 20倍 16倍

株価は1,000円から1,200円へ20%上昇しています。

ところがEPSは50円から75円へ50%増加しています。

その結果、株価が上昇しているにもかかわらず、PERは20倍から16倍へ低下します。

つまり「株価上昇=割高化」ではありません。

株価よりも速いペースで企業利益が成長していれば、株価が最高値を更新していても利益面では以前より割安になることがあります。

過去の日経平均PERはどれくらいだった?

では、現在の日経平均PERは過去と比較して高いのでしょうか。

野村アセットマネジメントが野村證券やBloombergのデータを基に集計した資料では、
2012年12月から2026年1月までの日経平均と予想EPSの関係を見ると、
コロナ禍による特殊な利益悪化期を除いた平均PERは約14.3倍とされています。

過去にはおおむね13~15倍程度が意識される場面が多かったため、
現在のPER水準を見ると、少なくとも
「日本株全体が歴史的にかなり割安な状態」ではありません。

PER水準 大まかな見方
13倍前後 過去のレンジでは比較的低い水準
14~15倍前後 過去平均に近い水準
17倍台 過去平均より高め
20倍超 かなり高い評価が織り込まれている可能性

ただし、ここには注意点があります。

日経平均のPERには「加重平均」と「指数ベース」など複数の集計方法があり、
さらに過去平均として使われる予想PERのデータも、集計方法や予想利益の扱いが異なります。

そのため、
「過去平均14.3倍に対して現在17.65倍だから、正確に○%割高」
と機械的に計算するのは適切ではありません。

重要なのは細かな数字の差よりも、
現在の日本株は以前ほど割安ではなく、ある程度の利益成長をすでに株価が織り込んでいる
という点だと思います。

それでも「すぐバブル」と言い切れない理由

現在のPERだけを見ると、日本株には以前より高い評価が付いています。

では、日経平均は完全なバブルなのでしょうか。

私は、そこまで単純には考えていません。

理由は、日本企業の利益そのものが伸びているからです。

野村證券は2026年8月、4~6月期決算を踏まえてTOPIXのEPS見通しを上方修正しました。
2026年度のTOPIX EPSについては244.0、前年度比19.2%増を予想しています。

2027年度についても269.1で10.3%増
2028年度も287.2で6.7%増という予想です。

今の日本株で最も重要なのは「株価が高いか」だけではなく、「EPSが今後も伸びるか」です。

仮に株価がほとんど変わらず、企業利益だけが10%増えればPERは低下します。

株価が5%上昇したとしても、EPSが10~15%増えるなら、
利益成長のほうが株価上昇を上回るため、PERは低下する可能性があります。

逆に危険なのは、

企業利益はほとんど増えていないのに、期待だけで株価が大きく上昇するケースです。

たとえば株価が30%上昇しているのにEPSが5%しか増えていなければ、
PERは大きく上昇します。

こうなると、将来の成長期待をかなり先まで株価に織り込んでいる状態になります。
決算が少し期待に届かなかっただけでも、大きく売られる可能性が高くなります。

日経平均7万円でも「割高」とは限らない

日経平均が7万円に近づいてくると、
「7万円なんて高すぎる」という印象を持つ人もいると思います。

ただ、7万円という指数そのものに割高・割安の意味があるわけではありません。

たとえば企業利益が今後も増えていけば、
日経平均7万円でもPERが低下することは十分あり得ます。

極端に言えば、

株価 +5%

EPS +15%

なら、指数自体は最高値を更新していても、利益との比較では以前より割高感が薄れることになります。

これは個別株でも同じです。

私は株を購入するとき、PERだけでなく過去の利益推移や今後の業績も確認するようにしています。
PER10倍だから必ず割安というわけではありませんし、PER20倍だから必ず割高というわけでもありません。

利益が減り続けている会社のPER10倍と、
利益が毎年20%近く成長している会社のPER20倍では、数字の意味がまったく違います。

それでも今の日本株で警戒したいこと

一方で、現在の日本株にまったく割高感がないとも思いません。

野村證券も2026年8月時点で、
TOPIXのPERは17倍台、日経平均は23倍台と、
過去のレンジを上回っていると指摘しています。

つまり現在の株価には、
「これからも企業利益が伸びる」ことがある程度前提として織り込まれている
と考えたほうがよさそうです。

そのため、今後注意したいのは次のような変化です。

  • 企業のEPS成長が予想より鈍化する
  • AI・半導体関連企業の利益成長が失速する
  • 円高によって輸出企業の利益予想が下方修正される
  • 金利上昇によって高PER銘柄の評価が低下する
  • 景気悪化で企業の値上げや数量増が止まる

特に現在のような高PER局面では、
「好決算だから上がる」のではなく、「市場予想をさらに上回れるか」
まで求められる銘柄も増えてきます。

業績が良くても株価が下がることがあるのは、
すでにそれ以上の好業績を株価が織り込んでいるためです。

私なら今の日経平均で何を見るか

個人的には、
「日経平均が6万円を超えたから買わない」「7万円になったら全部売る」
という考え方はしていません。

逆に、日本株が上がっているからといって何でも買っていいとも思っていません。

数年前と比べると、日本の大型優良株には明らかに割安感が薄れている銘柄が増えました。
そのため現在は、指数そのものよりも個別企業の中身を見る重要性がさらに高まっていると感じています。

私が特に確認したいのは「株価上昇に利益成長がついてきているか」です。

具体的には、PERだけではなく、
EPSの推移、売上高、営業利益、キャッシュフロー、増配余力、ROEなども合わせて確認します。

株価が高値圏にある場合には、
過去数年のチャートを見て、短期間に株価だけが急騰していないかも確認したいところです。

増益と増配を長期間続けながら株価が上昇している会社と、
テーマ性だけで短期間に株価が2倍になった会社では、
同じPERでも投資判断は変わってきます。

「PERが低い株=安全」でもない

もう一つ注意したいのが、
低PER株なら安心というわけではないことです。

景気敏感株などでは、利益がピークに近いときほどEPSが大きくなり、
結果としてPERが非常に低く見えることがあります。

しかし、その翌年に利益が大きく減ればEPSも低下します。
株価がほとんど変わらなくてもPERは一気に上昇します。

これが、いわゆる「PERの低さだけでは割安を判断できない」理由の一つです。

反対に、成長企業では現在のPERが多少高くても、
EPSが毎年増え続ければ時間とともにPERが低下していく可能性があります。

結局のところ、重要なのは
現在のPERと将来のEPSをセットで見ることだと思います。

日経平均は本当に割高?私の結論

ここまで見てきた内容をまとめると、
現在の日経平均を「安い」と評価するのは難しいと思います。

8月14日時点の日経平均は68,713.80円。
PERは加重平均で17.65倍、指数ベースでは22.85倍まで上昇しています。

過去の平均PERと比較しても、少なくとも割安圏とは言いにくい水準です。

その一方で、日本企業の利益も伸びています。
野村證券は2026年度のTOPIX EPSを前年度比19.2%増と予想しており、
最近の株価上昇を「株価だけが根拠なく上昇している」と片付けることもできません。

現在の日本株は「安くはない。しかし利益成長が続けば、現在の株価を正当化できる可能性はある」

私はこのくらいの見方が一番しっくりきます。

今後の日経平均を見るときは、
「6万8,000円だから高い」「7万円だからバブル」と指数の数字だけを見るのではなく、
企業のEPSがどこまで伸びているのかを一緒に確認したいと思います。

もし株価の上昇よりEPSの伸びが速ければ、
日経平均がさらに最高値を更新してもPERは低下する可能性があります。

逆にEPSが伸びなくなったのに株価だけが上昇を続けるなら、
そのときは本格的に割高感を警戒する必要があります。

長期投資では「株価が高いか安いか」だけではなく、
その株価を支える利益が成長しているか。

今の日本株を見るうえで、私はここを最も重視したいと思っています。

参考資料

免責事項
本記事は株式投資に関する情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
株式投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
また、掲載している数値や予想は記事作成時点の情報であり、その後変更される可能性があります。

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