2026年8月8日(土)午前7時時点
本日は土曜日のため、日本の株式市場は休場です。
そこで今回は、昨夜終了した米国株式市場の動きを中心に、8月10日(月)から始まる来週の日本株・米国株について考えてみます。
金曜日の米国市場は強い一日となりました。S&P500は史上最高値を更新し、NASDAQ総合指数は1.30%上昇。NVIDIAなど半導体株にも買いが入りました。
ただし、株価上昇のきっかけとなったのは「米国経済が強かったから」ではありません。7月雇用統計が市場予想を大幅に下回ったことで、FRBによる追加利上げへの警戒が後退したことが大きな理由です。
今回の米国市場を一言でまとめると
「雇用悪化 → FRBの利上げ観測後退 → 米金利低下 → ハイテク・半導体株上昇」という流れです。ただし、雇用悪化がさらに進めば、次は景気後退が意識される可能性があります。
金曜日の米国株は3指数そろって上昇
8月7日の米国株式市場では、NYダウ、S&P500、NASDAQ総合指数がそろって上昇しました。
| 指数 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| NYダウ | 54,036.93ドル | +0.28% |
| S&P500 | 7,757.64 | +0.62% |
| NASDAQ総合 | 26,690.62 | +1.30% |
特に強かったのがNASDAQです。米長期金利が低下したことで、ハイテク株や半導体株が買われました。
S&P500は終値ベースで史上最高値を更新しました。
週間でも米国株は非常に強く、S&P500は3.58%高、NASDAQは5.19%高、NYダウは2.96%高となりました。
主要3指数にとって、4月以来最大の週間上昇率です。
株高の最大の理由は「弱すぎた米国雇用統計」
今回の米国市場を見るうえで最も重要なのが、7月の米国雇用統計です。
| 項目 | 結果 | 市場予想 |
|---|---|---|
| 非農業部門雇用者数 | -2.3万人 | +8.0万人 |
| 失業率 | 4.1% | 4.2%前後 |
市場は雇用者数が8万人程度増えると予想していましたが、実際には2万3,000人減少しました。
しかも、過去の雇用者数も下方修正されています。
普通に考えれば、雇用の悪化は景気にとって悪材料です。しかし今回、市場は別の反応をしました。
市場が考えた流れ
雇用が弱い → FRBが追加利上げをしにくくなる → 米国債利回りが低下 → ハイテク・グロース株に追い風、という流れです。
9月のFOMCでFRBが追加利上げする確率は、雇用統計発表前の約55%から約44%まで低下しました。1週間前には67%程度まで織り込まれていたため、金融政策への見方はかなり変わっています。
NVIDIAは2%超上昇|大型ハイテク4社を確認
| 企業 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| NVIDIA | 223.96ドル | +2.27% |
| Apple | 313.33ドル | +0.29% |
| Microsoft | 499.99ドル | +0.03% |
| Alphabet(Google) | 353.47ドル | -0.88% |
この中で最も強かったのがNVIDIAです。
NVIDIAは金曜日に2.27%上昇し、週間では11.6%高。2025年5月以来の大きな週間上昇となりました。
Google、Amazon、Metaなど大手IT企業によるAIインフラ投資が引き続き高水準であることが、GPU需要への期待を支えています。
AI設備へ巨額のお金を投じる企業には「本当に投資を回収できるのか」という厳しい目が向けられていますが、NVIDIAはその設備投資を受注する側です。
現在のAI相場では、まさに「AIへ投資する企業」より「AI投資から直接売上を得る企業」が評価されやすい構図になっています。
米金利低下と円高は日本株にどう影響する?
弱い雇用統計を受け、米国10年国債利回りは4.64%前後まで低下しました。
金利低下はNVIDIAをはじめとしたハイテク・グロース株にはプラス材料です。
一方、為替市場ではドルが売られ、ドル円は一時1ドル=156円68銭まで円高方向へ動きました。その後は157円前後で推移しています。
日本株にとっては少し複雑です。
- NASDAQ上昇:半導体・AI関連株にはプラス
- 米金利低下:グロース株にはプラス
- 円高方向:自動車・機械など輸出企業にはやや逆風
- 介入警戒:ドル円の上値を抑える可能性
とはいえ、157円前後は歴史的に見ればまだ十分な円安水準です。輸出企業の業績が急激に悪化するような為替水準ではないと私は見ています。
金曜日の日本株は半導体株が重荷
日本市場では8月7日の日経平均株価が6万5,210円13銭で終了し、前日から0.7%程度下落しました。
レーザーテック、SCREENホールディングス、ソフトバンクグループなど、半導体・AI関連の値がさ株が売られたことが日経平均を押し下げました。
ここ数日の日本株は、日経平均だけを見るとかなり弱く感じる場面があります。しかし、半導体株の値動きが指数を大きく動かしているため、TOPIX型の銀行、商社、通信、高配当株とは分けて考えた方がよさそうです。
月曜日の日本株は反発できるか
月曜日の日本株については、私は反発を試す可能性が高いと見ています。
最大の追い風は、金曜日のNASDAQが1.30%上昇し、NVIDIAを中心に半導体株へ買いが戻ったことです。
金曜日の日本市場では半導体・AI関連株が売られていたため、米国株高を受けて自律反発する余地があります。
月曜日に確認したいこと
半導体株が高く始まること自体より、寄り付き後も上昇を維持できるかが重要です。最近の半導体株は値動きが非常に大きく、寄り付き直後の上昇がそのまま続くとは限りません。
特に東京エレクトロン、アドバンテスト、レーザーテック、ディスコ、キオクシア、レゾナックなどの動きに注目したいところです。
一方、円高方向への動きは自動車や機械株には少し逆風です。そのため「米国株が上がったから日本株も全面高」と単純には考えない方がよいでしょう。
来週最大のイベントは米国CPI
来週の最大の注目材料は、8月12日(水)に発表される米国7月消費者物価指数(CPI)です。
市場では、CPIが前年比3.4%、食品とエネルギーを除いたコアCPIが前年比2.5%程度になると予想されています。
今回の雇用統計によってFRBの追加利上げ観測は後退しましたが、それを確定させるほどではありません。
なぜなら、FRBが現在最も警戒しているのは依然としてインフレだからです。
CPIが予想を下回った場合
CPIが市場予想を下回れば、追加利上げ観測はさらに後退すると考えられます。
- 米国債利回り低下
- NASDAQ・半導体株には追い風
- ドル安・円高方向
- 日本の輸出株にはやや逆風
米国のハイテク株にとっては最も好ましい展開です。
CPIが予想を上回った場合
逆にCPIが予想を上回れば、「雇用は弱いのにインフレは高い」という市場にとって難しい状況になります。
- FRBの利上げ観測が再上昇
- 米国債利回り上昇
- ハイテク・半導体株に利益確定売り
- ドル高・円安方向
現在S&P500は史上最高値圏にあります。期待が高いだけに、インフレの上振れには敏感に反応する可能性があります。
CPIの翌日はPPI、週末には米小売売上高
CPIだけで来週の重要イベントが終わるわけではありません。
| 日程 | 主なイベント | 注目点 |
|---|---|---|
| 8月10日(月) | 日本株取引 | 米国株高を受け半導体株が反発できるか |
| 8月11日(火) | 山の日 | 日本の現物株市場は休場 |
| 8月12日(水) | 米国CPI | 来週最大の相場材料 |
| 8月13日(木) | 米国PPI | 企業段階のインフレを確認 |
| 8月14日(金) | 米国小売売上高 | 米消費の強さを確認 |
8月11日は山の日のため、日本の現物株市場は休場となります。
ただし、大阪取引所では対象となる先物・オプションの祝日取引が予定されています。そのため海外市場が大きく動けば、休み明けの現物市場へ影響が持ち越される可能性があります。
来週の米国企業決算もAI相場を左右
大型企業の決算ラッシュは一段落しますが、来週もAI・半導体関連では重要な決算があります。
- Applied Materials:半導体設備投資の強さを確認
- Cisco:ネットワーク・AIインフラ需要を確認
- CoreWeave:AIデータセンター需要と投資負担を確認
特に半導体株は2026年に大幅上昇している一方、SOX指数は6月下旬の高値からまだ大きく下にあります。
AI需要そのものは強くても、株価が常に一直線に上昇するわけではありません。好決算でも市場期待を超えられなければ売られる状況は続いています。
来週の日本株で注目したい4つのポイント
1.半導体株が本格反発できるか
NVIDIAが再び強くなっているため、日本の半導体株にも反発余地があります。
ただし、東京市場では最近、海外半導体株より値動きが大きくなる場面があります。寄り付き直後の急騰をそのまま追いかけるのではなく、上昇が継続するかを確認したいところです。
2.日経平均とTOPIXの差
半導体株が動くと日経平均は大きく振れます。そのため、指数だけを見ると市場全体を誤解することがあります。
銀行、商社、通信、保険などが底堅ければ、日経平均が下落していても日本株全体が弱いとは限りません。
3.ドル円157円前後を維持できるか
円高が急速に進めば、自動車、機械、電機など輸出関連株には売りが出る可能性があります。
一方、過度な円安が修正されることは、輸入物価や生活コストを考えれば、日本経済全体では悪いことばかりではありません。
4.好決算でも株価が上がらない銘柄に注意
今回の決算シーズンでは、業績が市場予想を上回っているにもかかわらず売られる企業が目立ちます。
業績が悪いのではなく、株価が先に期待を織り込みすぎているケースです。
「好決算だから買う」だけではなく、現在の株価にどの程度の成長が織り込まれているかも考える必要があります。
私なら来週どうするか
S&P500が史上最高値を更新し、NVIDIAも1週間で10%以上上昇しました。
相場の雰囲気はかなり良くなっていますが、私はここで焦って高値を追う必要はないと考えています。
雇用統計の悪化が「利上げをしなくて済む」という理由で好材料になっている一方、今後さらに雇用が悪化すれば、今度は景気後退が意識される可能性があります。
また、来週には重要なCPIがあります。
長期投資であれば、一週間の相場を当てることより、保有企業の利益成長、増配余力、財務状態を確認する方が大切だと考えています。
来週の基本姿勢は、米国株高を見て慌てて買うのではなく、月曜日の半導体株の反応と、水曜日の米国CPIを確認しながら、業績の伴った企業を選んでいくことです。
まとめ|米国株は強いが、来週はCPIが試金石
金曜日の米国市場は、S&P500が0.62%高で史上最高値を更新し、NASDAQは1.30%上昇しました。
NVIDIAも2.27%上昇し、AI・半導体株への買いが戻っています。
ただし、その背景には米国雇用統計の大幅な悪化があります。市場は現在、景気悪化よりも「FRBが利上げしにくくなったこと」を好材料として評価しています。
この評価が正しいかどうかを確認する次の重要イベントが、8月12日の米国CPIです。
CPIが落ち着けばハイテク・半導体株にはさらに追い風となります。一方、インフレが再び上振れれば、「雇用は弱いのに物価は高い」という難しい相場になる可能性があります。
月曜日の日本株は米国株高を受けて反発が期待されますが、円高方向への動きもあるため、日経平均だけでなくTOPIXや個別企業の決算内容まで確認したいところです。
参考情報
- Reuters:8月7日の米国株式市場
- Reuters:米国7月雇用統計
- Reuters:来週の米国株とCPI見通し
- Reuters:米雇用統計発表後のドル円
- Japan Exchange Group:2026年市場休場日・祝日取引予定
本記事は、公開情報をもとに株式市場の状況を整理したものであり、特定の銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断は、ご自身の責任でお願いいたします。株価、為替、金利、経済指標の市場予想などは変更される場合があります。


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